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二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。
17 聖女さん達、カチコミ
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王都の上空を飛んでしばらくして。
「……この辺かな」
一先ずこの辺りで降りた方が良いという判断をした私は、高度を落として着地する。
そして男も結界を足場にして地面へと降りてくる。
「大丈夫? 息とか上がってない?」
私と違って結構な運動量だったと思うので一応聞いてみるけど、涼しい顔で男は言う。
「常日頃からトレーニングはやっている。この位なんてことは無い」
「ならいいや」
だったら早く次の行動に移そう。
「で、この下だね」
「ああ。さっきみたいに浅い位置からの反応じゃない。もっと深く……恐らく地下施設の中を進んでいるな」
「……地下施設ね。じゃあそこがアジトって訳だ」
そう言って私は掌に拳を打ち付ける。
「じゃあさっさとカチこもう。カチコミだカチコミ」
「当然だ。当然なんだが……もっと言い方は無いのか?」
「え? なんかおかしかった?」
「いや……なんでもない」
男は軽くため息を吐く。
えーっと、そんなにおかしい事言ってたかな私?
……まあどうでもいいや!
「さって、じゃあとにかく地下に下りないと。えーっとどうする? これマンホールとか下りたら地下とか行けるんだっけ?」
「まあ行けるだろうが……下りた先が普通に通路になってるかなんてのは用途によって違ってくるだろ。それより確実な方法がある」
「というと?」
「俺の空間転移で内部まで飛ばす」
「なるほどほんと便利な魔術だね。今度私も勉強しよ」
それ系統は習得してないけど、まあなんとかなるでしょ。
「じゃあよろしく」
「……一つ忠告しておくぞ」
男は言う。
「空間転移はやろうと思えば相手を地面の中に生き埋めにする事だってできる術式だ。今後同じような事を提案してくる奴が居ても基本頷くなよ」
「えぇ……このタイミングでそれ言う? なんか怖くなってきたんだけど」
……まあでも。
「でもアンタはそういう事しないでしょ」
私は一度コイツと戦っている。
その事実は色々と事情を聞いた今でも変わらなくて、実際条件が揃えばまたそうなるんじゃないかと私は思っている。
そのスタンスはきっと変わっていないんじゃないかなって思うよ。
……だけど、今はその時じゃない。
今このタイミングでこの男が裏切る事は絶対に無い。
「……そうか」
男はそう言ってどこか満更でもない表情を浮かべる。
……やっぱコイツ、基本的には普通の善人なんだ。
「じゃあ行くぞ」
「よしきた。あ、でも変な所触らないでよ?」
「触るか馬鹿。ほら、手を出せ」
「はい」
そして私の手を男が取って……魔術が発動する。
「一応飛んだ先に敵が居るかとか罠があるかとかは分からない。警戒していけ」
「了解」
そして次の瞬間、景色が移り変わる。
「……この辺かな」
一先ずこの辺りで降りた方が良いという判断をした私は、高度を落として着地する。
そして男も結界を足場にして地面へと降りてくる。
「大丈夫? 息とか上がってない?」
私と違って結構な運動量だったと思うので一応聞いてみるけど、涼しい顔で男は言う。
「常日頃からトレーニングはやっている。この位なんてことは無い」
「ならいいや」
だったら早く次の行動に移そう。
「で、この下だね」
「ああ。さっきみたいに浅い位置からの反応じゃない。もっと深く……恐らく地下施設の中を進んでいるな」
「……地下施設ね。じゃあそこがアジトって訳だ」
そう言って私は掌に拳を打ち付ける。
「じゃあさっさとカチこもう。カチコミだカチコミ」
「当然だ。当然なんだが……もっと言い方は無いのか?」
「え? なんかおかしかった?」
「いや……なんでもない」
男は軽くため息を吐く。
えーっと、そんなにおかしい事言ってたかな私?
……まあどうでもいいや!
「さって、じゃあとにかく地下に下りないと。えーっとどうする? これマンホールとか下りたら地下とか行けるんだっけ?」
「まあ行けるだろうが……下りた先が普通に通路になってるかなんてのは用途によって違ってくるだろ。それより確実な方法がある」
「というと?」
「俺の空間転移で内部まで飛ばす」
「なるほどほんと便利な魔術だね。今度私も勉強しよ」
それ系統は習得してないけど、まあなんとかなるでしょ。
「じゃあよろしく」
「……一つ忠告しておくぞ」
男は言う。
「空間転移はやろうと思えば相手を地面の中に生き埋めにする事だってできる術式だ。今後同じような事を提案してくる奴が居ても基本頷くなよ」
「えぇ……このタイミングでそれ言う? なんか怖くなってきたんだけど」
……まあでも。
「でもアンタはそういう事しないでしょ」
私は一度コイツと戦っている。
その事実は色々と事情を聞いた今でも変わらなくて、実際条件が揃えばまたそうなるんじゃないかと私は思っている。
そのスタンスはきっと変わっていないんじゃないかなって思うよ。
……だけど、今はその時じゃない。
今このタイミングでこの男が裏切る事は絶対に無い。
「……そうか」
男はそう言ってどこか満更でもない表情を浮かべる。
……やっぱコイツ、基本的には普通の善人なんだ。
「じゃあ行くぞ」
「よしきた。あ、でも変な所触らないでよ?」
「触るか馬鹿。ほら、手を出せ」
「はい」
そして私の手を男が取って……魔術が発動する。
「一応飛んだ先に敵が居るかとか罠があるかとかは分からない。警戒していけ」
「了解」
そして次の瞬間、景色が移り変わる。
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