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三章 聖女さん、冒険者やります
30 聖女さん、再びマフィアの事務所
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それからしばらくして私達はマフィアの事務所へと足を踏み入れた。
「二回目となると慣れたもんだね」
「そうっすね。もう全然怖くないっす」
「そもそもマフィア感全然ねえからな」
「ボスがあの部長さんですからね」
正直此処の人達に対する印象はもうそんな感じなので、少なくとも幽霊屋敷の中よりは足取りは軽い。
これで良いのかは分からないけど、まあいいでしょ。
そんな事より。
「ってそういえば此処に来たは良いけど、何処に向かえば良いんだろ」
「あーそういえばその辺話聞いてなかったっすね」
なんかもう顔パスで此処に入れちゃったもんだから、入り口に立っていた構成員の人とも軽い会釈しかしなかったし……情報が無い。
「まあ多分応接室みたいな所だと思うんすけどね。この前ボク達もそこに通されたし」
「でも一回誰か捕まえて聞いといた方が良いんじゃねえか?」
「見当違いな所に行って、見ちゃいけない物とかを見ちゃったら大変ですからね」
シルヴィのその発言に、少し間を空けてから四人共頷く。
うん、皆この場に全然ビビらなくはなったけど、そういうヤバい何かは有ってもおかしくないんだよね。
その辺の恐ろしさは、幽霊屋敷よりもよっぽど現実味があって怖い。
「何か有ってもお主らなら全員シバき倒せるじゃろ。何ビビっておるのじゃ?」
「いや、そういう問題じゃないんですよ」
私が苦笑いを浮かべながらレリアさんにそう言った所で、事務所の奥から声が聞こえた。
「あ、皆! お疲れ!」
手を振りながら歩み寄ってきたのはしーちゃんだ。
「あ、しーちゃん! 良かった無事だった!」
「ん? 今回ウチ危ない要素無くない?」
「いや、だって私の後任の聖女と会ってるんでしょ? あの人がヤバい人かもしれないからって心配してたんだよ!」
「あーそっか。そうだよね。実際そうかもしれないから一旦此処に連れてきてる。でもまあ今の所何も危ない事は起きていないよ。連れてくるまでも、連れて来た後もね」
「……そっか、良かった」
思わず胸を撫で下ろす。
本当にそれだけは良かったよ。
「で、ウチの方からも気になる事がいくつかあるんだけど……ステラが血塗れなのは聞くだけ野暮かな。まあ荒事に関わっていたらどれだけ強い人でもそこそこあるよねそういう事。私も良くあるしね、ハハハ」
笑いながら言うなそんな事ぉッ!
「それより……そこの新メンバーは? なんか少し透けてるんだけど」
「ああ、しーちゃんも見えるんだ」
しーちゃんに関してはあんまり驚かないな。
このトラブルメーカーなら普通に見えるでしょっていう、嫌な信頼感がある。
「見える……というと?」
「実はね──」
今日有った事を掻い摘んで説明する。
それをどこか楽しそうに聞いていたしーちゃんは、一通り聞き終えた後に言う。
「幽霊屋敷かぁ、折角だしウチも行きたかったなー」
「いやいや、大変だったんだって!」
「ほらこの通りな」
ステラは自身の額を指さして言う。
「せ、説得力が凄いねそのやり方……まあ、行きたかったって好奇心は否定しないけど、着いて行ってないって事が良かったってのは流石に分かるよ。今回のは比較的ヤバい系の案件だったと思うから」
何と比較しているのかが気になる。
絶対もっとヤバい事にも巻き込まれてるんだよなぁしーちゃん。
「ま、でも此処に来てるレリアさんは仲間って事で良いんだよね。そんな訳でよろしく、レリアさん」
そう言って手を差し出すしーちゃん。
「正直お主がどういう立ち位置の人間なのかは全然知らんが、こやつらの仲間という事で良いのじゃろう。とりあえずよろしく頼む」
そしてその手をレリアさんが握る。
「おぉ! なにこの……一方的に握られている感! ウチ全然触れられてないのに触れられてる!」
「ま、ワシには実体が無いからの。それよりお主……中々良い体をしとるの」
「え……へ? いや、あの……ごめん、ウチ普通に男の人好きだし……」
「は? 何を勘違いしておる。誰もそんな話はしておらんじゃろ」
……いや、結構際どい事言ってなかった今。
まあ一応言いたい事は分かるけど。
「あの、駄目ですよレリアさん。しーちゃんに変な事をしたら……マジで潰しますから」
良い体っていうのは丁度良い体って事だろう。
相性が良い的な。
「心配するな。それ以外にあの場を出る為にあの指輪を使ったんじゃからの。こんな形でお主らの敵に回るような事はせん」
……なら良いんだけど。
「あ、もしかしてウチの体に乗り移れるって感じ? 話に出てたシルヴィちゃんにやった時みたいに!」
「おい、このシエルとやら目がキラキラしておるぞ」
「……」
なんだろう、しーちゃんの場合乗り移られてもなんかこう……うまく事が進みそうな気がしてきたよ、うん。
「二回目となると慣れたもんだね」
「そうっすね。もう全然怖くないっす」
「そもそもマフィア感全然ねえからな」
「ボスがあの部長さんですからね」
正直此処の人達に対する印象はもうそんな感じなので、少なくとも幽霊屋敷の中よりは足取りは軽い。
これで良いのかは分からないけど、まあいいでしょ。
そんな事より。
「ってそういえば此処に来たは良いけど、何処に向かえば良いんだろ」
「あーそういえばその辺話聞いてなかったっすね」
なんかもう顔パスで此処に入れちゃったもんだから、入り口に立っていた構成員の人とも軽い会釈しかしなかったし……情報が無い。
「まあ多分応接室みたいな所だと思うんすけどね。この前ボク達もそこに通されたし」
「でも一回誰か捕まえて聞いといた方が良いんじゃねえか?」
「見当違いな所に行って、見ちゃいけない物とかを見ちゃったら大変ですからね」
シルヴィのその発言に、少し間を空けてから四人共頷く。
うん、皆この場に全然ビビらなくはなったけど、そういうヤバい何かは有ってもおかしくないんだよね。
その辺の恐ろしさは、幽霊屋敷よりもよっぽど現実味があって怖い。
「何か有ってもお主らなら全員シバき倒せるじゃろ。何ビビっておるのじゃ?」
「いや、そういう問題じゃないんですよ」
私が苦笑いを浮かべながらレリアさんにそう言った所で、事務所の奥から声が聞こえた。
「あ、皆! お疲れ!」
手を振りながら歩み寄ってきたのはしーちゃんだ。
「あ、しーちゃん! 良かった無事だった!」
「ん? 今回ウチ危ない要素無くない?」
「いや、だって私の後任の聖女と会ってるんでしょ? あの人がヤバい人かもしれないからって心配してたんだよ!」
「あーそっか。そうだよね。実際そうかもしれないから一旦此処に連れてきてる。でもまあ今の所何も危ない事は起きていないよ。連れてくるまでも、連れて来た後もね」
「……そっか、良かった」
思わず胸を撫で下ろす。
本当にそれだけは良かったよ。
「で、ウチの方からも気になる事がいくつかあるんだけど……ステラが血塗れなのは聞くだけ野暮かな。まあ荒事に関わっていたらどれだけ強い人でもそこそこあるよねそういう事。私も良くあるしね、ハハハ」
笑いながら言うなそんな事ぉッ!
「それより……そこの新メンバーは? なんか少し透けてるんだけど」
「ああ、しーちゃんも見えるんだ」
しーちゃんに関してはあんまり驚かないな。
このトラブルメーカーなら普通に見えるでしょっていう、嫌な信頼感がある。
「見える……というと?」
「実はね──」
今日有った事を掻い摘んで説明する。
それをどこか楽しそうに聞いていたしーちゃんは、一通り聞き終えた後に言う。
「幽霊屋敷かぁ、折角だしウチも行きたかったなー」
「いやいや、大変だったんだって!」
「ほらこの通りな」
ステラは自身の額を指さして言う。
「せ、説得力が凄いねそのやり方……まあ、行きたかったって好奇心は否定しないけど、着いて行ってないって事が良かったってのは流石に分かるよ。今回のは比較的ヤバい系の案件だったと思うから」
何と比較しているのかが気になる。
絶対もっとヤバい事にも巻き込まれてるんだよなぁしーちゃん。
「ま、でも此処に来てるレリアさんは仲間って事で良いんだよね。そんな訳でよろしく、レリアさん」
そう言って手を差し出すしーちゃん。
「正直お主がどういう立ち位置の人間なのかは全然知らんが、こやつらの仲間という事で良いのじゃろう。とりあえずよろしく頼む」
そしてその手をレリアさんが握る。
「おぉ! なにこの……一方的に握られている感! ウチ全然触れられてないのに触れられてる!」
「ま、ワシには実体が無いからの。それよりお主……中々良い体をしとるの」
「え……へ? いや、あの……ごめん、ウチ普通に男の人好きだし……」
「は? 何を勘違いしておる。誰もそんな話はしておらんじゃろ」
……いや、結構際どい事言ってなかった今。
まあ一応言いたい事は分かるけど。
「あの、駄目ですよレリアさん。しーちゃんに変な事をしたら……マジで潰しますから」
良い体っていうのは丁度良い体って事だろう。
相性が良い的な。
「心配するな。それ以外にあの場を出る為にあの指輪を使ったんじゃからの。こんな形でお主らの敵に回るような事はせん」
……なら良いんだけど。
「あ、もしかしてウチの体に乗り移れるって感じ? 話に出てたシルヴィちゃんにやった時みたいに!」
「おい、このシエルとやら目がキラキラしておるぞ」
「……」
なんだろう、しーちゃんの場合乗り移られてもなんかこう……うまく事が進みそうな気がしてきたよ、うん。
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