153 / 280
二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。
ex ギルドの部長、大人としての真っ当な判断
しおりを挟む
もっともそういう話を切り出すにもタイミングが重要だ。
そしてそういう話は言ってしまえば内輪の私情の話で。
流石に大事な話の腰は折れない。
「とにかく早急に手を打つ必要がある。動ける奴を動かせるだけ動かして事に当たる。それでいいなバカボス」
「ああ。俺も端からそのつもりだ。なんか無茶苦茶強い一般人が二人乗り込んでいるらしいが、素性も何もわからねえソイツらに全部任せておく訳にもいかねえし」
だけど発言できる所は発言しておく。
「あ、その内の一人、たぶんアンナさんっす」
「アンナって……まさかアイツか!?」
驚愕するクライドに対しやや冷静にマルコが言う。
「アンナっていうと、前に話してた同時期に追放された聖女の内の一人か。何かやべえ事が起きているかもしれねえっつう」
(なんかマフィアにボク達の情報共有されてんすけど!?)
「ちなみにウチの隣に居るシズクちゃんもまさにその一人です」
「……世の中せっめえ……」
と、僅かに脱線した話を軌道修正するようにクライドが言う。
「まあドラゴンの大群を素手でシバくような奴がいるなら、テロ組織の一つや二つ位簡単に壊滅させられそうな気はするな」
それを聞いて結構堂々とドヤるシエル。
「おい何でお前がドヤってんだよ。この馬鹿はお前の事一言も褒めてねえぞ」
「親友が評価されてるのは自分の事の様に嬉しいからね」
「……お前の交友関係どうなってんだよ。国中に友達居るんじゃねえか?」
「まあマコっちゃんと友達になれてる時点で、大体色んな人と友達だよ」
「誰が友達だ! あとマコっちゃん言うな!」
「え、えーっと」
と、此処で再び凄い勢いで脱線していた話を元に戻すように、あまり会話に参加してこなかったというより参加できていなかったミカが軽く手を上げて言う。
「じゃあ突入した二人に任せる……感じですかね?」
「いや」
クライドはその言葉を否定する。
「誰が突入していようとやる事は変わらねえ。強い奴が、やれる奴が全部抱えて進まなきゃいけないなんて事はねえんだから。バックアップの一つや二つすら放棄するつもりはねえよ」
それに、とクライドは言う。
「そういう連中が援軍を要請してるんだ。最悪自分達だけじゃ力不足な可能性みたいのを感じてるんだろうよ」
「アンナさんで……力不足?」
「多分アンナってのは女の方だよな。俺に援軍を頼んだのは男の方だ」
そしてクライドは言う。
「それが誰だかは分からないが……まあ元聖女のアイツと一緒に行動できるって事は中々の手練れだろ。そういう奴の直感みたいな奴には従うだけの価値がある……というかそれだけ力があって自分の力を過信しないってのはすげえよな。何処の誰かはしらねえが優秀だよ」
それを聞いて少しドヤるミカ。
「あの、なんでそこの嬢ちゃんがドヤってんだ? ……というか聞きそびれたけどその子誰? 此処まで唯一誰だか分からない状態で話進んでるんだけど」
「……ッ!?」
ミカに凄い緊張感が走ったのが分かった。
当然だ。中々堂々と明かし辛い素性な上、その辺を暴露しかねない爆弾がすぐ近くに居るのだから。
「ウチの友達」
だけどシエルはそう言っただけ。
……流石に時と場合は選んだ。
「お前がそれ言うと何に対しても違和感なくなるのすげえよな」
「おいバカボス、それだと俺とコイツも友達みてえになるだろうが!」
「いや、それ事実だろ」
「事実じゃねえ!」
そう言ったマルコは深いため息を吐いた後言う。
「とにかく、動く必要があるなら、さっさと動ける連中を集めねえとな」
「いや、それはもうアリアがやってる」
(……さ、更に一人職場にマフィアいたんすけど……!?)
確かに思い返す限り、クライドと先輩のアリアの距離感は妙に近かった。
一応そういう仲かな、とは思ってそっとしておいたけど……全然違う意味で近かった。
「よし、んな訳で頭数揃う前に作戦会議だ。えーっと、そこのお前……名前なんだっけ?」
「俺か? ケニーだ」
「よし、ケニー。お前の頭ん中は貴重な情報の塊だ。正直俺達みたいなのとは一秒たりとも関わりたくは無いだろうが……頼む。少しの間だけで良い。力を貸してくれ」
「……こんな所に連れてこられるのはイレギュラーだったが、端から俺は今回の一件に全力を尽くすつもりだよ」
「よし、じゃあ移動するぞ」
そう言ってマルコが立ち上がり、それに続くようにシズク達四人も立ち上がる。
……立ち上がるが。
「いや、来るのはケニーだけで良い。お前ら三人は此処で待機」
「え、待機って……どういう事っすか?」
「特にシズクちゃんはとんでもない有能だよ?」
少し意味が分からなくてシズクとシエルがそう尋ねると、クライドは当然の事のように言う。
「シズクが強いだろうって事は知ってる。お前だって意味が分からねえけどウチの下っ端連中より強いし、多分この流れだとそっちの嬢ちゃんもだろ。だけど強い弱いとかは関係ねえんだ。ただこれ以上こんな物騒な事に一般人の女子供を関わらせる訳にはいかねえだろ……本当は今突入している二人だって踏み込んじゃいけねえんだよ」
「……」
「特に一人、現在進行形で治療中みたいだしな。尚更関わらせられるか」
そう言ってクライドは動き出す。
「まあついでに聞きたい事も山のようにあるだろうけど、その辺もまた今度な。此処までバレちまった以上、時と場所を選んでくれれば話せる事はちゃんと話す」
「そんな訳で後の事は俺達に任せろ」
クライドに続くようにマルコもそう言うが、そんなマルコにクライドは言う。
「ああ、マコっちゃんも待機」
「はぁ!? 何考えてんだ馬鹿」
「流石に幹部連中全員向かわせる訳には行かねえだろうが」
それに、とクライドは深刻な表情で言う。
「その代わりこの三人を見といてくれ。特にシエルの馬鹿はほっといたら自発的にかもしくは意味が分からねえ偶然の積み重ねで首突っ込んでくる。それはマコっちゃんも分かってるだろ。そうならねえように俺らが戻ってくるまで頼むわ。正直お前じゃないと怖くて任せられねえ」
……これが本題と言わんばかりの声音で。
「……わ、分かった」
吠えていたマルコも大人しく従った。
(ど、どんだけヤバい奴認定されてるんすかシエルさん!)
と、マルコが部屋に残る形になった所でクライドは言う。
「じゃあそんな訳で……後の事は俺達に任せろ」
そう言ってクライド達は部屋から出ていく。
残されたのはシズク達三人と、監視役として置かれたマルコだけ。
「……ウチら一緒に突入する人を探しに来たのに、なんか思ってたのと違う事になったね」
「いやまあ部長ならこういう事言うのは分かるんすけど……駄目だ心配だ。やっぱりボク達も行った方が……」
「ルカ君も応援を呼ばないと駄目だって考えたんなら、一人でも頭数が居た方が……」
と、三人でそんなやり取りをするが。
「……気持ちは分かるが、ちょっと大人しくしてろ。頼むから」
……あまりにも動き辛い。
分厚い壁が目の前に現れた。
そしてそういう話は言ってしまえば内輪の私情の話で。
流石に大事な話の腰は折れない。
「とにかく早急に手を打つ必要がある。動ける奴を動かせるだけ動かして事に当たる。それでいいなバカボス」
「ああ。俺も端からそのつもりだ。なんか無茶苦茶強い一般人が二人乗り込んでいるらしいが、素性も何もわからねえソイツらに全部任せておく訳にもいかねえし」
だけど発言できる所は発言しておく。
「あ、その内の一人、たぶんアンナさんっす」
「アンナって……まさかアイツか!?」
驚愕するクライドに対しやや冷静にマルコが言う。
「アンナっていうと、前に話してた同時期に追放された聖女の内の一人か。何かやべえ事が起きているかもしれねえっつう」
(なんかマフィアにボク達の情報共有されてんすけど!?)
「ちなみにウチの隣に居るシズクちゃんもまさにその一人です」
「……世の中せっめえ……」
と、僅かに脱線した話を軌道修正するようにクライドが言う。
「まあドラゴンの大群を素手でシバくような奴がいるなら、テロ組織の一つや二つ位簡単に壊滅させられそうな気はするな」
それを聞いて結構堂々とドヤるシエル。
「おい何でお前がドヤってんだよ。この馬鹿はお前の事一言も褒めてねえぞ」
「親友が評価されてるのは自分の事の様に嬉しいからね」
「……お前の交友関係どうなってんだよ。国中に友達居るんじゃねえか?」
「まあマコっちゃんと友達になれてる時点で、大体色んな人と友達だよ」
「誰が友達だ! あとマコっちゃん言うな!」
「え、えーっと」
と、此処で再び凄い勢いで脱線していた話を元に戻すように、あまり会話に参加してこなかったというより参加できていなかったミカが軽く手を上げて言う。
「じゃあ突入した二人に任せる……感じですかね?」
「いや」
クライドはその言葉を否定する。
「誰が突入していようとやる事は変わらねえ。強い奴が、やれる奴が全部抱えて進まなきゃいけないなんて事はねえんだから。バックアップの一つや二つすら放棄するつもりはねえよ」
それに、とクライドは言う。
「そういう連中が援軍を要請してるんだ。最悪自分達だけじゃ力不足な可能性みたいのを感じてるんだろうよ」
「アンナさんで……力不足?」
「多分アンナってのは女の方だよな。俺に援軍を頼んだのは男の方だ」
そしてクライドは言う。
「それが誰だかは分からないが……まあ元聖女のアイツと一緒に行動できるって事は中々の手練れだろ。そういう奴の直感みたいな奴には従うだけの価値がある……というかそれだけ力があって自分の力を過信しないってのはすげえよな。何処の誰かはしらねえが優秀だよ」
それを聞いて少しドヤるミカ。
「あの、なんでそこの嬢ちゃんがドヤってんだ? ……というか聞きそびれたけどその子誰? 此処まで唯一誰だか分からない状態で話進んでるんだけど」
「……ッ!?」
ミカに凄い緊張感が走ったのが分かった。
当然だ。中々堂々と明かし辛い素性な上、その辺を暴露しかねない爆弾がすぐ近くに居るのだから。
「ウチの友達」
だけどシエルはそう言っただけ。
……流石に時と場合は選んだ。
「お前がそれ言うと何に対しても違和感なくなるのすげえよな」
「おいバカボス、それだと俺とコイツも友達みてえになるだろうが!」
「いや、それ事実だろ」
「事実じゃねえ!」
そう言ったマルコは深いため息を吐いた後言う。
「とにかく、動く必要があるなら、さっさと動ける連中を集めねえとな」
「いや、それはもうアリアがやってる」
(……さ、更に一人職場にマフィアいたんすけど……!?)
確かに思い返す限り、クライドと先輩のアリアの距離感は妙に近かった。
一応そういう仲かな、とは思ってそっとしておいたけど……全然違う意味で近かった。
「よし、んな訳で頭数揃う前に作戦会議だ。えーっと、そこのお前……名前なんだっけ?」
「俺か? ケニーだ」
「よし、ケニー。お前の頭ん中は貴重な情報の塊だ。正直俺達みたいなのとは一秒たりとも関わりたくは無いだろうが……頼む。少しの間だけで良い。力を貸してくれ」
「……こんな所に連れてこられるのはイレギュラーだったが、端から俺は今回の一件に全力を尽くすつもりだよ」
「よし、じゃあ移動するぞ」
そう言ってマルコが立ち上がり、それに続くようにシズク達四人も立ち上がる。
……立ち上がるが。
「いや、来るのはケニーだけで良い。お前ら三人は此処で待機」
「え、待機って……どういう事っすか?」
「特にシズクちゃんはとんでもない有能だよ?」
少し意味が分からなくてシズクとシエルがそう尋ねると、クライドは当然の事のように言う。
「シズクが強いだろうって事は知ってる。お前だって意味が分からねえけどウチの下っ端連中より強いし、多分この流れだとそっちの嬢ちゃんもだろ。だけど強い弱いとかは関係ねえんだ。ただこれ以上こんな物騒な事に一般人の女子供を関わらせる訳にはいかねえだろ……本当は今突入している二人だって踏み込んじゃいけねえんだよ」
「……」
「特に一人、現在進行形で治療中みたいだしな。尚更関わらせられるか」
そう言ってクライドは動き出す。
「まあついでに聞きたい事も山のようにあるだろうけど、その辺もまた今度な。此処までバレちまった以上、時と場所を選んでくれれば話せる事はちゃんと話す」
「そんな訳で後の事は俺達に任せろ」
クライドに続くようにマルコもそう言うが、そんなマルコにクライドは言う。
「ああ、マコっちゃんも待機」
「はぁ!? 何考えてんだ馬鹿」
「流石に幹部連中全員向かわせる訳には行かねえだろうが」
それに、とクライドは深刻な表情で言う。
「その代わりこの三人を見といてくれ。特にシエルの馬鹿はほっといたら自発的にかもしくは意味が分からねえ偶然の積み重ねで首突っ込んでくる。それはマコっちゃんも分かってるだろ。そうならねえように俺らが戻ってくるまで頼むわ。正直お前じゃないと怖くて任せられねえ」
……これが本題と言わんばかりの声音で。
「……わ、分かった」
吠えていたマルコも大人しく従った。
(ど、どんだけヤバい奴認定されてるんすかシエルさん!)
と、マルコが部屋に残る形になった所でクライドは言う。
「じゃあそんな訳で……後の事は俺達に任せろ」
そう言ってクライド達は部屋から出ていく。
残されたのはシズク達三人と、監視役として置かれたマルコだけ。
「……ウチら一緒に突入する人を探しに来たのに、なんか思ってたのと違う事になったね」
「いやまあ部長ならこういう事言うのは分かるんすけど……駄目だ心配だ。やっぱりボク達も行った方が……」
「ルカ君も応援を呼ばないと駄目だって考えたんなら、一人でも頭数が居た方が……」
と、三人でそんなやり取りをするが。
「……気持ちは分かるが、ちょっと大人しくしてろ。頼むから」
……あまりにも動き辛い。
分厚い壁が目の前に現れた。
0
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります
桜井正宗
ファンタジー
無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。
突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。
銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。
聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。
大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる