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二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。

63 聖女さん達、本日は解散

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 あれからしばらくして、私達はマフィアの事務所を後にする事にした。
 多分あの部長さん達には色々と説明しないといけない事が一杯あるとは思うんだけど、いつ頃戻ってくるのかも分からないからどうしようって話になった所で、しーちゃんが私から説明しておくから帰っても大丈夫って言ってくれたんだ。
 それでお任せした訳だ。

 ……疲労もエグいしね。

 一応共有するべき情報は全部共有しているし問題ないと思う。
 あとマフィアの事務所にしーちゃん一人で置いとくのは、とも一瞬思ったけど、なんか血を洗い流して着替えるためにほぼ顔パスでシャワー借りに行ったのを見て大丈夫そうだなって思った。
 いや、ほんと……何がどうなったら、マフィア相手にその馴染み方ができるの?

 ……とにかく、しーちゃんを残して私達は各々帰宅する事に。

「じゃあ何か分かったら連絡するね」

「ああ。もし協力できる事があったら何でも言え。やれる範囲で手を貸す」

「そっちもね。やれる範囲で手を貸すよ」

 そんなやり取りをルカと交わし、その隣でシズクとミカも何か談笑している。いやーうん、完全に友達って感じ。
 ちなみにシルヴィとステラはルカとミカとは若干距離が遠い感じだね。まあ色々あったからね。中々シズクみたいな感じは難しいと思う。
 殺しあった相手と協力まではできても、普通に仲良くってのはややハードルが高い。
 まあそれでも、殺しあいやってた所から、ちょっと距離感がある程度にまで近付いている訳だから、時間の問題だとは思うけども。

「ああそうだ、あの山でやってた事だけど──」

「なんだ、しつこいな。その辺は言えんと言っただろ」

「分かってる。別に言わなくても良いよ。ただしばらくは下手に動かない方が良いと思うよって釘を刺そうと思っただけ……向こうに何をやっているのかが筒抜けなんだったらね」

「肝に命じておく……悪いな、何も言えないのにそういう気だけ使わせて」

「いい。普通に心配だったし、言わないせいで何かあったらやだしね」

「お前も何かあったら一人で突っ走るな。ちゃんと周りに相談しろよ」

「うん、分かってる」

「ならいい……っと、忘れる所だった、ちょっとメモ貸して」

「ん? 構わんが」

 そう言って相変わらずどこかから紙とペンを取り出す。
 相変わらず凄いよね……今度教えてもらおうかな?
 ……まあそれはまた今度で。
 私は受け取った紙に簡単な地図を書いて手渡す。

「これは?」

 ルカがそう聞いてくるので、ミカに聞こえないように小声でルカに言う。

「ほら、地下移動してた時、ケーキ屋教えるって言ってたじゃん。今度ミカに買っていってあげて」

「ああ、そういう話をしていたな」

 ルカが仮面を砕いてた時にね。
 独り言設定はどこか行った。

「ちなみにしーちゃんのご両親がやってる」

「だったら尚更買いに行かねばな。ありがとう、助かる」

「どういたしまして」

 そんなやり取りを交わしながらメモを手渡して、それでルカとの会話は終了。私は少し下がってシルヴィとステラの所へ。
 すると二人は私にしか聞こえないような小声で言う。

「しかしまあ、別に良いんだけどさ……直近殺しあった男女の距離感じゃねえ」

「それにこれもしかして……略奪愛って奴ですか」

「……殺伐としてたのに、急にドロドロしてきたな」

「でも私そういうドロドロした話聞くの結構好きですよ」

「え、マジで?」

「あの、盛り上がりかけてるところ悪いけど、何をどう見たら私達がどう見えるの」

 いや、それは無いでしょ。
 ないないない……いやーうん、無いでしょ。
 そもそも略奪愛は趣味じゃないし。
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