ロリコン

すごろく

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 ある街で、誘拐事件が起きた。三か月間で四人の幼女が誘拐され、全員死体となって見つかったのだ。しかも殺された幼女には全員に、レイプされた跡があった。つまりこの事件は、連続幼女誘拐強姦殺人事件だったわけだ。
 滅多にないこの凶悪事件はテレビなどのマスコミで大々的に報道され、警察も大勢の警官を動員して犯人の逮捕に尽力していた。
 そんな最中、「犯人に心当たりがある」と言い出したのは、住宅街に暮らすS氏だった。
 S氏が犯人の心当たりとして名指しした人物は、S氏宅の隣に住むK氏だった。
 それを聞いた住宅街の人々は、「確かにK氏ならやりかねない」と頷いた。この住宅街においてのK氏の評判はすこぶる悪かった。
 その原因はK氏がニート、つまり親の脛を齧る無職だったのもあるが、何よりもその偏った趣味にあった。K氏は、俗にアニメオタクと世間から呼ばれる人種だったのだ。
 そしてそのK氏が好んでいるというジャンルが、ロリモノというやつだった。
 そんな趣味をK氏は隠そうとしておらず、たまに出かけるときはいやらしいポーズをさせた、目の大きな幼女のキャラクターの絵が描かれたTシャツを着ていて、また同じように幼女のキャラクターの絵が印刷された紙袋を覗き込んでは、にやにやしたりしていた。
 あんな趣味のK氏なら、この事件の犯人でも可笑しくない、とみんな思ったのだ。
 S氏は警察に訴え出た。しかし警察は、根拠が乏しいと取り合わなかった。S氏はめげず、K氏が犯人と街中に言い触らした。
 初めは噂程度だった話は段々と広がり、「K氏が犯人だ」と思い込む人の数も増えた。K氏の家に、いたずらが頻発した。
 無言電話が何件もかかってきた。これみよがしに「人殺し!」と怒鳴りつける輩もいた。塀や門にはたくさんの「この人殺し」と殴り書きされた張り紙と、「早く自首しろ」とでかでかと描かれた落書き。ポストの中に突っ込まれるゴミも増えていくばかりだった。
 これにK氏本人は怒り狂った。「偏見だ!」そう叫んでも、誰も耳を貸さなかった。
 ある日、K氏の部屋の窓に拳代の大きさの石が投げ込まれた。腹を立てたK氏は、目を充血させて割れた窓の外を見遣った。
 家の前から逃げ去っていく小さな人影が見え、K氏は血相かいてその人影を追いかけた。
 その人影を、K氏は近所の公園に来たところで捕まえた。小学生の少女だった。K氏に腕を掴まれ、少女はわっと泣き出した。
「あ、ロリコンの変態だ!」
 一人の少年がK氏を指差して小石を投げた。
「おい、やめろ!」飛んできた小石を払い除けながら、K氏は怒鳴った。
「みんな、ここに変態がいるぞ!」
 少年がそう騒ぐと、公園にいた他の子たちもK氏の元に集まってきた。そしてK氏に罵声を浴びせながら、皆一斉に小石を投げた。
「やめろ!俺は変態なんかじゃない!」
 K氏がいくら怒鳴っても、誰も小石を投げる手を止めようとはしなかった。大人たちはそんな子供たちを叱りはせず、ただひそひそと話しながら、K氏に不審げな目を向けるだけだった。少女は小石をぶつけられて力の緩んだK氏の手を振り解き、逃げてしまった。
 K氏は半べそで自宅へと逃げ帰った。
 そんな感じでK氏は迫害される日々を送り、また住宅街の人々は迫害する日々を送った。
 K氏が犯人で、いつか警察に逮捕されて罰せられることを信じながら。
 しかし蓋を開ければ、この事件で警察に逮捕されたのはK氏ではなかった。住宅街とは少し離れたところに住む、無職の四十代の男だった。K氏とは何も関係のない人物だった。
 晴れてK氏の無実が証明され、迫害はみるみるうちになくなっていった。だが、人々の誰も、K氏に謝罪しようとはしなかった。
 それにK氏は酷く憤慨し、オタク仲間にこう愚痴を漏らしたという。
「まったく、あの住宅街のやつら、どいつもこいつも人間性が腐ってるのにもほどってものがあるだろ。散々人にあんな扱いをしておいて、謝罪の一つもないんだぜ。呆れるのを通り越して感心しちまうね。そもそも、たかだか他人の趣味一つで犯罪者と決めつけるとか、頭に虫が湧いてる。というか俺の趣味はむしろ、犯人じゃないことを証明しているようなもんだろ。二次元のロリを愛する俺が、三次元のロリになんか興味を持つわけがないっつーの。三次元の幼女なんかクソだろ。ガキ臭いわ、騒がしいわ、鬱陶しいわで良いことなんか何一つねぇ。やっぱロリは二次元に限るぜ。二次元のロリは良いよ、ほんと。三次元の幼女どもと違って純粋で可愛くって、容姿だって性格だってあいつらなんかよりも格段に上だ。あぁー、二次元の世界に行って幼女犯してぇー。二次元の幼女犯してぇー。あー、レイプしてえなぁ――」
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