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一章 聖女さん、追放されたので冒険者を始めます。
35 聖女さん達、登山開始
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ライドさん達と別れた私達は、その後しばらく歩いて山のふもとへと到着。
此処からそれなりに険しい山道を歩いて登っていく訳だけど……まあこの位なら余裕だね。
感覚としては普通の平地を歩いているよりは疲れるって位。
……というか私達ですら厳しいようなレベルの登山だったら困る。
山舐めてるとしか思えない軽装だしね私達。
だからまあ、何事も無く山道を歩いて行く。
……うん、本当に何事も無い。
「出ねえな魔物」
「本来なら此処全体が何かしらの魔物の巣みたいになっててもおかしくないと思うんですけどね」
二人が言うように、全く魔物と会敵しない。
当初の予定では結構連戦というか乱戦みたいな事になるんじゃないかなって思ったけど……完全に無だ。
「今まで私達が戦ってきた魔物が此処の魔物で、総数自体が減っちゃってるのかもしれない……それか私達のいた方角以外にも何十匹も出向いているのか」
……まあそれにしても、あまりに何も起きなさ過ぎて少し不気味なんだけど。
そして何も出ない代わりに。
その不気味さを増長させるように。
「うわ、此処にも倒れてるよ」
「……ほんとですね」
魔物の亡骸とはよく遭遇する。
魔物通しの戦いが発生してこうなったのか……とも一瞬思ったけど、それにしてはどの亡骸も荒らされた感じが無い。
亡骸に綺麗も汚いも無いと思うけど……綺麗に息を引き取っている。
魔物通しの戦いでは、こんな事にはならない。
食い荒らされたみたいに、もっとぐちゃぐちゃになる。
そしてそんな亡骸を見ながらステラが言う。
「……これもしかして、俺達以外に此処に来てる人間が居るんじゃねえか?」
「まあそんな感じがするね。ほら、この魔物の傷……剣で斬られた跡みたいじゃない?」
「た、確かにそんな気がしますね……」
「つまり別件で此処来てる剣の達人の冒険者が居て、此処に残ってた魔物をみんな綺麗に倒しちまったって事なのかもしれねえな」
「この魔物達に関してはその可能性は十分あるかも……でも私は別の仮説を押すかな」
「仮説……ですか?」
「そもそも自然には起きないような無茶苦茶な事が此処に来るまで何度も起きてるんだからさ、これやったのも冒険者とかそういう類いの人達じゃなくて……魔物を操って何かをやっている犯人かもしれない」
「……ああ、その可能性もあるな」
「まああくまで仮説だけど」
と、そう言った瞬間だった。
「……ッ!」
嫌な気配を感じ取って、思わず立ち止まった。
「ど、どうしましたアンナさん」
「ほら、二人共見てあれ」
私は視界に映る『何もない様に見える空間』を指さす。
「なんだよ誰も居な……ってうわ」
「あれは……明らかに人為的に張られている奴ですよね」
二人もその存在に気付いたようだった。
そこには半透明の魔術的な罠が張られていた。
木々を結ぶように魔術で作られた糸のような物が張り巡らされていて、多分そこに引っ掛かると何かしらの魔術が発動する仕組みだと思う。
気付かず進んでいたら怪我してたかもしれないね。
あっぶな。
……まあとにかく、こういうのが張られているって事は。
「……多分私の仮説で合ってるっぽくない?」
「合ってるな……いるぞ、何か企んでる悪い奴」
「流石に見過ごせるレベルの事じゃなかったし……よし」
そう言って私は掌に拳を打ち付ける。
「軽くシバいて話聞こうよ」
「だな。放置はできねえ」
そうして私とステラは方向性を一致させる。
どこの誰かは知らないけど待っててよ……今からそっちに行くからさ。
「シルヴィもそれでいいよね?」
「も、勿論良いですけど……」
そう言ったシルヴィは苦笑いを浮かべて言う。
「いよいよ薬草採取しに来た感じじゃ無くなってきましたね……」
「「……確かに」」
……まあ今更だけどね。
此処からそれなりに険しい山道を歩いて登っていく訳だけど……まあこの位なら余裕だね。
感覚としては普通の平地を歩いているよりは疲れるって位。
……というか私達ですら厳しいようなレベルの登山だったら困る。
山舐めてるとしか思えない軽装だしね私達。
だからまあ、何事も無く山道を歩いて行く。
……うん、本当に何事も無い。
「出ねえな魔物」
「本来なら此処全体が何かしらの魔物の巣みたいになっててもおかしくないと思うんですけどね」
二人が言うように、全く魔物と会敵しない。
当初の予定では結構連戦というか乱戦みたいな事になるんじゃないかなって思ったけど……完全に無だ。
「今まで私達が戦ってきた魔物が此処の魔物で、総数自体が減っちゃってるのかもしれない……それか私達のいた方角以外にも何十匹も出向いているのか」
……まあそれにしても、あまりに何も起きなさ過ぎて少し不気味なんだけど。
そして何も出ない代わりに。
その不気味さを増長させるように。
「うわ、此処にも倒れてるよ」
「……ほんとですね」
魔物の亡骸とはよく遭遇する。
魔物通しの戦いが発生してこうなったのか……とも一瞬思ったけど、それにしてはどの亡骸も荒らされた感じが無い。
亡骸に綺麗も汚いも無いと思うけど……綺麗に息を引き取っている。
魔物通しの戦いでは、こんな事にはならない。
食い荒らされたみたいに、もっとぐちゃぐちゃになる。
そしてそんな亡骸を見ながらステラが言う。
「……これもしかして、俺達以外に此処に来てる人間が居るんじゃねえか?」
「まあそんな感じがするね。ほら、この魔物の傷……剣で斬られた跡みたいじゃない?」
「た、確かにそんな気がしますね……」
「つまり別件で此処来てる剣の達人の冒険者が居て、此処に残ってた魔物をみんな綺麗に倒しちまったって事なのかもしれねえな」
「この魔物達に関してはその可能性は十分あるかも……でも私は別の仮説を押すかな」
「仮説……ですか?」
「そもそも自然には起きないような無茶苦茶な事が此処に来るまで何度も起きてるんだからさ、これやったのも冒険者とかそういう類いの人達じゃなくて……魔物を操って何かをやっている犯人かもしれない」
「……ああ、その可能性もあるな」
「まああくまで仮説だけど」
と、そう言った瞬間だった。
「……ッ!」
嫌な気配を感じ取って、思わず立ち止まった。
「ど、どうしましたアンナさん」
「ほら、二人共見てあれ」
私は視界に映る『何もない様に見える空間』を指さす。
「なんだよ誰も居な……ってうわ」
「あれは……明らかに人為的に張られている奴ですよね」
二人もその存在に気付いたようだった。
そこには半透明の魔術的な罠が張られていた。
木々を結ぶように魔術で作られた糸のような物が張り巡らされていて、多分そこに引っ掛かると何かしらの魔術が発動する仕組みだと思う。
気付かず進んでいたら怪我してたかもしれないね。
あっぶな。
……まあとにかく、こういうのが張られているって事は。
「……多分私の仮説で合ってるっぽくない?」
「合ってるな……いるぞ、何か企んでる悪い奴」
「流石に見過ごせるレベルの事じゃなかったし……よし」
そう言って私は掌に拳を打ち付ける。
「軽くシバいて話聞こうよ」
「だな。放置はできねえ」
そうして私とステラは方向性を一致させる。
どこの誰かは知らないけど待っててよ……今からそっちに行くからさ。
「シルヴィもそれでいいよね?」
「も、勿論良いですけど……」
そう言ったシルヴィは苦笑いを浮かべて言う。
「いよいよ薬草採取しに来た感じじゃ無くなってきましたね……」
「「……確かに」」
……まあ今更だけどね。
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