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四章《表》聖女さん、自分を追放した国に里帰りします
4 占い大臣達、既に関係者
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「怖い……ですか。まあ気持ちは分かりますよ。正直意味分からないですよね。でも一番怖いのは俺なんですよ、ハハハ、なんでこんなに当たんのぉ? 訳分かんねえ……」
半ば自虐気味にそう呟いた腰巾着は、一瞬遅れてハっとした表情を浮かべる。
「って事はちょっと待ってください……せ、聖女なんですかお二人は!? って事はウチみたいに馬鹿な事になってる国が他にもあると!? 世も末だぁ!」
そう言って頭を抱える腰巾着だけど、それでも少ししたら落ち着いて静かに呟く。
「……いや、ウチのようにはなってないか。あの人は良くも悪くも唯一無二だ。とすれば本当に世も末か?」
……明らかに、腰巾着の空気が変わった。
そして軽く咳払いしてから二人に問いかける。
「すみませんがお二人共。何処の国で聖女をやっておられたか、教えて貰ってもいいですか」
「え?」
「ぼ、僕達の出身国っすか?」
突然の問いに困惑する二人に、腰巾着は今まで見た事が無い位には真剣な表情で言う。
「お二人共がアンナさんのご友人なら、俺達の事なんてとても信用出来たもんじゃないとは思います。だからそんな奴に個人情報を渡せなんて言われて困惑するのは当然ですから。当然答える義務なんてありませんよ……それでも、よろしければ」
そう言って腰巾着は深々と頭を下げる。
……あの馬鹿の腰巾着とはいえ、あの馬鹿が絡まなければもしかしてまともな奴なのかな。
まあコイツ個人の人間性はともかくとして、此処まで打って変わって真面目な態度を取られると……その中で不穏な言葉まで混ざっていると。
今まさに世も末なんて事にならないように行動している私達からすれば、その先に踏み込んでいかないといけない。
どの道、事を先に進める為にこの国に帰って来たんだから。
「ちなみにそれを知ってどうするの?」
私が間に割って入ると、一拍空けてから腰巾着は言う。
「所詮は占いから始まった話だという事は頭に入れておいてください。だからそもそも根本的に的外れな事を言っているかもしれません」
「う、うん……それで?」
「どうやら世界規模できな臭い事が起きているみたいなんです。それこそ、聖女が追放されるなんていう本来であればあり得ない事が起きていてもおかしくない位には」
「「「「……ッ」」」」
その言葉を聞いて私達四人は思わず息を飲む。
飲んで、確信した。
追放された私達の中で私だけ完全に別件だったみたいに、この国が絡むと全然違う問題が起きて良そうな気がして嫌なんだけど、流石に世界規模な問題が乱立してもらっては困る訳で。
つまりきっと私達が此処に来るよりも前に、私達と同じ問題に全く違う立ち位置から関わり始めている。
多分目の前の腰巾着の、常識外れの占いを起点に。
「その反応を見る限りだと、どうやらアンナさん達は既にこの件を把握してるみたいですね……となればまた俺の占いが当たってしまったって事か……こういう所で二割の失敗ができれば良いんだけどなぁ」
そう言って深々と溜息を吐いた腰巾着は、私達に言う。
「ミーシャさん、アンナさん。それにお二人も。差し支えなければ城の方に来てくれませんか。出身国云々の話も含め、細かい諸々の話は移動中の馬車で行いましょう」
そう言う腰巾着は、此処までの弱気な雰囲気はほとんど感じられない。
真面目な状況に対して、まっすぐと向き合っている。
……なんだ、そういう表情できるんだ。
ミーシャの時もそうだったけど、あの馬鹿以外の事を良く知らなかったのかもしれない。
この国に居た時はマジでただの腰巾着でしか無かったのに、最低限ちゃんと責任感のある顔してるや。
ていうかこの調子だとあの馬鹿も結構まともな所があったり……いや、それはないか。
ミーシャもアイツを肯定するような事を言ってたけど、あの馬鹿は流石に馬鹿でしょ、うん。
……まああの馬鹿はともかく。
どうせこの先に進んだら嫌でも考えないといけなくなるだろうからともかく。
「分かったよ。どの道行く予定だったし」
「やっぱり元々そのつもりでしたか」
「……それも占い?」
「いえ、少し考えれば分かりますよ」
腰巾着は……いや、確かロイとかいう名前の大臣は、苦い笑みを浮かべて言う。
「あれだけの仕打ちをされたあなたが、ミーシャさんと共にこの国に戻って来たなら……やる事は我々を利用するか、ウチの馬鹿ぶん殴る位の事でしょうから」
「なんだ意外と優秀じゃん……」
そしてそう返しながら、ふと思いつく。
「……あの馬鹿一発ぶん殴るのもアリかも」
「いや良い事聞いたみたいに言わないでください。流石にやらないでくださいよ!」
かなり真面目な表情でロイにそう言われる。
そして皆からも。
「あの、気持ちは分かりますけど無用なトラブルは無しですよ」
「流石にそうなったら僕ら止めるっすからね」
「此処は穏便にお願いしますわ」
「じょ、冗談だよ、ははは……」
な、なんか私が一番ヤバイ奴みたいになってるじゃん。
やらないよチンピラじゃないんだから……多分。
半ば自虐気味にそう呟いた腰巾着は、一瞬遅れてハっとした表情を浮かべる。
「って事はちょっと待ってください……せ、聖女なんですかお二人は!? って事はウチみたいに馬鹿な事になってる国が他にもあると!? 世も末だぁ!」
そう言って頭を抱える腰巾着だけど、それでも少ししたら落ち着いて静かに呟く。
「……いや、ウチのようにはなってないか。あの人は良くも悪くも唯一無二だ。とすれば本当に世も末か?」
……明らかに、腰巾着の空気が変わった。
そして軽く咳払いしてから二人に問いかける。
「すみませんがお二人共。何処の国で聖女をやっておられたか、教えて貰ってもいいですか」
「え?」
「ぼ、僕達の出身国っすか?」
突然の問いに困惑する二人に、腰巾着は今まで見た事が無い位には真剣な表情で言う。
「お二人共がアンナさんのご友人なら、俺達の事なんてとても信用出来たもんじゃないとは思います。だからそんな奴に個人情報を渡せなんて言われて困惑するのは当然ですから。当然答える義務なんてありませんよ……それでも、よろしければ」
そう言って腰巾着は深々と頭を下げる。
……あの馬鹿の腰巾着とはいえ、あの馬鹿が絡まなければもしかしてまともな奴なのかな。
まあコイツ個人の人間性はともかくとして、此処まで打って変わって真面目な態度を取られると……その中で不穏な言葉まで混ざっていると。
今まさに世も末なんて事にならないように行動している私達からすれば、その先に踏み込んでいかないといけない。
どの道、事を先に進める為にこの国に帰って来たんだから。
「ちなみにそれを知ってどうするの?」
私が間に割って入ると、一拍空けてから腰巾着は言う。
「所詮は占いから始まった話だという事は頭に入れておいてください。だからそもそも根本的に的外れな事を言っているかもしれません」
「う、うん……それで?」
「どうやら世界規模できな臭い事が起きているみたいなんです。それこそ、聖女が追放されるなんていう本来であればあり得ない事が起きていてもおかしくない位には」
「「「「……ッ」」」」
その言葉を聞いて私達四人は思わず息を飲む。
飲んで、確信した。
追放された私達の中で私だけ完全に別件だったみたいに、この国が絡むと全然違う問題が起きて良そうな気がして嫌なんだけど、流石に世界規模な問題が乱立してもらっては困る訳で。
つまりきっと私達が此処に来るよりも前に、私達と同じ問題に全く違う立ち位置から関わり始めている。
多分目の前の腰巾着の、常識外れの占いを起点に。
「その反応を見る限りだと、どうやらアンナさん達は既にこの件を把握してるみたいですね……となればまた俺の占いが当たってしまったって事か……こういう所で二割の失敗ができれば良いんだけどなぁ」
そう言って深々と溜息を吐いた腰巾着は、私達に言う。
「ミーシャさん、アンナさん。それにお二人も。差し支えなければ城の方に来てくれませんか。出身国云々の話も含め、細かい諸々の話は移動中の馬車で行いましょう」
そう言う腰巾着は、此処までの弱気な雰囲気はほとんど感じられない。
真面目な状況に対して、まっすぐと向き合っている。
……なんだ、そういう表情できるんだ。
ミーシャの時もそうだったけど、あの馬鹿以外の事を良く知らなかったのかもしれない。
この国に居た時はマジでただの腰巾着でしか無かったのに、最低限ちゃんと責任感のある顔してるや。
ていうかこの調子だとあの馬鹿も結構まともな所があったり……いや、それはないか。
ミーシャもアイツを肯定するような事を言ってたけど、あの馬鹿は流石に馬鹿でしょ、うん。
……まああの馬鹿はともかく。
どうせこの先に進んだら嫌でも考えないといけなくなるだろうからともかく。
「分かったよ。どの道行く予定だったし」
「やっぱり元々そのつもりでしたか」
「……それも占い?」
「いえ、少し考えれば分かりますよ」
腰巾着は……いや、確かロイとかいう名前の大臣は、苦い笑みを浮かべて言う。
「あれだけの仕打ちをされたあなたが、ミーシャさんと共にこの国に戻って来たなら……やる事は我々を利用するか、ウチの馬鹿ぶん殴る位の事でしょうから」
「なんだ意外と優秀じゃん……」
そしてそう返しながら、ふと思いつく。
「……あの馬鹿一発ぶん殴るのもアリかも」
「いや良い事聞いたみたいに言わないでください。流石にやらないでくださいよ!」
かなり真面目な表情でロイにそう言われる。
そして皆からも。
「あの、気持ちは分かりますけど無用なトラブルは無しですよ」
「流石にそうなったら僕ら止めるっすからね」
「此処は穏便にお願いしますわ」
「じょ、冗談だよ、ははは……」
な、なんか私が一番ヤバイ奴みたいになってるじゃん。
やらないよチンピラじゃないんだから……多分。
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