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三章 聖女さん、冒険者やります
33 聖女さん、前提条件がひっくり返る
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「えっと……私だけ違う一件に?」
「ああ」
その発言に場が静まり返る。
……いやいやいや。
「いやいやいや、いくら何でも流石に……流石に……」
だ、駄目だ違うって言い切れない。
「あの、すみません。何やらとんでもなく大きなスケールの話をされているように思うのですが、話せる範囲で構いません。私にも事の詳細を教えていただけないかしら?」
ち、違うって言い切れない……。
……え、ちょっと待って。本当に別件なの私の追放絡みの話って!?
マジであの馬鹿がやらかして、この人も普通にそれはおかしいって思って、裏とか何も無く謝りに来てるの!? えぇ、流石にそれは……でもこの人凄いガチっぽいんだけど……
「どうする。一応この女がすっとぼけていて、俺達全員掌の上で踊らされている可能性も無くは無いが……話すか?」
「良いだろ話しても」
そう言ったのはマフィアの幹部、マルコさんだ。
「連中の仲間なら俺達が何も言わなくても色々把握してる。そんな奴に何か言った所でそこまでの不利益はねえだろ」
それに、とマルコさんは言う。
「今まで色々なタイプの碌でもねえ奴を見て来たけどよ……コイツはそのどれにも当てはまらねえ。俺は冗談抜きでルカの立てた仮説が正しいんじゃねえかって思ってる。とはいえ……決定権を持っているのは俺じゃねえよな」
そう言ってマルコさんは私に視線を向けてくる。
「お前ンとこの国の新聖女だろ。事の詳細話すかどうかはお前が決めろ」
「わ、私かぁ……」
いやいや、そんな事私一人に委ねられても。
とりあえず皆に確認だけ取っておこう。
「えーっと、話しても良いと思う?」
「良いんじゃねえか? その人の言う通り今更知られて不利益になる情報なんてねえだろ」
「私も同感ですね。それに本当に別件だったらその人態々謝りに来てるんですよね。多分自分悪くないのに……このまま蚊帳の外ってのはちょっと可哀想ですよ」
「そうっすね。それが良いと思うっす」
「りょ、了解」
三人にそう言って貰った後、ルカとミカにも視線を向ける。
すると二人は静かに頷いて同意してくれた。
……うん、じゃあ話すか。
シルヴィも言ってたけど、この人がガチであの馬鹿のやらかした事で謝りに来てるなら、このまま疑問だけ残して放置するのはなんかこう……凄く不憫な気がする。
「じゃあざっくり話すよ。あなたがこうして囲まれて威圧感を向けられるような状況になってる根本的な理由……各国の聖女が追放されまくってる件について」
「お願いします。完全に部外者なのは百も承知なのですが、それでも気になって仕方がありませんので……」
完全に部外者……ね。
……ガチっぽいなぁ。
そしてその後私達はミーシャに今起きている事についての説明をした。
流石に私がまだ実家に住んでるみたいな話までは出来ないけれど……それ以外の事を全部。
そして私の説明をミーシャは初々しい反応を見せながら聞いてくれる。
うん、そのリアクションの数々を見ていれば流石に分かるよ。
これ演技じゃない。
物的証拠とかは何も無いけど……ミーシャはシロだ。
今世界規模で何かヤバい事を起こそうとしている連中の関係者じゃない。
そしてミーシャが違うという事はあの馬鹿はマジで馬鹿なんだって事になる。
そしてそれが確定していけば……一つ重大な情報が私達にも齎される。
「差し出がましいのは重々承知しておりますが……それは早急に次の手を打った方が良いと思いますわ」
一通り話を聞いたミーシャは、私達に言う。
「具体的にどうして知っているのかは分かりませんが、アンナさんはご自分が張った結界が正常に動いていると認知している。だけどそれが皆様方の思考のノイズになってしまっている。起きているかもしれない大きな問題を、今はまだ何も起きていないと誤認している恐れがありますわ」
「うん、なんかそんな感じだよね……」
私は深くため息を吐いて、少々申し訳なく感じながら皆に言う。
「これ……結構早い内に、皆の所の国がどうなってるか調べた方がいいかも……ミカの仮説が当たってるかもしれない」
あの地下の一件の後、ミカは一つの仮説を口にした。
ミカ達の国の結界がおかしくなったのは先日の一件を起こす為の下準備で、私達四人の国の結界も同様の事になっている。
そしてその結界は大規模な更に術式を発動させるための基礎となり、先日の一件であの場所で引き金を引こうとしていた。
ざっくり言えばそういう仮説。
だけどそれを私は否定した。
だってそうだ。
自分の所の結界が通常運行な事を自分で確認している訳だから、
だけどもし……というかもうほぼ確実なんだけど、私の追放が皆の一件とは別件なのだとすれば。
私以外の三人の追放が、ミカの件と同一の案件なのだとすれば。
「私達の知らない所で事が進んでいる可能性だって大いにあるよこれ」
ミーシャの言う通り、早い段階で次の手を打った方が良いかもしれない。
「ああ」
その発言に場が静まり返る。
……いやいやいや。
「いやいやいや、いくら何でも流石に……流石に……」
だ、駄目だ違うって言い切れない。
「あの、すみません。何やらとんでもなく大きなスケールの話をされているように思うのですが、話せる範囲で構いません。私にも事の詳細を教えていただけないかしら?」
ち、違うって言い切れない……。
……え、ちょっと待って。本当に別件なの私の追放絡みの話って!?
マジであの馬鹿がやらかして、この人も普通にそれはおかしいって思って、裏とか何も無く謝りに来てるの!? えぇ、流石にそれは……でもこの人凄いガチっぽいんだけど……
「どうする。一応この女がすっとぼけていて、俺達全員掌の上で踊らされている可能性も無くは無いが……話すか?」
「良いだろ話しても」
そう言ったのはマフィアの幹部、マルコさんだ。
「連中の仲間なら俺達が何も言わなくても色々把握してる。そんな奴に何か言った所でそこまでの不利益はねえだろ」
それに、とマルコさんは言う。
「今まで色々なタイプの碌でもねえ奴を見て来たけどよ……コイツはそのどれにも当てはまらねえ。俺は冗談抜きでルカの立てた仮説が正しいんじゃねえかって思ってる。とはいえ……決定権を持っているのは俺じゃねえよな」
そう言ってマルコさんは私に視線を向けてくる。
「お前ンとこの国の新聖女だろ。事の詳細話すかどうかはお前が決めろ」
「わ、私かぁ……」
いやいや、そんな事私一人に委ねられても。
とりあえず皆に確認だけ取っておこう。
「えーっと、話しても良いと思う?」
「良いんじゃねえか? その人の言う通り今更知られて不利益になる情報なんてねえだろ」
「私も同感ですね。それに本当に別件だったらその人態々謝りに来てるんですよね。多分自分悪くないのに……このまま蚊帳の外ってのはちょっと可哀想ですよ」
「そうっすね。それが良いと思うっす」
「りょ、了解」
三人にそう言って貰った後、ルカとミカにも視線を向ける。
すると二人は静かに頷いて同意してくれた。
……うん、じゃあ話すか。
シルヴィも言ってたけど、この人がガチであの馬鹿のやらかした事で謝りに来てるなら、このまま疑問だけ残して放置するのはなんかこう……凄く不憫な気がする。
「じゃあざっくり話すよ。あなたがこうして囲まれて威圧感を向けられるような状況になってる根本的な理由……各国の聖女が追放されまくってる件について」
「お願いします。完全に部外者なのは百も承知なのですが、それでも気になって仕方がありませんので……」
完全に部外者……ね。
……ガチっぽいなぁ。
そしてその後私達はミーシャに今起きている事についての説明をした。
流石に私がまだ実家に住んでるみたいな話までは出来ないけれど……それ以外の事を全部。
そして私の説明をミーシャは初々しい反応を見せながら聞いてくれる。
うん、そのリアクションの数々を見ていれば流石に分かるよ。
これ演技じゃない。
物的証拠とかは何も無いけど……ミーシャはシロだ。
今世界規模で何かヤバい事を起こそうとしている連中の関係者じゃない。
そしてミーシャが違うという事はあの馬鹿はマジで馬鹿なんだって事になる。
そしてそれが確定していけば……一つ重大な情報が私達にも齎される。
「差し出がましいのは重々承知しておりますが……それは早急に次の手を打った方が良いと思いますわ」
一通り話を聞いたミーシャは、私達に言う。
「具体的にどうして知っているのかは分かりませんが、アンナさんはご自分が張った結界が正常に動いていると認知している。だけどそれが皆様方の思考のノイズになってしまっている。起きているかもしれない大きな問題を、今はまだ何も起きていないと誤認している恐れがありますわ」
「うん、なんかそんな感じだよね……」
私は深くため息を吐いて、少々申し訳なく感じながら皆に言う。
「これ……結構早い内に、皆の所の国がどうなってるか調べた方がいいかも……ミカの仮説が当たってるかもしれない」
あの地下の一件の後、ミカは一つの仮説を口にした。
ミカ達の国の結界がおかしくなったのは先日の一件を起こす為の下準備で、私達四人の国の結界も同様の事になっている。
そしてその結界は大規模な更に術式を発動させるための基礎となり、先日の一件であの場所で引き金を引こうとしていた。
ざっくり言えばそういう仮説。
だけどそれを私は否定した。
だってそうだ。
自分の所の結界が通常運行な事を自分で確認している訳だから、
だけどもし……というかもうほぼ確実なんだけど、私の追放が皆の一件とは別件なのだとすれば。
私以外の三人の追放が、ミカの件と同一の案件なのだとすれば。
「私達の知らない所で事が進んでいる可能性だって大いにあるよこれ」
ミーシャの言う通り、早い段階で次の手を打った方が良いかもしれない。
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