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一章 聖女さん、追放されたので冒険者を始めます。

13 聖女さん、客人を迎え入れる

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「こ、此処ってアンナさんが追放された国の領土内なんですか?」

 周囲を見渡しながらシルヴィはそんな事を聞いて来る。

「うん。そして私がずっと住んでた家。向こうの都合で取り壊したくも無かったから、魔術でカモフラして見えないようにしてるんだ」

「へぇ……まあ確かに此処ならちゃんと隠せば見付からないかも」

「でしょ?」

「……しかし凄い交通の便悪そうですね。なんというか……うん」

「だから良いんでしょ。交通の便が悪い=人気が少ないって事だから。私、聖女やりながら昔から魔術の研究とかしてたし、あんまり人に周囲うろつかれると困るんだよね」

「み、見られたらマズイ研究でもしてたんですか……そ、それなら追放されても此処を維持する理由がちゃんとありますね……」

「あの、地味に離れて行かないでくれないかな。倫理的にヤバいような研究とかしてないから。単純に危ないからってだけで……と、とにかく大丈夫だから!」

 なんだか物凄い失礼な誤解されてる気がするんだけど。
 解けた? 誤解解けてる?

「ま、まあとにかく」

 うん、解けてるでしょ……多分。
 だからさっさと本題に行こうか。

「ここなら宿代も掛からないし、改めてだけどウチに泊まっていきなよ。色々と打ち合わせも必要だと思うしね」

 此処に辿り着くまで誤魔化しながら来ちゃったせいで、ステラのお店を出た後に言ったウチに泊まってく発言は結構意味深なまま宙に浮いちゃってた訳で。
 だから改めて聞いてみる。

「ま、まさか本当に言葉通りだとは思いませんでしたよ」

 そう言って少し苦笑いを浮かべるシルヴィだったけど、改めて笑みを浮かべて言う。

「じゃあ今日の所はお邪魔しても良いですかね。私も色々話しておきたかったですし」

「うん。じゃあ決まり。入って入って」

 そう言って私はシルヴィの前を歩き鍵を開ける。
 ……だけどシルヴィの足取りは重い。

「……どしたの?」

「あ、危なくないですよね?」

「いやだからヤバい研究はしてないって」

 ……うん、全然誤解解けてないや。
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