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二章 ごく当たり前の日常を掴む為に
14 仮設三人パーティー
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以前にも満身創痍の俺を守りながら、アリサが戦うという状況になった事がある。
だけどあの時は10体だった。そして今回は二人で分割しても15。そして後ろを守りながらという戦況の中で俺が15体を押さえられるかといえば難しい。
それ故にまともに防戦に出ればアリサの負担が大きすぎる。
だからまともに迎え打てば厳しい戦いになるだろう。
そう思ったが……そう思ったのも多分、数におののいただけだ。
状況そのものは多分あの時よりもずっとマシな筈だ。
あの時は四方八方から魔獣が襲ってくる状況だった。
故にアリサは俺を守りながら、四方八方に意識を向けて全ての方向からの攻撃に対応しなければならなかった。
だけど今は囲まれていない。挟まれてすらいない。
ただ濁流の様に、正面から魔獣がなだれ込んできているだけに過ぎない。
威圧感は凄い。視覚的な情報から畏怖を感じない訳ではない。
だけどそれでも、正面だけをどうにかすれば事は済むんだ。
後ろに通さない様に、一体一体。
「クルージさん、ボクが前に出ます」
アリサがナイフを構えて言う。
「できる限り数を減らします。零した奴を片っ端から潰してください」
「了解」
そう言ってアリサが魔獣の群れに向かって走る。
そして俺も刀を構えた。
この戦術が正解かどうかは分からない。
だけど例え間違っていたとしても自力で正解にするしかない。
走りだしたアリサは走りながらナイフに手を添え、稲妻を纏わせる。
そして投擲。
戦闘に居た魔獣に突き刺さったナイフから流れた電流により、一撃で魔獣が勢いよく倒れ動かなくなる。
そして倒れた魔獣と衝突し、全体の内の数体が雪だるま式に地面に転がっていく。
そしてそれを突破した魔獣の前に、ナイフを両手で持ったアリサが躍り出て、魔獣の群れの中を駆け抜けていく。
駆け抜け……地に倒れ伏せさせていく。
「……すげえ」
文字通り大半が。その一瞬の修羅の如きナイフ捌きで動かなくなった。
そして生き残った内の数体は、完全にターゲットをアリサへと絞る。
故にこちらに向かって来ているのは精々5匹程度。
充分、許容範囲だ。
俺は風をカタナに纏わせる。
そしてギリギリまで。有効射程まで魔獣を引き付けて……一閃。
「……ッ!?」
手応えはあった。
確かに何匹も切り伏せた。それは間違いない。
だけどそれが五体全てかどうかは定かでは無い。
少なくとも感覚的にも。視覚的にも。浅い奴がいた。
……そしてその一体は止まらない。
真っ直ぐ俺へと、殺意を向けて向かってくる。
……マズイ。とにかく防御を……ッ。
そう思った時だった。
後方から何かが俺を横切った。
それは例えるならば光の弾丸。
それが魔獣へと直撃する。
……目に見えて威力は低い。精々が一時的に動きを止める程度の一撃。
……それでも。
「今っす!」
刀で切り直す位の時間的猶予は得られる。
「っらあッ!」
そして切り伏せる。五体目の魔獣。
そして視界の先ではアリサがこの短期間で全ての魔獣を殲滅し終えていて。
多分俺の後ろにはここ数日で必死に身に付けたであろう魔術を放ったリーナが居る。
俺は……対した事はしていないけれど。
殆どアリサのおかげだけれど。
それでもとりあえずこれは……俺達三人の勝利だと言ってもいいのだろう。
……そしてそれが言える様な事では無かったとしても。
「……なんとか切り抜けたな」
とりあえず勝利である事だけは揺るぎはしない筈だ。
少なくともそれぐらいは言ったっていいだろうって思うよ。
だけどあの時は10体だった。そして今回は二人で分割しても15。そして後ろを守りながらという戦況の中で俺が15体を押さえられるかといえば難しい。
それ故にまともに防戦に出ればアリサの負担が大きすぎる。
だからまともに迎え打てば厳しい戦いになるだろう。
そう思ったが……そう思ったのも多分、数におののいただけだ。
状況そのものは多分あの時よりもずっとマシな筈だ。
あの時は四方八方から魔獣が襲ってくる状況だった。
故にアリサは俺を守りながら、四方八方に意識を向けて全ての方向からの攻撃に対応しなければならなかった。
だけど今は囲まれていない。挟まれてすらいない。
ただ濁流の様に、正面から魔獣がなだれ込んできているだけに過ぎない。
威圧感は凄い。視覚的な情報から畏怖を感じない訳ではない。
だけどそれでも、正面だけをどうにかすれば事は済むんだ。
後ろに通さない様に、一体一体。
「クルージさん、ボクが前に出ます」
アリサがナイフを構えて言う。
「できる限り数を減らします。零した奴を片っ端から潰してください」
「了解」
そう言ってアリサが魔獣の群れに向かって走る。
そして俺も刀を構えた。
この戦術が正解かどうかは分からない。
だけど例え間違っていたとしても自力で正解にするしかない。
走りだしたアリサは走りながらナイフに手を添え、稲妻を纏わせる。
そして投擲。
戦闘に居た魔獣に突き刺さったナイフから流れた電流により、一撃で魔獣が勢いよく倒れ動かなくなる。
そして倒れた魔獣と衝突し、全体の内の数体が雪だるま式に地面に転がっていく。
そしてそれを突破した魔獣の前に、ナイフを両手で持ったアリサが躍り出て、魔獣の群れの中を駆け抜けていく。
駆け抜け……地に倒れ伏せさせていく。
「……すげえ」
文字通り大半が。その一瞬の修羅の如きナイフ捌きで動かなくなった。
そして生き残った内の数体は、完全にターゲットをアリサへと絞る。
故にこちらに向かって来ているのは精々5匹程度。
充分、許容範囲だ。
俺は風をカタナに纏わせる。
そしてギリギリまで。有効射程まで魔獣を引き付けて……一閃。
「……ッ!?」
手応えはあった。
確かに何匹も切り伏せた。それは間違いない。
だけどそれが五体全てかどうかは定かでは無い。
少なくとも感覚的にも。視覚的にも。浅い奴がいた。
……そしてその一体は止まらない。
真っ直ぐ俺へと、殺意を向けて向かってくる。
……マズイ。とにかく防御を……ッ。
そう思った時だった。
後方から何かが俺を横切った。
それは例えるならば光の弾丸。
それが魔獣へと直撃する。
……目に見えて威力は低い。精々が一時的に動きを止める程度の一撃。
……それでも。
「今っす!」
刀で切り直す位の時間的猶予は得られる。
「っらあッ!」
そして切り伏せる。五体目の魔獣。
そして視界の先ではアリサがこの短期間で全ての魔獣を殲滅し終えていて。
多分俺の後ろにはここ数日で必死に身に付けたであろう魔術を放ったリーナが居る。
俺は……対した事はしていないけれど。
殆どアリサのおかげだけれど。
それでもとりあえずこれは……俺達三人の勝利だと言ってもいいのだろう。
……そしてそれが言える様な事では無かったとしても。
「……なんとか切り抜けたな」
とりあえず勝利である事だけは揺るぎはしない筈だ。
少なくともそれぐらいは言ったっていいだろうって思うよ。
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