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二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。
ex 受付聖女達、事態急転
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「今お兄さんの影から――」
(シエルさん!?)
突然の予想外の動きに思わず心中でシエルの名を叫ぶ。
叫んでそして、動き出した。
シエルが先陣を切って動いたのは、半ば反射的に行動に移す為の十分なトリガーとなる。
そして動いて……一秒でも早くシエルをあの男から引き剥がさなければならない。
それ程までに、これまで自分が生きてきた中で出会った事が無い程の、関わってはいけない人間特有の不快感が男には纏わりついていた。
だけど動きは一瞬遅く。
そして同時に先のシエルの言葉が脳裏に浮かんでくる。
『本当にヤバい奴はなりふり構わない』
男が動いた。
言葉を返した訳でもない。
手を振り払うという静かな対応だけで済ました訳ではない。
日中。
人混み。
仮に人に言えない何かをしているのなら、目立つのを避ける状況。
その状況で。
「――子供のこ――」
シエルの腕を振り払い、流れるように体を捻ってシエルの横腹に蹴りを叩き込んだ。
そしてシエルの姿が視界から消える。
直後に、人が建物の中に突っ込んだような、そんな激しい音が鳴り響く。
蹴り飛ばされた。
人の体が弾き跳ぶほどの、強い殺傷能力のある一撃で。
「「シエルさん!」」
思わずミカと共にシエルの名を叫んだ。
叫んでそして、シズク質の声を皮切りに騒めき出した人混みの声を聞きながら、シズクの体は硬直した。
(ど、どうす……とにかくシエルさんの治療……いや、待ってでも目の前の……というか、いや、でもちょっと待つっすよ……え、え!?)
目の前で起きた事に思考回路がぐちゃぐちゃになる。
魔物と戦った経験はある。
自分の力を戦う為に使うにはどうすれば良いのか。
それは良く分かっているし、そうする為の技術もそこにある。
……だけど、この経験はない。
街中で、半ば唐突に友人が攻撃され安否不明。
相手は人間で手の内は不明。そしてその不明な手の内で人質を抱えている可能性もある。
そして白昼堂々そういう事ができる程、頭のネジが飛んでいる。
そんな状況に立ち会って、全くパニックにならずに明確に何かしらの行動を瞬時に取れる程の人生経験が彼女には無い。
故に硬直する。
必然の硬直。
そしてミカも動かない。
動けないのか動かないのかは分からないが、同じくその場に硬直している。
何かしらの反応をすぐに見せたのは、男だけ。
「おいおい認識阻害の魔術聞いてる筈なのに、なんだぁ今の女はよ。恐ろしく勘がいいのか? くそ、色々と台無しじゃねえか」
建物に突っ込んで姿が見えなくなったシエルの方に視線を向けてそう言った後、呟く。
「まあこうなったら認識阻害もクソもねえな。よし。どの道その内やるんだ。ここら一体の目撃者全員殺っとくか……試運転だよろしくなぁッ!」
そして男は右腕を突き出し、そして人差し指に嵌められていた指輪が光り。
「「……ッ」」
男を中心に勢いよく、殺意と共に影が展開する。
世界を侵食するように。
(シエルさん!?)
突然の予想外の動きに思わず心中でシエルの名を叫ぶ。
叫んでそして、動き出した。
シエルが先陣を切って動いたのは、半ば反射的に行動に移す為の十分なトリガーとなる。
そして動いて……一秒でも早くシエルをあの男から引き剥がさなければならない。
それ程までに、これまで自分が生きてきた中で出会った事が無い程の、関わってはいけない人間特有の不快感が男には纏わりついていた。
だけど動きは一瞬遅く。
そして同時に先のシエルの言葉が脳裏に浮かんでくる。
『本当にヤバい奴はなりふり構わない』
男が動いた。
言葉を返した訳でもない。
手を振り払うという静かな対応だけで済ました訳ではない。
日中。
人混み。
仮に人に言えない何かをしているのなら、目立つのを避ける状況。
その状況で。
「――子供のこ――」
シエルの腕を振り払い、流れるように体を捻ってシエルの横腹に蹴りを叩き込んだ。
そしてシエルの姿が視界から消える。
直後に、人が建物の中に突っ込んだような、そんな激しい音が鳴り響く。
蹴り飛ばされた。
人の体が弾き跳ぶほどの、強い殺傷能力のある一撃で。
「「シエルさん!」」
思わずミカと共にシエルの名を叫んだ。
叫んでそして、シズク質の声を皮切りに騒めき出した人混みの声を聞きながら、シズクの体は硬直した。
(ど、どうす……とにかくシエルさんの治療……いや、待ってでも目の前の……というか、いや、でもちょっと待つっすよ……え、え!?)
目の前で起きた事に思考回路がぐちゃぐちゃになる。
魔物と戦った経験はある。
自分の力を戦う為に使うにはどうすれば良いのか。
それは良く分かっているし、そうする為の技術もそこにある。
……だけど、この経験はない。
街中で、半ば唐突に友人が攻撃され安否不明。
相手は人間で手の内は不明。そしてその不明な手の内で人質を抱えている可能性もある。
そして白昼堂々そういう事ができる程、頭のネジが飛んでいる。
そんな状況に立ち会って、全くパニックにならずに明確に何かしらの行動を瞬時に取れる程の人生経験が彼女には無い。
故に硬直する。
必然の硬直。
そしてミカも動かない。
動けないのか動かないのかは分からないが、同じくその場に硬直している。
何かしらの反応をすぐに見せたのは、男だけ。
「おいおい認識阻害の魔術聞いてる筈なのに、なんだぁ今の女はよ。恐ろしく勘がいいのか? くそ、色々と台無しじゃねえか」
建物に突っ込んで姿が見えなくなったシエルの方に視線を向けてそう言った後、呟く。
「まあこうなったら認識阻害もクソもねえな。よし。どの道その内やるんだ。ここら一体の目撃者全員殺っとくか……試運転だよろしくなぁッ!」
そして男は右腕を突き出し、そして人差し指に嵌められていた指輪が光り。
「「……ッ」」
男を中心に勢いよく、殺意と共に影が展開する。
世界を侵食するように。
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