210 / 280
三章 聖女さん、冒険者やります
5 聖女さん、飛行免許
しおりを挟む
それから私達は受付嬢さんの所に赴いて、依頼を受ける手続きをする。
細かい依頼の詳細を聞いて、そしてそれから。
「それじゃあシズクちゃんをよろしくお願いします」
受付嬢さんにそんな事を言われた後、私達はギルドを後にする。
よろしく頼まれたからちゃんと頑張らないとね。
……しっかし良い職場だよねここ。
それと反比例する位、上の人が酷くて中間管理職の部長さんが死にそうになってるけど。
……で、ギルドを出た私達は、目的地へ足取りを向ける事になった訳だけど。
「ところでシズク、一つ聞いておきたい事があるんだけど」
「ん? なんすか?」
「しばらくこの国で生活してると、偶に街中をデカイ鳥とかに乗っている人とかを見たりするんだけど、小型だったら街中で飛竜に乗ったりしても大丈夫な感じ? 前回は離れた所まで移動してから乗ってたんだけど、結構その移動も煩わしいなって」
「ああ、多分リュウ君に乗ればすぐに移動できるっすからね」
シズクもここ数日のお休みの間にリュウ君と対面済みだ。
ものすごいじゃれ付いてた。やっぱり私達じゃないと死ぬかもしれない。
……まあとにかく、そんなリュウ君にこの辺から乗れれば目的地までの移動時間が一気に短くなるよねって話。
「で、どう?」
「まあ乗れる事には乗れるっすけど、その為には免許がいるっすね。普通に乗るのは緊急時以外だと取り締まりの対象っすね」
「へぇ、免許制なんだ」
聞く前に乗ったりしなくて良かった。
「それって簡単に取れたりする?」
「んーまあ通常だと二、三週間程学校に通ってから免許センターで学科試験を受けてって感じになるんすけど、多分アンナさんなら実技は問題ないと思うんで、いきなり免許センターで実地試験と学科試験を受けて大丈夫だと思うっす。それで受かればしすぐっすよ」
「へぇ、なら今度暇なときに取りに行こうかな」
「そうしとけよ。何かと便利だろ」
「やる前から合格確実みたいなものですからね。ささっと取っちゃいましょう」
「おっと、甘く見てると足元すくわれるっすよ。正直軽く勉強はしといた方がいいっす」
「大丈夫じゃね?」
「駄目っすよ。ほら、各国それぞれ交通ルールとかあるっすから」
「あーそうだ。確かにその辺は事前にしっかり確認しとかないとね」
「それに聞いた話によると、あの手の試験は結構厄介な問題がでるんすよ」
「へーどんな? 良かったら試しに出してみてよ」
「良いっすよ……じゃあ」
シズクは軽く咳払いしてから言う。
「夜間は気を付けて乗らなければならない。〇か×か」
「……厄介じゃなくない? 普通に○でしょ」
「×な訳ねえだろ危ねえし」
「暗いから気を付けて乗らないと駄目ですよね」
「さて正解は……×っす」
「「「はぁッ!?」」」
三人してそんな声を上げる。
「い、いや×な訳無いでしょ。危ないじゃん!」
「正解は夜だけでは無く昼も気を付けて乗らなければならないので×です」
「……なあ今、夜の話してたよな?」
「昼の話なんて全くしてないですよね?」
「してないっす……」
「……これ悪質な冗談って訳じゃないよね?」
「悪質な冗談みたいな厄介な事実っす……」
「えぇ……マジかぁ……」
こ、これは思った以上にちゃんと対策しないといけない気がする。
へ、屁理屈大会に打ち勝つ為の。
……まあそれは後日やる話で。
その後私達は前回の時と同じように、リュウ君に乗れる場所まで移動したのだった。
細かい依頼の詳細を聞いて、そしてそれから。
「それじゃあシズクちゃんをよろしくお願いします」
受付嬢さんにそんな事を言われた後、私達はギルドを後にする。
よろしく頼まれたからちゃんと頑張らないとね。
……しっかし良い職場だよねここ。
それと反比例する位、上の人が酷くて中間管理職の部長さんが死にそうになってるけど。
……で、ギルドを出た私達は、目的地へ足取りを向ける事になった訳だけど。
「ところでシズク、一つ聞いておきたい事があるんだけど」
「ん? なんすか?」
「しばらくこの国で生活してると、偶に街中をデカイ鳥とかに乗っている人とかを見たりするんだけど、小型だったら街中で飛竜に乗ったりしても大丈夫な感じ? 前回は離れた所まで移動してから乗ってたんだけど、結構その移動も煩わしいなって」
「ああ、多分リュウ君に乗ればすぐに移動できるっすからね」
シズクもここ数日のお休みの間にリュウ君と対面済みだ。
ものすごいじゃれ付いてた。やっぱり私達じゃないと死ぬかもしれない。
……まあとにかく、そんなリュウ君にこの辺から乗れれば目的地までの移動時間が一気に短くなるよねって話。
「で、どう?」
「まあ乗れる事には乗れるっすけど、その為には免許がいるっすね。普通に乗るのは緊急時以外だと取り締まりの対象っすね」
「へぇ、免許制なんだ」
聞く前に乗ったりしなくて良かった。
「それって簡単に取れたりする?」
「んーまあ通常だと二、三週間程学校に通ってから免許センターで学科試験を受けてって感じになるんすけど、多分アンナさんなら実技は問題ないと思うんで、いきなり免許センターで実地試験と学科試験を受けて大丈夫だと思うっす。それで受かればしすぐっすよ」
「へぇ、なら今度暇なときに取りに行こうかな」
「そうしとけよ。何かと便利だろ」
「やる前から合格確実みたいなものですからね。ささっと取っちゃいましょう」
「おっと、甘く見てると足元すくわれるっすよ。正直軽く勉強はしといた方がいいっす」
「大丈夫じゃね?」
「駄目っすよ。ほら、各国それぞれ交通ルールとかあるっすから」
「あーそうだ。確かにその辺は事前にしっかり確認しとかないとね」
「それに聞いた話によると、あの手の試験は結構厄介な問題がでるんすよ」
「へーどんな? 良かったら試しに出してみてよ」
「良いっすよ……じゃあ」
シズクは軽く咳払いしてから言う。
「夜間は気を付けて乗らなければならない。〇か×か」
「……厄介じゃなくない? 普通に○でしょ」
「×な訳ねえだろ危ねえし」
「暗いから気を付けて乗らないと駄目ですよね」
「さて正解は……×っす」
「「「はぁッ!?」」」
三人してそんな声を上げる。
「い、いや×な訳無いでしょ。危ないじゃん!」
「正解は夜だけでは無く昼も気を付けて乗らなければならないので×です」
「……なあ今、夜の話してたよな?」
「昼の話なんて全くしてないですよね?」
「してないっす……」
「……これ悪質な冗談って訳じゃないよね?」
「悪質な冗談みたいな厄介な事実っす……」
「えぇ……マジかぁ……」
こ、これは思った以上にちゃんと対策しないといけない気がする。
へ、屁理屈大会に打ち勝つ為の。
……まあそれは後日やる話で。
その後私達は前回の時と同じように、リュウ君に乗れる場所まで移動したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります
桜井正宗
ファンタジー
無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。
突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。
銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。
聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。
大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる