心障ニート狂想曲

F星人

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ラジオ体操、どうやって覚えた?

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「リネンの仕事に、荷物の回収作業があります」と鞘師さやしさん。

「荷物、ですか?」

「はい。発注したアメニティーが、ホテルの駐車場付近に届くのですが、それを回収するのもリネンの仕事です」

「発注したアメニティーが届く……。それって、もしかして……」

 鞘師さんは頷いた。

「この部屋にある段ボールがそれです」

「あー、そういうのをこの事務所に運ぶってことですね?」

「いえ、それはここに置けたら、の話です。もしこの事務所に充分な在庫があれば、ホテルが管理しているビルまで運ばなければなりません」

「ビル?」

「はい、台車を使って、ちょっと離れた場所にあるビルに運ぶんです。場所は今度、お教えしますね。回収作業を教えるついでに」

「はい、分かりました」

 大まか理解は出来た。

 が、それが何故、段ボールの中身を絶対に把握できるようになることに繋がるのか分からなかった。

「荷物の回収作業をしていたら、嫌でも段ボールに何が入っているかを判別できるようになります」

「……うーん、そうなんですか?」

「やれば分かりますよ。回収作業は、段ボールの大きさや重さや形に苦労するんです。台車に乗せたりビルに置いたりする時に。『これ重いなー』とか、『軽いなー』とか、回収作業をしていくうちに、大きさや重さや形で『あ、これはアレが入ってる』と分かっていくんです。まあ、大体は段ボールに中身が書いてありますけどね」

「……なるほど。その反復で覚えるって感じですか。ラジオ体操みたいですね」

「ら、ラジオ体操ですか?」

 と、鞘師さんは抜けた声を出した。

「あ、いや、だってラジオ体操って最初は皆の前でやってる人の真似するじゃないですか。でも何日かやったら体で覚えていって、いつか見ずに出来るようになるし、似てるなーって」

「はあ~、なるほど……」

 なるほど、と鞘師さんはもう1度呟いた。

「やっぱ和泉いずみさんって考えが独特ですよね。別の角度から来るというか」

「え、そうですかね?」

「はい。僕が今まで会ったことのないタイプです」

 まあ、大学卒業後、7年間ニートで毎日ゲームばっかりやってたから変にもなるか。

「あ、もちろん良い意味で、ですよ?」

 鞘師さんはフォローするように付け足したのだった。

 
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