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一章 聖女さん、追放されたので冒険者を始めます。

15 聖女さん、起床

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 その後、リュウ君と戯れた後(シルヴィはやはり一般人なら死んでもおかしくないじゃれ方をされても全然平気だった)お風呂に入って軽い雑談の末就寝。
 明日は早い……訳じゃけど色々あって精神的に疲れている感じはするし、何より別に長々と起きている理由が無い。
 睡眠ってほんと大事だしね。
 可能なら八時間前後は寝たい。

 だから寝た。

 そして翌朝起床。

「んー良く寝た」

 昨日国を追放された私は、普通に国内の自宅で目を覚ましたのだった。

「よし、朝ご飯作るか!」

 結構簡素にだけどパパっと作っちゃおう。
 ……と、その前に。

「おーいシルヴィ。起きてるー?」

 客間で眠っているシルヴィを起こしに行く事にした。

「……うん、寝てるね」

 普通に爆睡である。

「というか寝相悪すぎじゃない?」

 確かベットで寝てた筈なのに、部屋の端の本棚の上で寝てるんだけど。
 一体どんなエキセントリックな寝方したらそんな事に……。

 ……まあ追放される直前に偶々家の中大掃除しといてよかった。
 本棚の上の埃とかも綺麗にしてたし。
 これで埃被ってるなんて事は無いだろう。

 ……いや、そこ今安心する所じゃない気がするけど。
 ……と、その時だった。

「……あ、あぶな!」

 シルヴィが寝返りを打って本棚から転落する。
 気付いた時には既に遅し。
 シルヴィの体はそのまま床に直撃する。

「……ったた……」

「だ、大丈夫?」

「え、あ、アンナさん。おはようございます……ってて、なんで床で寝てるんだろ。まさかベットから落ちて目が覚めるみたいなベタな事しちゃいました?」

「……うん、まあそんな感じ」

 嘘だ。ベタな所なんて何処にもない。
 シルヴィの様なエキセントリックな目覚めを私は知らない。

「……うーん、なんかベットから落ちたにしては体が思ったより痛いような……」

 まあ落ちたのベットじゃないからね。
 あと硬い本棚の上で寝てたら、そりゃ体痛いと思うよ。

「……まあ良いです。とにかくおはようございます」

 ……良いんだ。

「う、うん、おはよう」

「な、なんで顔引きつってるんですか。ま、まあ恥ずかしい所見せちゃいましたしね」

 それどころじゃない。

「じ、実は私……その、泊めて貰った立場で言える話じゃないんですけど、自分にピッタリ合った枕じゃないと安眠できない体質みたいで」

 そんな問題なの?
 というか枕であのヤベー寝相治るの?

「ははは、じゃあ今度枕買いに行こうよ。多分今まで使ってたの持ってきてないんでしょ?」

「そうですね。必要最低限の荷物しか持ってきませんでしたから」

 ……いや絶対必要最低限の荷物に入れないと駄目だったと思うよマイ枕。

「じゃ、じゃあ決まりだね……ま、まあとりあえず……朝ご飯食べようか」

「あ、ご馳走になっていいんですか?」

「まあ本当に簡単な物しか出せないけどね。じゃあ行こう」

 そう言って私はシルヴィを連れて客間から出る。
 ……絶対今日の夜までに枕調達させようと心に誓いながら。
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