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出会い
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緩く温い風が身体を包む4月。眩しい太陽の陽射しの中、僕は高知県の大学に入学した。
小学校から高校卒業まで、優等生の象徴のような僕であった。頭脳明晰、スポーツ万能、学校行事では表舞台で輝く、一際目立つ存在でもあった。周囲の友達付き合いも、同じようなメンバーに囲まれていた。
言わば、勝ち組のヒエラルキーに属していたようなものだ。
高校を卒業すると、僕は四国の国立大学に進学した。住まいは学生寮に住むこととなった。
歴史があり、古くからのバンカラな男子寮だ。先輩や同級生は、どれも個性的な猛者ばかりであった。
寮は北棟、南棟に別れており、それぞれ3階建ての造りになっていた。
廊下のタイルは剥がれ、窓は割れている。部屋のドアノブはくり抜かれてバリアフリーだし、壁は達筆な落書きだらけ。ふと見渡せば、野良猫が寮内をお散歩している。何と自由な寮でしょうか。
母親は、肝っ玉の据わった快活な人であったので、ボロボロの寮を見てニコニコしていた。「学生らしくて良いやんか。」と、僕よりも楽しそうにしていた。
実際、僕もテーマパークに来たようなワクワクした気持ちで居た。
早々に母親は去っていき、僕は自分の荷物を部屋に運び、荷解きをしながら緊張していないふりをしていた。
ボロボロの空間に、自分の愛用品を設置していくのは、秘密基地を作るようで楽しかった。
新入生が来る時期、大学は春休み期間であり、寮の食事はまだ用意されていない。
その間の食事は、先輩達が近所の定食屋や、喫茶店に連れて行ってくれた。もちろん全部オゴリ。
寮の規則もあるので、共同風呂の使用は、新入寮生の教育が済んだ後になるので、先輩達が銭湯に連れて行ってくれた。
1週間ほどの間、部屋の整理や近所の散策をして過ごす内に、新入寮生も全員揃った。
その中に、僕の人生のターニングポイントとなる人物が居た。パチスロ師匠「ワタル」の存在である。
ワタルは鹿児島から来た、イモっぽい面立ちのやつだった。親が警察官で、厳しい家庭で育った話を聞いた。本人は割りとヤンチャ好きだったので、高校時代にタバコを吸っては父親に見つかり、反省文として憲法を書かされたそうだ。
同じ学部、同じ九州の高校卒、趣味も同じバンドだったので、僕達は必然とつるむようになり、卒業後も付き合いは続いた。
学校も落ち着き、楽しいキャンパスライフに慣れ、長い夏休みを終えた。窓から見える田んぼの稲刈りも終わり、季節は冬を迎えていた。そんな冬の日にワタルが相談を持ちかけてきた。
「ワリイ。お金貸してくれん?」と。
小学校から高校卒業まで、優等生の象徴のような僕であった。頭脳明晰、スポーツ万能、学校行事では表舞台で輝く、一際目立つ存在でもあった。周囲の友達付き合いも、同じようなメンバーに囲まれていた。
言わば、勝ち組のヒエラルキーに属していたようなものだ。
高校を卒業すると、僕は四国の国立大学に進学した。住まいは学生寮に住むこととなった。
歴史があり、古くからのバンカラな男子寮だ。先輩や同級生は、どれも個性的な猛者ばかりであった。
寮は北棟、南棟に別れており、それぞれ3階建ての造りになっていた。
廊下のタイルは剥がれ、窓は割れている。部屋のドアノブはくり抜かれてバリアフリーだし、壁は達筆な落書きだらけ。ふと見渡せば、野良猫が寮内をお散歩している。何と自由な寮でしょうか。
母親は、肝っ玉の据わった快活な人であったので、ボロボロの寮を見てニコニコしていた。「学生らしくて良いやんか。」と、僕よりも楽しそうにしていた。
実際、僕もテーマパークに来たようなワクワクした気持ちで居た。
早々に母親は去っていき、僕は自分の荷物を部屋に運び、荷解きをしながら緊張していないふりをしていた。
ボロボロの空間に、自分の愛用品を設置していくのは、秘密基地を作るようで楽しかった。
新入生が来る時期、大学は春休み期間であり、寮の食事はまだ用意されていない。
その間の食事は、先輩達が近所の定食屋や、喫茶店に連れて行ってくれた。もちろん全部オゴリ。
寮の規則もあるので、共同風呂の使用は、新入寮生の教育が済んだ後になるので、先輩達が銭湯に連れて行ってくれた。
1週間ほどの間、部屋の整理や近所の散策をして過ごす内に、新入寮生も全員揃った。
その中に、僕の人生のターニングポイントとなる人物が居た。パチスロ師匠「ワタル」の存在である。
ワタルは鹿児島から来た、イモっぽい面立ちのやつだった。親が警察官で、厳しい家庭で育った話を聞いた。本人は割りとヤンチャ好きだったので、高校時代にタバコを吸っては父親に見つかり、反省文として憲法を書かされたそうだ。
同じ学部、同じ九州の高校卒、趣味も同じバンドだったので、僕達は必然とつるむようになり、卒業後も付き合いは続いた。
学校も落ち着き、楽しいキャンパスライフに慣れ、長い夏休みを終えた。窓から見える田んぼの稲刈りも終わり、季節は冬を迎えていた。そんな冬の日にワタルが相談を持ちかけてきた。
「ワリイ。お金貸してくれん?」と。
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