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最後のシ者
しおりを挟むフロントのことはさておいて……。
俺はアメニティーの補充作業に取り掛かった。
正直に言うと、補充作業はとても単純で、覚えることはなかった。
ただただ足りないものを補充しに行くというもの。
今日は使い捨てのシャワーキャップとカミソリが不足している階層が多かった。
『シャワーキャップ等の小さいものは、リネン袋ではなく、客室清掃で使うゴミ袋に入れて補充に向かった方が良いですよ』
鞘師さんのアドバイス通り、俺は客室清掃で使うゴミ袋にシャワーキャップとカミソリを入れて補充に向かった。
(よし、終わり……)
作業自体、初めだったこともあるし、不足している階と階が離れていたりしていたため、終わったのは3時を過ぎたあたりだった。
2階でエレベーターを降りて、ホールを出たら、そこには見知らぬ短髪の男が居た。
(……ん?)
お客さんかと思った。
というのも、短髪の彼が私服を着ていたからだ。
この暑い時期(当時は2018年の7月上旬)にもかかわらず、上下に黒ジャージを着ている。
ジャージの袖を思いっきり捲っているところ、やはり暑いらしい。
短髪の彼は拭き上げタオルでエレベーターホールの壁を拭いていたため、ここで働いている人だということが分かった。
「……お疲れ様です……」
俺は控えめなトーンで言っていた。
すると短髪の彼は手を止めて、ゆっくりとこちらを向いた。
「お疲れ様です」
と、彼は仏のように微笑んだ。
ぽちゃっとしていて頬がほんのり赤く、血色が良い。
常に微笑んでいるかのように、彼の目は線のように細くなっていた。
そのため仏に見えた。
そして相当若い。
20代……いや、10代かもしれない。
「F社のかたですか?」
彼はニコニコしながら問うてきた。
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