最強聖女は追放されたので冒険者になります。なおパーティーメンバーは全員同じような境遇の各国の元最強聖女となった模様。

山外大河

文字の大きさ
74 / 280
一章 聖女さん、追放されたので冒険者を始めます。

63 聖女さん達、夕食作り

しおりを挟む
 その後シズクから聞いた話だと、シズクは聖属性の魔術以外だと水属性の魔術を使えるらしい。
 うん、完全に被り無しだね。

 火、風、雷、水。

 なんかそういう面でも凄いバランスが取れた感じがするよ。

 ……さて、そんな自己紹介のような事を終えた私達は、各々雑談しながら時間を潰し夕食作りへ。
 一応建前上私の家の結界を強化する為に来てもらった訳で、私が料理を振る舞うべきなんだと思うんだけど。

「よし、やるか!」

「「「おー!」」」

 ステラの号令と共になんか皆で作る事になってた。
 いや、まあ皆でわちゃわちゃやるのも面白いと思うし、皆がそれで良いなら良いと思うんだけどね。

「じゃあボクは味見係やるっすよ」

「味見なら私達に任せてください」

 違ったわ、二人だわ作るの。

「よし、じゃあ出番が来たら呼ぶから!」

「はーい。じゃあいつでも呼んでください!」

「了解っす! とりあえずボクさっき借りた本読んでるんで!」

 そう言って二人はリビングへと戻っていく。
 
「まあ四人でやるのはちょっと手持無沙汰感でるから、これで良いか」

「別にステラも休んでていいよ。お客さんなんだから」

「いや、まあ料理は得意なつもりだし。俺も楽しくてやってるところがあるから。まあどうしてもってなら下がるけど」

「いや、いいよ。じゃあ取り掛かりますか」

 言いながら役割分担しつつ調理を始める訳だけど……まあステラの手際が良い訳で。

「そういえばステラは厨房とか手伝ってるの?」

 流石に気になって聞いてみた。

「いや、俺は店回してるだけだよ。まだ俺も新入りだし、皆店長の味を求めてきてる訳だからさ。まあその内何か手伝えたらとは思うんだけどよ」

「てことは趣味?」

「趣味。ちょっとは女の子らしい事をやろうかなって始めたら、まあ普通にハマって。まあ食べさせる相手とかは居なかったんだけど」

 食べさせる相手がいない。
 その話が少し気になったけど、それはスルーする事にした。
 それがどんな話であろうとあまりいい話じゃないと思うし、触れずに済むならそういう事は触れない方がいい。
 前向きに行こうよ。

「じゃあ不定期に作って貰おうかな」

「いいのか? 食べる前からそんな事言って。嫌って言っても作りに来るぞ」

「でも美味しいんでしょ?」

「少なくとも店長と女将さんは美味しいって言ってくれた」

「じゃあ何の問題も無いよ」

「そっか。じゃあまた不定期にこういう集まりやろうな。今の所、店長や女将さん意外だと皆位にしか作る相手いないし。今のところな」

 うん、今のところ。
 正直ステラはこう……普通に男寄ってきそうなんだよね。
 なんというか、絶対「俺だけはコイツが可愛い事知ってるんだぜ」って男が大量に湧くタイプだもん。
 だから気が付けば彼氏とか作っている可能性が……とは思ったけどなんか心配だ。
 出会ってまだあまり時間は経ってないけど、ステラ絶対チョロいからね……悪い男に捕まりそうな気もする。

 うん……私が守らないと。
 なんか普通に心配だよ。

「ん? どうしたぼーっとして。あーうん、まあ俺にはそういう相手とかできねえよな」

「いや、それは無い。自信もってよ」

「そ、そうか……」

 うん、そうだよ。
 でもガードは固めて欲しい。
 マジで頼むから。

 とまあその手の話はそこまでで。

「そういえばお店に帰った時大丈夫だった?」

「大丈夫って何が」

「ほら、明らかに何かあった感じな服装で帰った訳でしょ?」

 その辺りも一応聞いておきたかったので聞いておく事にした。

「そうだな。まあ普通に心配されたよ。元々止められてたのを半ば無理矢理飛び出したみたいな感じだったし尚更」

「……私個人的には一緒に仕事していきたいんだけどさ、大丈夫? なんかこれからも心配掛けそうで」

 私がそう問いかけるとステラは言う。

「まあ今回のはイレギュラーだろ。今日黒装束の連中と遭遇したようなとんでもねえイレギュラーが起きなきゃ、基本心配掛けるような事はねえと思うんだ。シズクも入ったし無敵だよ。さっき強化魔術掛けて貰って思ったけど……マジで誰にも負ける気がしなかった」

「確かに」

「まあお前らとなら大丈夫だよ……例えイレギュラーが起きてもな」

「そうだね」

 その言葉に私も同意する。
 私達ならもう大丈夫だろうって思える。

 例えまたイレギュラーが起きたとしても。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります

桜井正宗
ファンタジー
 無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。  突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。  銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。  聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。  大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした

猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。 聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。 思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。 彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。 それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。 けれども、なにかが胸の内に燻っている。 聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。 ※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています

処理中です...