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一章 聖女さん、追放されたので冒険者を始めます。
50 聖女さん達、カミングアウト
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それから私達は今日起きた一連の事の説明を始めた。
魔物の大群。
ドラゴンの大群。
……まあこの辺りはある程度ハーレムパーティーの皆さんからも説明を聞いていたとは思うから、あくまで確認程度にスムーズに。
そしてそれが終わったらあの山で起きた事の話。
……黒装束の二人の話と、それに関連付けた魔物やドラゴンの大群についての私達の見解。
グライドさんはそれらにイチイチ口を挟んだりせず、簡単な相槌だけを行いひとまず話を最後まで聞いてくれた。
……この人話聞くの上手いな。
まあそのお陰でスムーズに私達からの説明を終え……それからようやくグライドさんが話し始める。
「……起きたことは大体分かりました。正直な話、皆さんがそうだったように向こうの目的は全く検討も付きませんが……それでも我々からすれば一つ有益な情報は得られました」
「有益な情報?」
「今日起きたSランクの冒険者パーティーですら壊滅しかけた異常事態は自然に発生した物ではなく、人の手によって起こされた物だった可能性が高い。正直これが自然に起きた現象だった場合、我々のみならず、あらゆる業種の人間がそれ相応の対応を検討しなければならなかった」
……まあいきなりあんな状況に陥るかもしれないっていうリスクがあるんだったら、色々考えないといけないよね。
とはいえ自然とあんな状況になったよりはマシってだけで、今回のパターンに遭遇する事にも大きなリスクは存在する訳で。
「もっとも……人為的に起こされた物だとしても、厄介な事に変わりはありませんが……事実、その場に居たのが皆さんでなければ危なかった訳ですし。とにかく今後同じような状況に他の冒険者が陥る可能性を考慮して、対策を上の方と考慮したいと思います。もっとも……やれる事は少ないと思いますが。何せ相手はドラゴンの大群を圧倒した皆さんと相対できた相手ですからね。どういう形で巻き込まれても危険を排除しきれない……とはいえ謎に包まれたこの一件が解決するまで冒険者の皆さんに仕事をするなと言う訳にもいかない」
「まあ、そうだよね」
「副業でやってる奴以外収入無くなるもんな」
「ああいうのに巻き込まれる確率は正直かなり低いと思いますけど、収入無くなったら半ば確実に生々しい危険が待ってますからね」
「そういう事です」
そういう事だから……正直対策の取りようがないと思う。
あの二人があの山で何かをしていたのは間違いないとして、それが終われば別の場所に移る可能性も高くて。
神出鬼没。出会ったら運が悪かった。そう思うしかない。
少しでもリスクがあったら動かないなんて事をしていたら、生活が成り立たなくなる。
マジであの二人のどちらかから話だけでも聞けてれば、まだ対策の提案とか出来たかもしれないんだけど……なんかごめん。
そして私達の中でもそうだったし、クライドさんを交えても、分からない事が分かるようになる訳ではなくて。
話を締めるようにクライドさんは言う。
「とにかく、この件に関しては出来る限りの対処はさせてもらいます。正直もう少し長い話になると思ったのですが、あらゆる事が謎過ぎる以上、建設的な話ができるとは思えませんから。この話は一旦終いという事で」
そう言った上でクライドさんは話題を変える。
「……で、此処からは謎の事件の話ではなく、皆様の冒険者としての査定の話です」
「査定……というとランクが変わるよって話?」
「はい。今回、依頼を受けた経緯からそこで起きた事を含めてイレギュラー尽くしでしたが、それでもあなた方が実績を作った事は事実です。ドラゴンの大群を相手に余裕で立ち回っていたという信頼できる証言も考慮して、少なくとも今の駆け出し冒険者のFランクで留まらせる訳にはいかないと考えています」
「じゃあ俺達はどのランクになるんだ?」
「それなのですが……今回は前例がない特殊なケースとなりますので。少々時間を頂ければと。また後日通達させてもらいますが……できる限りの事はさせてもらいますよ」
まあ確かにいきなり決められないよね。
ランクをどういう形で決めているのかは分からないけど、本来ある筈のマニュアルとの折り合いとかもあるだろうし。
「……まあ私個人の見解では、皆さんは最高ランクであるSSランクにまで上げても良いとは思うんですけどね。冒険者としての経験は浅くても、それを考慮しても高すぎる実力がある訳ですから」
と、そこで気になったようにクライドさんは聞いて来る。
「ところで……まあ個人のプライバシーに関わる話なんで答えたくなければ答えなくても良いんですが……皆さん、前職何やられてたんですか?」
……そりゃ気になるよね。逆の立場なら私も気になる。
そして別にそれは隠さなくちゃいけないような事でも無くて。
「聖女やってた」
「俺も聖女」
「あ、あの……私もです」
三人共正直にそう答えた。
「聖女ね。確かに元聖女とかならそういう実力があっても納得……ん?」
一瞬受け入れかけたものの、クライドさんは途中で冷静になる。
「い、いやいや……それはないでしょう。聖女が冒険者に転職って今日起きた事より無茶苦茶じゃないですか。ウチの馬鹿の履歴書みたいな事を三人揃って言わないでください」
「……履歴書? って事は何? シズク履歴書に前職聖女って書いてたの!?」
「あ……しまった口が滑った……従業員の個人情報言っちまった。いや、でも絶対虚偽だし……」
「いや多分それ虚偽じゃない!」
私達と同じような力を感じて、そしてふざけられない履歴書で馬鹿正直に元聖女とか書いたんだったとしたら。
……シズクも元聖女だよ。
聖女追放ブーム完全に来ちゃってるよ!
魔物の大群。
ドラゴンの大群。
……まあこの辺りはある程度ハーレムパーティーの皆さんからも説明を聞いていたとは思うから、あくまで確認程度にスムーズに。
そしてそれが終わったらあの山で起きた事の話。
……黒装束の二人の話と、それに関連付けた魔物やドラゴンの大群についての私達の見解。
グライドさんはそれらにイチイチ口を挟んだりせず、簡単な相槌だけを行いひとまず話を最後まで聞いてくれた。
……この人話聞くの上手いな。
まあそのお陰でスムーズに私達からの説明を終え……それからようやくグライドさんが話し始める。
「……起きたことは大体分かりました。正直な話、皆さんがそうだったように向こうの目的は全く検討も付きませんが……それでも我々からすれば一つ有益な情報は得られました」
「有益な情報?」
「今日起きたSランクの冒険者パーティーですら壊滅しかけた異常事態は自然に発生した物ではなく、人の手によって起こされた物だった可能性が高い。正直これが自然に起きた現象だった場合、我々のみならず、あらゆる業種の人間がそれ相応の対応を検討しなければならなかった」
……まあいきなりあんな状況に陥るかもしれないっていうリスクがあるんだったら、色々考えないといけないよね。
とはいえ自然とあんな状況になったよりはマシってだけで、今回のパターンに遭遇する事にも大きなリスクは存在する訳で。
「もっとも……人為的に起こされた物だとしても、厄介な事に変わりはありませんが……事実、その場に居たのが皆さんでなければ危なかった訳ですし。とにかく今後同じような状況に他の冒険者が陥る可能性を考慮して、対策を上の方と考慮したいと思います。もっとも……やれる事は少ないと思いますが。何せ相手はドラゴンの大群を圧倒した皆さんと相対できた相手ですからね。どういう形で巻き込まれても危険を排除しきれない……とはいえ謎に包まれたこの一件が解決するまで冒険者の皆さんに仕事をするなと言う訳にもいかない」
「まあ、そうだよね」
「副業でやってる奴以外収入無くなるもんな」
「ああいうのに巻き込まれる確率は正直かなり低いと思いますけど、収入無くなったら半ば確実に生々しい危険が待ってますからね」
「そういう事です」
そういう事だから……正直対策の取りようがないと思う。
あの二人があの山で何かをしていたのは間違いないとして、それが終われば別の場所に移る可能性も高くて。
神出鬼没。出会ったら運が悪かった。そう思うしかない。
少しでもリスクがあったら動かないなんて事をしていたら、生活が成り立たなくなる。
マジであの二人のどちらかから話だけでも聞けてれば、まだ対策の提案とか出来たかもしれないんだけど……なんかごめん。
そして私達の中でもそうだったし、クライドさんを交えても、分からない事が分かるようになる訳ではなくて。
話を締めるようにクライドさんは言う。
「とにかく、この件に関しては出来る限りの対処はさせてもらいます。正直もう少し長い話になると思ったのですが、あらゆる事が謎過ぎる以上、建設的な話ができるとは思えませんから。この話は一旦終いという事で」
そう言った上でクライドさんは話題を変える。
「……で、此処からは謎の事件の話ではなく、皆様の冒険者としての査定の話です」
「査定……というとランクが変わるよって話?」
「はい。今回、依頼を受けた経緯からそこで起きた事を含めてイレギュラー尽くしでしたが、それでもあなた方が実績を作った事は事実です。ドラゴンの大群を相手に余裕で立ち回っていたという信頼できる証言も考慮して、少なくとも今の駆け出し冒険者のFランクで留まらせる訳にはいかないと考えています」
「じゃあ俺達はどのランクになるんだ?」
「それなのですが……今回は前例がない特殊なケースとなりますので。少々時間を頂ければと。また後日通達させてもらいますが……できる限りの事はさせてもらいますよ」
まあ確かにいきなり決められないよね。
ランクをどういう形で決めているのかは分からないけど、本来ある筈のマニュアルとの折り合いとかもあるだろうし。
「……まあ私個人の見解では、皆さんは最高ランクであるSSランクにまで上げても良いとは思うんですけどね。冒険者としての経験は浅くても、それを考慮しても高すぎる実力がある訳ですから」
と、そこで気になったようにクライドさんは聞いて来る。
「ところで……まあ個人のプライバシーに関わる話なんで答えたくなければ答えなくても良いんですが……皆さん、前職何やられてたんですか?」
……そりゃ気になるよね。逆の立場なら私も気になる。
そして別にそれは隠さなくちゃいけないような事でも無くて。
「聖女やってた」
「俺も聖女」
「あ、あの……私もです」
三人共正直にそう答えた。
「聖女ね。確かに元聖女とかならそういう実力があっても納得……ん?」
一瞬受け入れかけたものの、クライドさんは途中で冷静になる。
「い、いやいや……それはないでしょう。聖女が冒険者に転職って今日起きた事より無茶苦茶じゃないですか。ウチの馬鹿の履歴書みたいな事を三人揃って言わないでください」
「……履歴書? って事は何? シズク履歴書に前職聖女って書いてたの!?」
「あ……しまった口が滑った……従業員の個人情報言っちまった。いや、でも絶対虚偽だし……」
「いや多分それ虚偽じゃない!」
私達と同じような力を感じて、そしてふざけられない履歴書で馬鹿正直に元聖女とか書いたんだったとしたら。
……シズクも元聖女だよ。
聖女追放ブーム完全に来ちゃってるよ!
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