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一章 聖女さん、追放されたので冒険者を始めます。

33 ハーレムパーティ-さん達、察しが良い

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「聖女って……あの聖女だよね? 国を外敵から守る結界を張ってそれを管理している国防の要……な、なんでそんな人達が冒険者に転職しているんだい!?」

 半ば予想はしていたけど……そりゃそんな反応も取られるよ。
 私が逆の立場ならそうなる。
 なんでこんな所に居るんだ? というかなんで冒険者なんてやってるんだ? って事を考えるだろうし。
 ……その位、私達の現状の立場って異常なんだよね。

 ……で、そんな私達の立場を聞いて驚きながら信じられないような物を見る目で見てきているけど、それでもその信じられない物を信じてくれているのか疑いの言葉は飛んでこなかった。
 なんだか驚きつつも、妙に納得しているような……そんな表情。

「えーっと、一応聞くけど……今の私の話、嘘だとか思わないの? 正直自分で言うのもなんだけど聖女が冒険者に転職してるって無茶苦茶な状況だと思うんだけど」

「いや、正直意味不明な状況ではあるよ。助けて貰った立場で言えた話じゃないけど、信じがたい話だ。だけど……その話が本当だと仮定すれば、俺達が助けて貰った時に見た光景に説明が付くからね」

「……な、なんか変な事しちゃいました?」

 一番近くに居たシルヴィがやや不安そうにそう尋ねるが、戦士の男は首を振る。

「いや、そういうのじゃないよ。ただキミ達の人知を超えてるんじゃないかって思える程の強さに納得がいったって話」

 そう言った戦士の男は、一拍空けてから苦笑いを浮かべて言う。

「キミ達は一人で国防の要を担ってきたような凄い人達だろうから。その力を純粋に戦いに転用すれば……そりゃ俺程度の人間じゃ足元にも及ばない訳だ」

 戦士の男がそう言うと、他の皆さんも同様の事を考えていたようで頷く。
 あ、いや、えーっと……その、凄いって褒めて貰えてるのは良いんだけどさ……なんか気まずいよこれ。
 この人達も正直十分強い人たちな訳で、そんな私達と比べて自分を卑下するような事を言われるのは……でもフォローしようにも私達が何言っても凄い上から目線な感じになっちゃうよ。

「あはは……どうも」

 だからその辺のフォローは諦めるしかなかった。
 シルヴィもステラも何も言わない辺り、多分私と同じ事考えてそう。
 ……うん、強く生きて、皆様方も強いから。

 と、そう考えていた所で、改めて戦士の男が聞いて来る。

「それで……そもそもどうしてキミ達は冒険者に? 正直転職するメリットが無いと思うんだけど」

 当然そこ疑問に思うよね。

「実は……」

 別に隠す必要も無い話なのでサクっと概要を纏めて伝える事にした。
 ……伝えたんだけど。

「いや、いくら何でもそんな無茶苦茶な事……」

 流石に鵜呑みにはしてくれない。
 できたら流石にびっくりする。

「流石にそういう反応するよね」

「そりゃだって……国防の要をそんな意味の分からない理由で解任して追放までするなんて。それを一国どころか三国もだ。そんな事がまかり通るなら世も末だ」

「末だよ?」

「……」

「……」

「……」

「……」

「「「「……末かぁ……」」」」

 無言の中で色々と察してくれたらしい。
 このSランクのハーレムパーティ-の皆さん、順応力は文句無しにSランクだ。
 良くこんな話信用てきるね……凄いや。
 逆の立場ならこんな意味不明な話絶対信じないよ。

 ……ほんと、意味分からないね私達の状況。
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