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一章 聖女さん、追放されたので冒険者を始めます。
ex 聖女君、逃げない
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蹴りを躱したステラは低い体勢のまま前方に飛び込む。
そして地面を転がりながら体制を整え、黒装束の少女に視線を向けた。
(……さて、どうすっかな)
シルヴィはうまく身を隠しているのか周囲に気配を感じない。
だからある程度はこの場を広く使える。
その状況での戦いか方。
純粋な近距離での格闘戦ではこちらに分がある。
それでもこちらが触れても触れられてもエナジードレインが待っていると考えて良い。
だとすればその対策が必要。
(シルヴィみたく結界武器にしてもまともに立ち回れねえし……だとしたらアレやるしかねえか)
そう言ってステラは自分の拳をコーティングするように結界を張り巡らせる。
結界のグローブ。
これで直接相手に触れる事が無くなる上に、実質結界がメリケンサックの様に打撃を強化する事に繋がってくれる。
それでも……大問題が一つ。
(あーくそ、体力無くてこんな枷まで付けて本当に戦えるのか?)
強化されるのは拳の打撃の威力だけだ。
総合的な観点で見れば大きく戦力ダウンとなってしまう。
まず第一に相手に掴みかかる類いの技が一切使用不可になってしまうという点。
何も近接格闘は殴る蹴るだけで完結する程シンプルではない。
それらの手段が一切取れなくなる時点で戦力ダウン。
そしてそれ以上に。
ステラはほぼ直感で魔術という技能を扱っているという、極めて稀な感覚派の魔術師だ。
故にその感覚に直結する直感……コンディションが大きく実力を上下する。
前日快眠できれば抜群の力を発揮するし、体調を崩せば精度も落ちる。
さらに繊細な彼女は、指先ひとつですらも感覚も魔術の精度に影響を及ぼす。
故にこの手段は本来悪手だ。
既に発動している強化魔術の出力は落ちない。
拳の威力も上がり保護もできる。
それでも……拳を握ったまま固定されたこの状態は、彼女の魔術の精度や構築速度を遅らせる。
故にここから繰り広げられるであろう高速戦闘の中で、元聖女特有の強力な結界魔術を自ら封じて戦いに望む事となる。
故に悪手。
……それでも。
(ま、やるしかねえか)
結局もうやらないという選択肢が無いのなら、弱音を吐く事に向ける僅かな意識も目の前の敵へと向けるべきだ。
(……行くぞ)
中距離からの魔術の打ち合いという選択肢のある内はこちらが不利。
一気に距離を詰めてその距離を保ち、インファイトの戦いを相手に強いる。
そして勢い良く踏み込み、右ストレートを放つ。
「……ッ!?」
それを辛うじてといったタイミングで黒装束の少女はかわす。
かなり無理な体制での回避。
それだけギリギリの反応。
だがそのギリギリの反応にエナジードレインの魔術を合わせられるだけの、魔術の技量の反応速度が目の前の少女には備わっている。
次の瞬間、少女の手に黒色の魔方陣が展開。
そこから黒色の弾丸が射出される。
「……ッ!」
それをステラも体を捻ってギリギリの体制で回避。
黒色の弾丸は、ステラの腹部の一センチ上を通過していく。
あと一瞬反応が遅れれば、恐らくそれで死んでいた。
当たり所次第で致命傷を負わせられる類いの一撃。
そしてそんな物を放ったまま、黒装束の少女の姿が消える。
その姿は黒い弾丸を回避して体制が崩れたステラの背後へ。
(……テレポートッ!)
そして回避の為に崩れた体制は、座標さへ変わればそのまま攻撃体制へと成り代わる。
足に黒い何かを纏わせて、鋭い蹴りが向かってくる。
(やっば……ッ!)
今の魔術の使用に自ら制限を掛けた今、ピンポイントに結界を張るのは間に合わない。
張れても範囲を絞らない脆い結界程度。
それでは僅かに威力を殺すだけに留まる。
できる事があるとすれば、今の制限の掛かった状態でも放てると直感的に理解できた、明確に相手を殺す為の魔術だけ。
それだけが唯一の身を守る手段。
そしてそれを撃てれば、その一撃を機転に一気に流れをこちら側に持ってきて叩き潰す自信があった。
目の前の黒装束の少女の攻撃は拙くは無いものの直線的で、やれる事を全て惜しみ無くやればこの間合いで負ける事は無いと、この短時間で理解できた。
だからこの一撃を放てば。
放ちさえすれば。
この戦いに勝利できる。
この戦いで命を落とすリスクは消える。
痛い思いをする事は無くなる。
例えその先で一線を越えても不可抗力で、正当防衛で。
きっと何も悪い事は無い。
だけどその選択は逃げだ。
今までのどの瞬間でも取ってはいけない選択肢で、そして。
今日この日だけは絶対にその道に逃げてはいけない。
だから正面に結界を張った。
割られる事が分かりきっている結界を。
そして歯を食い縛った。
次の瞬間、結界が叩き割られる。
結界を一応張ったおかげで、その勢いは僅かに緩まる。
だけどそれでもかわせるだけの余裕が生まれる事も無く、最初の一撃のおかえしとばかりに脇腹に渾身の蹴りが叩きつけられた。
「グ……ッ!?」
激痛と共に明確に体力が持っていかれる感覚があった。
その感覚を感じたまま地面を何度かバウンドし、途中で木にぶつかって止まる。
「……ってえ」
意識はそこにある。
幸い五体満足。四肢のどこも。戦闘続行に著しく支障をきたすような骨は折れていない。
……それでも痛いけど。
今まで自分と同格の相手と戦った事なんてなくて、ここまで強力な攻撃を食らった事も無かったから、体感したことの無い激痛が全身にまとわりついているけども。
それでも、あの状況で魔術によるカウンターではなく身を守るという選択を取れた事に安心した。
これまでも当然のように、人を殺してはいけないという考えは備わっていた。
自分のような強力な力を持つ人間は、少し力の使い方を誤っただけで、簡単に人を殺める事に繋がる。
だから道徳的に。倫理的にそういう事にならないように力を使ってきた筈だ。
だけどあの瞬間。
本当に身の危険を感じたあの瞬間、そうした道徳観や倫理観だけでは自分を押さえられなかったかもしれない。
押さえられたのはきっと、今自分がここにいる理由のおかげだろう。
(流石に今日だけは……道を踏み外す訳にはいかねえよな)
最早当初の目的から外れすぎてはいるが、此処に来たのは冒険者として受けた依頼を遂行する為だ。
そしてその依頼を受けた目的は、金の為だ。
自分が助けてあげたいと思った人達を助ける為に必要な金を稼ぐためだ。
行動の根底に自分にとって大切な人達が居る。
だからその先で例え正当防衛でも、不可抗力でも人を殺すような事があれば、その人達の顔に泥を塗るような行為に思えた。
そんな事をしてしまえば……きっと自分はその二人に対して顔向けできなくなってしまう。
笑顔でただいまと言えなくなってしまう。
それが駄目だと思えたから……踏み留まれた。
「……さてと、もう一踏ん張りだ」
ゆっくりと立ち上がる。
寝転がり続ける理由なんてない。
立たなければ殺されるし、早く戦闘を再開しないと時間稼ぎ以外の全部をぶん投げたシルヴィにも危害が及ぶ。
それは避けなければならないし……そして。
「負けてたまるか」
勝ちたいという感情も此処にある。
自分をこんな痛い目に合わせておいて負けたままなんて絶対に嫌で。
そしてそれ以上に。
「アイツを殺すつもりで攻撃してきた連中に、負けてたまるか」
戦いの少し前、アンナが狙撃された。
それをアンナは無事防げたが……それでも放たれたのが殺意だった事に代わりはない。
自分に手を差し伸べてくれた友達を殺そうとしてきた事に代わりはない。
だからこそこの戦いに勝って、色々な事に白黒を付けなければならない。
このまま野放しにはできない。
と、そう考えていた時だった。
「……こっちから戻らなくても、向こうから来てくれんなら手間が省けて楽だな」
そう呟いて構えを取る。
全身に蓄積したダメージ。向こうの術式で持っていかれた体力。
恐らく今更殺すつもりで戦っても、こちらが勝てる見込みは低いだろう。
それでも端から自分で決着を付ける事なんて考えていない。
「さ、もうちょっと俺に付き合ってもらうぞ」
自分は自分の仕事をするだけだ。
そして地面を転がりながら体制を整え、黒装束の少女に視線を向けた。
(……さて、どうすっかな)
シルヴィはうまく身を隠しているのか周囲に気配を感じない。
だからある程度はこの場を広く使える。
その状況での戦いか方。
純粋な近距離での格闘戦ではこちらに分がある。
それでもこちらが触れても触れられてもエナジードレインが待っていると考えて良い。
だとすればその対策が必要。
(シルヴィみたく結界武器にしてもまともに立ち回れねえし……だとしたらアレやるしかねえか)
そう言ってステラは自分の拳をコーティングするように結界を張り巡らせる。
結界のグローブ。
これで直接相手に触れる事が無くなる上に、実質結界がメリケンサックの様に打撃を強化する事に繋がってくれる。
それでも……大問題が一つ。
(あーくそ、体力無くてこんな枷まで付けて本当に戦えるのか?)
強化されるのは拳の打撃の威力だけだ。
総合的な観点で見れば大きく戦力ダウンとなってしまう。
まず第一に相手に掴みかかる類いの技が一切使用不可になってしまうという点。
何も近接格闘は殴る蹴るだけで完結する程シンプルではない。
それらの手段が一切取れなくなる時点で戦力ダウン。
そしてそれ以上に。
ステラはほぼ直感で魔術という技能を扱っているという、極めて稀な感覚派の魔術師だ。
故にその感覚に直結する直感……コンディションが大きく実力を上下する。
前日快眠できれば抜群の力を発揮するし、体調を崩せば精度も落ちる。
さらに繊細な彼女は、指先ひとつですらも感覚も魔術の精度に影響を及ぼす。
故にこの手段は本来悪手だ。
既に発動している強化魔術の出力は落ちない。
拳の威力も上がり保護もできる。
それでも……拳を握ったまま固定されたこの状態は、彼女の魔術の精度や構築速度を遅らせる。
故にここから繰り広げられるであろう高速戦闘の中で、元聖女特有の強力な結界魔術を自ら封じて戦いに望む事となる。
故に悪手。
……それでも。
(ま、やるしかねえか)
結局もうやらないという選択肢が無いのなら、弱音を吐く事に向ける僅かな意識も目の前の敵へと向けるべきだ。
(……行くぞ)
中距離からの魔術の打ち合いという選択肢のある内はこちらが不利。
一気に距離を詰めてその距離を保ち、インファイトの戦いを相手に強いる。
そして勢い良く踏み込み、右ストレートを放つ。
「……ッ!?」
それを辛うじてといったタイミングで黒装束の少女はかわす。
かなり無理な体制での回避。
それだけギリギリの反応。
だがそのギリギリの反応にエナジードレインの魔術を合わせられるだけの、魔術の技量の反応速度が目の前の少女には備わっている。
次の瞬間、少女の手に黒色の魔方陣が展開。
そこから黒色の弾丸が射出される。
「……ッ!」
それをステラも体を捻ってギリギリの体制で回避。
黒色の弾丸は、ステラの腹部の一センチ上を通過していく。
あと一瞬反応が遅れれば、恐らくそれで死んでいた。
当たり所次第で致命傷を負わせられる類いの一撃。
そしてそんな物を放ったまま、黒装束の少女の姿が消える。
その姿は黒い弾丸を回避して体制が崩れたステラの背後へ。
(……テレポートッ!)
そして回避の為に崩れた体制は、座標さへ変わればそのまま攻撃体制へと成り代わる。
足に黒い何かを纏わせて、鋭い蹴りが向かってくる。
(やっば……ッ!)
今の魔術の使用に自ら制限を掛けた今、ピンポイントに結界を張るのは間に合わない。
張れても範囲を絞らない脆い結界程度。
それでは僅かに威力を殺すだけに留まる。
できる事があるとすれば、今の制限の掛かった状態でも放てると直感的に理解できた、明確に相手を殺す為の魔術だけ。
それだけが唯一の身を守る手段。
そしてそれを撃てれば、その一撃を機転に一気に流れをこちら側に持ってきて叩き潰す自信があった。
目の前の黒装束の少女の攻撃は拙くは無いものの直線的で、やれる事を全て惜しみ無くやればこの間合いで負ける事は無いと、この短時間で理解できた。
だからこの一撃を放てば。
放ちさえすれば。
この戦いに勝利できる。
この戦いで命を落とすリスクは消える。
痛い思いをする事は無くなる。
例えその先で一線を越えても不可抗力で、正当防衛で。
きっと何も悪い事は無い。
だけどその選択は逃げだ。
今までのどの瞬間でも取ってはいけない選択肢で、そして。
今日この日だけは絶対にその道に逃げてはいけない。
だから正面に結界を張った。
割られる事が分かりきっている結界を。
そして歯を食い縛った。
次の瞬間、結界が叩き割られる。
結界を一応張ったおかげで、その勢いは僅かに緩まる。
だけどそれでもかわせるだけの余裕が生まれる事も無く、最初の一撃のおかえしとばかりに脇腹に渾身の蹴りが叩きつけられた。
「グ……ッ!?」
激痛と共に明確に体力が持っていかれる感覚があった。
その感覚を感じたまま地面を何度かバウンドし、途中で木にぶつかって止まる。
「……ってえ」
意識はそこにある。
幸い五体満足。四肢のどこも。戦闘続行に著しく支障をきたすような骨は折れていない。
……それでも痛いけど。
今まで自分と同格の相手と戦った事なんてなくて、ここまで強力な攻撃を食らった事も無かったから、体感したことの無い激痛が全身にまとわりついているけども。
それでも、あの状況で魔術によるカウンターではなく身を守るという選択を取れた事に安心した。
これまでも当然のように、人を殺してはいけないという考えは備わっていた。
自分のような強力な力を持つ人間は、少し力の使い方を誤っただけで、簡単に人を殺める事に繋がる。
だから道徳的に。倫理的にそういう事にならないように力を使ってきた筈だ。
だけどあの瞬間。
本当に身の危険を感じたあの瞬間、そうした道徳観や倫理観だけでは自分を押さえられなかったかもしれない。
押さえられたのはきっと、今自分がここにいる理由のおかげだろう。
(流石に今日だけは……道を踏み外す訳にはいかねえよな)
最早当初の目的から外れすぎてはいるが、此処に来たのは冒険者として受けた依頼を遂行する為だ。
そしてその依頼を受けた目的は、金の為だ。
自分が助けてあげたいと思った人達を助ける為に必要な金を稼ぐためだ。
行動の根底に自分にとって大切な人達が居る。
だからその先で例え正当防衛でも、不可抗力でも人を殺すような事があれば、その人達の顔に泥を塗るような行為に思えた。
そんな事をしてしまえば……きっと自分はその二人に対して顔向けできなくなってしまう。
笑顔でただいまと言えなくなってしまう。
それが駄目だと思えたから……踏み留まれた。
「……さてと、もう一踏ん張りだ」
ゆっくりと立ち上がる。
寝転がり続ける理由なんてない。
立たなければ殺されるし、早く戦闘を再開しないと時間稼ぎ以外の全部をぶん投げたシルヴィにも危害が及ぶ。
それは避けなければならないし……そして。
「負けてたまるか」
勝ちたいという感情も此処にある。
自分をこんな痛い目に合わせておいて負けたままなんて絶対に嫌で。
そしてそれ以上に。
「アイツを殺すつもりで攻撃してきた連中に、負けてたまるか」
戦いの少し前、アンナが狙撃された。
それをアンナは無事防げたが……それでも放たれたのが殺意だった事に代わりはない。
自分に手を差し伸べてくれた友達を殺そうとしてきた事に代わりはない。
だからこそこの戦いに勝って、色々な事に白黒を付けなければならない。
このまま野放しにはできない。
と、そう考えていた時だった。
「……こっちから戻らなくても、向こうから来てくれんなら手間が省けて楽だな」
そう呟いて構えを取る。
全身に蓄積したダメージ。向こうの術式で持っていかれた体力。
恐らく今更殺すつもりで戦っても、こちらが勝てる見込みは低いだろう。
それでも端から自分で決着を付ける事なんて考えていない。
「さ、もうちょっと俺に付き合ってもらうぞ」
自分は自分の仕事をするだけだ。
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