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四章《表》聖女さん、自分を追放した国に里帰りします
1 聖女さん、帰国
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リュウ君の背に乗って私達はドルドットの関所前までやってきた。
此処から正々堂々私を追放した国に入国する訳だ。
「まさか帰って来る事になるとは、此処を出た時は思いもしなかったよ」
リュウ君と別れた後、関所を前にして体を伸ばしながらそう言う。
「毎日帰ってるんですけどね」
「しっかり実家で寝泊りしてるんすけどね」
うん、擦り過ぎなのは分かってるけど、聞けば聞く程意味分かんないよね。
……でだ。此処から入国するわけだけど。
「ところでミーシャ、このまま進んでも大丈夫?」
「だ、大丈夫ですわ。少し酔っただけで……あ、歩けますわ」
「いやそういう事じゃないんだけど、それはそれとして普通に大丈夫?」
思ってたのと違うベクトルで大丈夫じゃ無かった!
「だ、大丈夫ですわ……酔い止め飲んでおけば良かった」
「ち、治癒魔術掛けようか?」
言いながら治癒魔術を使おうとする私をミーシャは静止する。
「軽いので大丈夫ですわ。それにこんな所で立ち止まっていると怪しさ満点ですわよ」
「確かにそうっすね……」
「関所越えても移動がある訳ですし、その道中で治癒魔術を掛ければ良いんじゃないですか?」
「だね。じゃあそれで決まり」
で、それはそれとして。
「それでミーシャ。此処まで来たけど本当に私入れる? 別に此処であの馬鹿が待ってる訳じゃ無いんだし、冷静に考えるとちょっと難しくない?」
「というか私達はどうなんですかね? 驚く程あっさり入国できたあの国とは違うと思うんですけど」
「確かにあの国は特別っすからね。入るのも簡単だし長期滞在も冒険者ギルドとかいう組織が実質的に就労ビザをポンポン発行しまくっている所為で無法地帯っすから」
「滅茶苦茶自分の職場ディスるじゃないですかシズクさん」
「いやボク達はそれに救われている訳っすけど、それはそれとして冷静に考えて滅茶苦茶っすからね」
「他所の国の事をあまり言いたく無いですけど、先日あったという誘拐事件が起きた理由の1パーセント位はそれじゃありませんの?」
ミーシャの言葉に三人共頷いた。
いや助かってるんだけどね。
ああいう国のおかげで今生活できてるんだし。
いや寝泊りしてるの実家だけども。
で、今出て来た国の事よりも。
「それでミーシャ。大丈夫なの?」
「とりあえず城の方に連絡を取って貰おうかと考えていますわ。それで行ける筈……筈ですわ!」
「なんか妙に自信なさげだね」
「実を言うと、グランを説得する事位余裕とは思ってましたが、そこまで皆さんを連れていくプランを何も考えていませんでしたわ!」
「そ、そうっすか……」
「と、とにかく関所の職員さんに話付けに行きますわよ!」
そう言ってやや速足で先導するミーシャ。
「大丈夫ですかね?」
「いきなり先行き不安な感じっすけど」
「まあ最悪一回帰ってシズクの家から私んちに行くルートで行けるしね」
「色々トラブルになりそうだから避けたいですけどね」
そんな会話をしながらミーシャの後ろに着いていき関所の建物内に入ると、そこで職員さんらしき人と会話をする見覚えのある人物が視界に入った。
「あ、あの馬鹿の腰巾着だ」
この国を一応治めているあの馬鹿の隣にいつも居る、明らかにお友達人事で選ばれた滅茶苦茶若い大臣だ。
此処から正々堂々私を追放した国に入国する訳だ。
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……でだ。此処から入国するわけだけど。
「ところでミーシャ、このまま進んでも大丈夫?」
「だ、大丈夫ですわ。少し酔っただけで……あ、歩けますわ」
「いやそういう事じゃないんだけど、それはそれとして普通に大丈夫?」
思ってたのと違うベクトルで大丈夫じゃ無かった!
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「ち、治癒魔術掛けようか?」
言いながら治癒魔術を使おうとする私をミーシャは静止する。
「軽いので大丈夫ですわ。それにこんな所で立ち止まっていると怪しさ満点ですわよ」
「確かにそうっすね……」
「関所越えても移動がある訳ですし、その道中で治癒魔術を掛ければ良いんじゃないですか?」
「だね。じゃあそれで決まり」
で、それはそれとして。
「それでミーシャ。此処まで来たけど本当に私入れる? 別に此処であの馬鹿が待ってる訳じゃ無いんだし、冷静に考えるとちょっと難しくない?」
「というか私達はどうなんですかね? 驚く程あっさり入国できたあの国とは違うと思うんですけど」
「確かにあの国は特別っすからね。入るのも簡単だし長期滞在も冒険者ギルドとかいう組織が実質的に就労ビザをポンポン発行しまくっている所為で無法地帯っすから」
「滅茶苦茶自分の職場ディスるじゃないですかシズクさん」
「いやボク達はそれに救われている訳っすけど、それはそれとして冷静に考えて滅茶苦茶っすからね」
「他所の国の事をあまり言いたく無いですけど、先日あったという誘拐事件が起きた理由の1パーセント位はそれじゃありませんの?」
ミーシャの言葉に三人共頷いた。
いや助かってるんだけどね。
ああいう国のおかげで今生活できてるんだし。
いや寝泊りしてるの実家だけども。
で、今出て来た国の事よりも。
「それでミーシャ。大丈夫なの?」
「とりあえず城の方に連絡を取って貰おうかと考えていますわ。それで行ける筈……筈ですわ!」
「なんか妙に自信なさげだね」
「実を言うと、グランを説得する事位余裕とは思ってましたが、そこまで皆さんを連れていくプランを何も考えていませんでしたわ!」
「そ、そうっすか……」
「と、とにかく関所の職員さんに話付けに行きますわよ!」
そう言ってやや速足で先導するミーシャ。
「大丈夫ですかね?」
「いきなり先行き不安な感じっすけど」
「まあ最悪一回帰ってシズクの家から私んちに行くルートで行けるしね」
「色々トラブルになりそうだから避けたいですけどね」
そんな会話をしながらミーシャの後ろに着いていき関所の建物内に入ると、そこで職員さんらしき人と会話をする見覚えのある人物が視界に入った。
「あ、あの馬鹿の腰巾着だ」
この国を一応治めているあの馬鹿の隣にいつも居る、明らかにお友達人事で選ばれた滅茶苦茶若い大臣だ。
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