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二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。

49 聖女さん達、到達

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 それからの道中は再び会敵する事も無く、私達は勢いを緩める事無く先へ進んでいく。
 とはいえ道中と言っても元々、もうすぐ目的地へ到着って所であの男との戦いが始まった訳で、大した距離は移動していないんだけどさ。

 まあとにかく到着だよ。

「ここだね」

 目の前の鉄製の扉の先に、私達が追ってきた子供の反応がある。
 鍵は……まあ流石に掛かってるか。
 だけど特別扉に魔術が付与されているような事は無いみたい。
 だったら力業だ。

 やる事を決めた私は扉に掌を向ける。
 魔術で破壊……って手段を安直に取る訳には行かない。

「扉壊さないんですか? 良かったら私がぶっ壊しますけど」

「勿論壊すけどちょっと待って……今扉の隙間から風を流して向うに人居ないか確認してるから」

「あ、成程……ちょっと私の考えが足りてなかったです」

 シルヴィが納得したようにそう言う。
 この部屋の中に子供が居る訳だけど、私達が追ってきた子以外は細かな位置情報を把握できていないから、可能性は低いかもしれないけど扉のすぐ近くに別の子とかが居るかもしれない。
 なのに扉を魔術で破壊したり、蹴り飛ばしたりなんてしちゃったら……まあ多分大怪我じゃ済まないから。
 ちゃんと力業で突入して良いかは確認しておかないと。

 ……そして、大丈夫そう。

「うん、すぐ近くには誰も居ないね。じゃあ遠慮無く行こう……うぉりゃぁッ!」

 言いながら私は扉を思いっきり蹴り飛ばす。
 ……これで鍵なんていらない。

「よし、じゃあ行こうか。此処の犯人もこの扉みたいにぶっ飛ばしてやる」

 言いながら私はその部屋の中に足を踏み入れる。
 これまた随分と広い部屋で……多分今までで一番広い気がする。
 ……此処で何か大規模な実験を行おうとしていたんじゃないかって位。

 ……そして向うから歩いて来る人影が見えた。
 白衣の人間。

「……?」

 それだけしか認識できない。
 人である事は間違いないんだけど、それが男なのか女なのかも分からなければ年齢とかも分からない。
 ……とにかく脳が目の前の情報を正確に認識できていないような、そんな感じ。

「認識阻害の魔術か」

「……みたいだね。もしかしたら結構な有名人だったりして」

「今までと違って顔隠してるから主犯の人って感じですかね」

「なんかそんな感じっぽいっすね」

「なんか卑怯……いや、私は人の事言えませんね。仮面付けてたし」

 ……とにかく自分がどこの誰かかを絶対に知られたくないって感じだ。
 まあそりゃ悪事働いてて素顔なんて晒したくはないか。
 捕まるリスクが高くなる訳だから。

 ……まあ関係無いか。
 別に男か女かとか年齢だとか、どんな奴かなんてのは関係ない。

「ま、私達のやる事は変わらないよ」

 言いながら構えを取る。
 ……とりあえず倒さないといけない相手ってのは分かるからさ、それで十分でしょ。

「とにかく皆、油断せずにぶっ飛ばしていこう!」

 さあシバき倒そうか!
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