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二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。
30 聖女さん達、煙幕の中の乱戦
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五十人。
単純計算で行くと私が担当するのはその半分ってところかな。
……正直それだけの数を相手にするのはしんどい。
魔物ならまだしも相手は人間。それも操られている可能性が高いとなれば、とてもじゃないが辺り一帯消し飛ばすような攻撃はできないから。
……というか煙幕が晴れるから風を使えない。
ルカはそれを分かって煙幕を張っているのだろうか? それとも考慮してなかったのか。
……いや、きっと風を使わなくても削りきれると判断されたんだと思う。
そしてそれは実際できると思う。
少々しんどいけどね。
ルカの煙幕は使われるとマジで視界を潰される。
そして相手が使う、人間を操る魔術の仕様がどういうものかは分からないけれど、これだけの数をマニュアルで動かしている可能性は低くい。
多分目的に向けて一律で動かしていて、故に全て各々の感覚で動いている。
つまり視界を潰せば、動きはほぼ完全に止められる。
……ほぼ一方的に殴り倒し続ける事ができる!
一人、二人、三人四人。
それぞれに効率よく流れるように拳を叩き込んでいく。
たまに来る闇雲な反撃も全てかわし、意識を奪っていく。
そしてまだ煙幕は晴れない。
ルカの方も言いたくないけど私よりも早いペースで薙ぎ倒していっている。
あの山で私よりも若干出力が低いのにも関わらず、こっちの攻撃を捌きまくってただけある。
魔術の出力とかを度外視すると、戦闘技能は一枚上手を行かれているよ。
ほんと……もう敵に回したくないなぁ。
そんな風に、この部屋も楽に制圧できると思っていた時だった。
「……ッ!?」
突然足元が黒く染まる。
まるでどす黒い影でも生まれたように。
……分からない。何が起きているのか。
それでも……嫌な予感はしたから、地に足を付けない為にその場で跳び上がった。
次の瞬間、足元の影のような何かから勢いよく棘の様な物が私を串刺しにするような軌道で勢いよく生えてくる。
「うわッ!?」
咄嗟に下方向に結界を展開。
そのトゲを受け止める。
……ヒビは入らない。
だけど明らかにさっきの通路の雑魚の攻撃よりも威力が強い。
……なんだ?
この煙幕の中で誰が何をしているの?
と、周囲を見渡すと……いた。
視界を奪っている筈なのに目が合った。
雑魚に隠れるようにして立つ、指輪を付けた男と。
「なるほど……来たね」
脳裏にニット帽の男との会話が過ってくる。
『そんで二つ目。指輪持ちには気を付けた方が良い』
『指輪持ち?』
『ああ。原理は良く分からねえけどあの指輪を使って明らかに実力以上の魔術を使ってくる奴が居る。俺が負けたのも指輪持ちだし、他にそういう連中が何人も居るのを操られてから確認した』
……きっとアイツもその一人だ。
この床も今の攻撃も全部アイツだ。
……本当に?
視界の端に、別の男が見える。
……明らかにこちらの位置情報も周囲の雑魚の位置情報を理解した上で動いている奴がいる。
二人……いや、三人。
私が確認できただけで……私が担当している分だけでそれだけ。
それを認識した瞬間、私を取り囲むように薄い板状の結界が出現。
それらも影に飲まれるように一瞬で黒くなり……何をやろうとしているのかが分かって血の気が引いた。
……さっきの攻撃を至近距離四方八方から同時に撃つ気だ。
……いや、でも結界で凌げる。
さっきは凌げた。
あの威力なら強度を落として私の周囲全方向に結界を張っても凌ぎ切れる筈だ。
……本当にさっきの一撃が、ブラフではなく最大出力だったなら。
「ち……ッ!」
ルカには悪いけど風を使わせてもらうよ。
どうせヤバい奴らには何故か通用してないんだし……煙幕は此処まで。
まずはこの瞬間の自分の身を守る事が先決!
そして風属性の魔術を発動。
かまいたちを発生させ、周囲に張られた黒い結界をズタズタに引き裂き一瞬で破壊する。
……できたけど薄さの割に中々の強度。
黒くしたことで強度が上がっているのか……これが例の指輪で放たれた魔術の一種なのか……別の何かか。
……とにかく、強敵だ。
その強敵が複数人居る。
そして私の風魔術で煙幕が晴れた。
「ごめん!」
「構わん! 臨機応変に行くぞ!」
そう言うルカの周囲にも……明らかに動きの違う奴が三人程。
しかも全員指輪を付けている。
……確認できただけでこれで計6人。
残った雑魚はこの際カウントから外すとしても……2対6。
思った以上にしんどい戦いになりそうだよ。
単純計算で行くと私が担当するのはその半分ってところかな。
……正直それだけの数を相手にするのはしんどい。
魔物ならまだしも相手は人間。それも操られている可能性が高いとなれば、とてもじゃないが辺り一帯消し飛ばすような攻撃はできないから。
……というか煙幕が晴れるから風を使えない。
ルカはそれを分かって煙幕を張っているのだろうか? それとも考慮してなかったのか。
……いや、きっと風を使わなくても削りきれると判断されたんだと思う。
そしてそれは実際できると思う。
少々しんどいけどね。
ルカの煙幕は使われるとマジで視界を潰される。
そして相手が使う、人間を操る魔術の仕様がどういうものかは分からないけれど、これだけの数をマニュアルで動かしている可能性は低くい。
多分目的に向けて一律で動かしていて、故に全て各々の感覚で動いている。
つまり視界を潰せば、動きはほぼ完全に止められる。
……ほぼ一方的に殴り倒し続ける事ができる!
一人、二人、三人四人。
それぞれに効率よく流れるように拳を叩き込んでいく。
たまに来る闇雲な反撃も全てかわし、意識を奪っていく。
そしてまだ煙幕は晴れない。
ルカの方も言いたくないけど私よりも早いペースで薙ぎ倒していっている。
あの山で私よりも若干出力が低いのにも関わらず、こっちの攻撃を捌きまくってただけある。
魔術の出力とかを度外視すると、戦闘技能は一枚上手を行かれているよ。
ほんと……もう敵に回したくないなぁ。
そんな風に、この部屋も楽に制圧できると思っていた時だった。
「……ッ!?」
突然足元が黒く染まる。
まるでどす黒い影でも生まれたように。
……分からない。何が起きているのか。
それでも……嫌な予感はしたから、地に足を付けない為にその場で跳び上がった。
次の瞬間、足元の影のような何かから勢いよく棘の様な物が私を串刺しにするような軌道で勢いよく生えてくる。
「うわッ!?」
咄嗟に下方向に結界を展開。
そのトゲを受け止める。
……ヒビは入らない。
だけど明らかにさっきの通路の雑魚の攻撃よりも威力が強い。
……なんだ?
この煙幕の中で誰が何をしているの?
と、周囲を見渡すと……いた。
視界を奪っている筈なのに目が合った。
雑魚に隠れるようにして立つ、指輪を付けた男と。
「なるほど……来たね」
脳裏にニット帽の男との会話が過ってくる。
『そんで二つ目。指輪持ちには気を付けた方が良い』
『指輪持ち?』
『ああ。原理は良く分からねえけどあの指輪を使って明らかに実力以上の魔術を使ってくる奴が居る。俺が負けたのも指輪持ちだし、他にそういう連中が何人も居るのを操られてから確認した』
……きっとアイツもその一人だ。
この床も今の攻撃も全部アイツだ。
……本当に?
視界の端に、別の男が見える。
……明らかにこちらの位置情報も周囲の雑魚の位置情報を理解した上で動いている奴がいる。
二人……いや、三人。
私が確認できただけで……私が担当している分だけでそれだけ。
それを認識した瞬間、私を取り囲むように薄い板状の結界が出現。
それらも影に飲まれるように一瞬で黒くなり……何をやろうとしているのかが分かって血の気が引いた。
……さっきの攻撃を至近距離四方八方から同時に撃つ気だ。
……いや、でも結界で凌げる。
さっきは凌げた。
あの威力なら強度を落として私の周囲全方向に結界を張っても凌ぎ切れる筈だ。
……本当にさっきの一撃が、ブラフではなく最大出力だったなら。
「ち……ッ!」
ルカには悪いけど風を使わせてもらうよ。
どうせヤバい奴らには何故か通用してないんだし……煙幕は此処まで。
まずはこの瞬間の自分の身を守る事が先決!
そして風属性の魔術を発動。
かまいたちを発生させ、周囲に張られた黒い結界をズタズタに引き裂き一瞬で破壊する。
……できたけど薄さの割に中々の強度。
黒くしたことで強度が上がっているのか……これが例の指輪で放たれた魔術の一種なのか……別の何かか。
……とにかく、強敵だ。
その強敵が複数人居る。
そして私の風魔術で煙幕が晴れた。
「ごめん!」
「構わん! 臨機応変に行くぞ!」
そう言うルカの周囲にも……明らかに動きの違う奴が三人程。
しかも全員指輪を付けている。
……確認できただけでこれで計6人。
残った雑魚はこの際カウントから外すとしても……2対6。
思った以上にしんどい戦いになりそうだよ。
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