243 / 280
三章 聖女さん、冒険者やります
37 聖女さん達、明日からの方針を決める 下
しおりを挟む
「預かるって……」
「ちょっと危険じゃないですか?」
良くも悪くもこの中でレリアさんへの警戒が一番強いシルヴィが、私の考えを代弁してくれる。
「なんかシエルさんの体との相性が良いみたいですし、乗っ取られるかもしれませんよ?」
「あ゛?」
シルヴィの言葉にドスの効いた声を上げたのは、レリアさんに視線を向けたマルコさんだ。
「偉人の幽霊だかなんだか知らねえが、妙な真似してみろ。そん時は全力でお前を潰す」
その発言に場の空気が凍る。
なんというかこう……雰囲気が本職の人! いや本職の人なんだけど……。
なんというか今までも怖い系の感じではあったけど、レベルが違うというか……どうした急に!?
「ちょ、マコっちゃん! 色々協力してくれる人にそういう態度は駄目だって!」
「うっせえ、てめーはもうちょっと色々な事に警戒心向けろ馬鹿。つーか何度も言うがその呼び方止めろ! 初顔合わせの奴らも居るのにこれ以上定着したらどうしてくれんだ!」
いや、でもこれもしかしてアレかな?
しーちゃんが滅茶苦茶馴れ馴れしく変な呼び名で読んでいて、本人はなんやかんやそれを受け入れているし、この明らかにしーちゃんの事を心配してくれている感じ。
このマルコっていう人……成程ねぇ。
お目が高いじゃん。
と、私が色々と納得している中でしーちゃんが言う。
「まあまあそれはともかくさ……どうかな、あっちゃん。まあ確かにリスクは無いとは言い切れないけど、そもそも今は何が起きるか分からないんだからさ。相性の良い相手にレリアさんが乗り移れるっていう事実を肯定的に受け止めるのもありなんじゃないかなって思うんだ」
「……まあ一理あるけど」
確かにレリアさんがちゃんと味方として動いてくれるんなら、そういう状況で居てくれる事は凄く心強いんだけど、でもその場合でもレリアさんが出張らないといけないような危険な状況にしーちゃんの身を晒す事に……いや、そもそもレリアさんが何もしなくても晒す事になるのか。
誰かが遠ざけてもなんか居そう。
それどころか私達がいない間に、全然関係ない物騒な案件に巻き込まれたりする可能性も……。
……ああ、これアレだ。
レリアさんの動向を心配するよりも、ナチュラルなしーちゃんの方が心配だ。
「レリアさん」
「なんじゃ。ワシを信用してくれるのか?」
「何かあった時しーちゃんの事よろしくお願いします」
「ん? 今ワシが何か起こすかもって話をしていなかったか?」
きょとんとするレリアさんにマコっちゃん……じゃなかった、マルコさんが続ける。
「確かに……もし信用できるんなら、この馬鹿一人にしておくよりよっぽど安心だろ」
その言葉に頷くマフィアの皆さん。
……あーうん、なんというか、その……。
マフィアの皆さん、今まで私の親友がご迷惑をおかけしました。
……とまあ、これで一応確定だ。
レリアさんの協力の元、この前の地下から敵の情報を探る残留組。
私が居た国に向かって外務省の協力を仰いで、正攻法で情報を集める遠征組。
明日からはそういう感じに二手に分かれて動くことになった。
「ちょっと危険じゃないですか?」
良くも悪くもこの中でレリアさんへの警戒が一番強いシルヴィが、私の考えを代弁してくれる。
「なんかシエルさんの体との相性が良いみたいですし、乗っ取られるかもしれませんよ?」
「あ゛?」
シルヴィの言葉にドスの効いた声を上げたのは、レリアさんに視線を向けたマルコさんだ。
「偉人の幽霊だかなんだか知らねえが、妙な真似してみろ。そん時は全力でお前を潰す」
その発言に場の空気が凍る。
なんというかこう……雰囲気が本職の人! いや本職の人なんだけど……。
なんというか今までも怖い系の感じではあったけど、レベルが違うというか……どうした急に!?
「ちょ、マコっちゃん! 色々協力してくれる人にそういう態度は駄目だって!」
「うっせえ、てめーはもうちょっと色々な事に警戒心向けろ馬鹿。つーか何度も言うがその呼び方止めろ! 初顔合わせの奴らも居るのにこれ以上定着したらどうしてくれんだ!」
いや、でもこれもしかしてアレかな?
しーちゃんが滅茶苦茶馴れ馴れしく変な呼び名で読んでいて、本人はなんやかんやそれを受け入れているし、この明らかにしーちゃんの事を心配してくれている感じ。
このマルコっていう人……成程ねぇ。
お目が高いじゃん。
と、私が色々と納得している中でしーちゃんが言う。
「まあまあそれはともかくさ……どうかな、あっちゃん。まあ確かにリスクは無いとは言い切れないけど、そもそも今は何が起きるか分からないんだからさ。相性の良い相手にレリアさんが乗り移れるっていう事実を肯定的に受け止めるのもありなんじゃないかなって思うんだ」
「……まあ一理あるけど」
確かにレリアさんがちゃんと味方として動いてくれるんなら、そういう状況で居てくれる事は凄く心強いんだけど、でもその場合でもレリアさんが出張らないといけないような危険な状況にしーちゃんの身を晒す事に……いや、そもそもレリアさんが何もしなくても晒す事になるのか。
誰かが遠ざけてもなんか居そう。
それどころか私達がいない間に、全然関係ない物騒な案件に巻き込まれたりする可能性も……。
……ああ、これアレだ。
レリアさんの動向を心配するよりも、ナチュラルなしーちゃんの方が心配だ。
「レリアさん」
「なんじゃ。ワシを信用してくれるのか?」
「何かあった時しーちゃんの事よろしくお願いします」
「ん? 今ワシが何か起こすかもって話をしていなかったか?」
きょとんとするレリアさんにマコっちゃん……じゃなかった、マルコさんが続ける。
「確かに……もし信用できるんなら、この馬鹿一人にしておくよりよっぽど安心だろ」
その言葉に頷くマフィアの皆さん。
……あーうん、なんというか、その……。
マフィアの皆さん、今まで私の親友がご迷惑をおかけしました。
……とまあ、これで一応確定だ。
レリアさんの協力の元、この前の地下から敵の情報を探る残留組。
私が居た国に向かって外務省の協力を仰いで、正攻法で情報を集める遠征組。
明日からはそういう感じに二手に分かれて動くことになった。
0
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります
桜井正宗
ファンタジー
無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。
突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。
銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。
聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。
大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる