81 / 228
三章 人間という生き物の本質
28 携帯食料
しおりを挟む
あのサンドベアーを倒した以降は二回程それ程強くないモンスターと遭遇した位で、特に危なげもなく進む事ができた。
故に日が沈んだ頃には結構な距離を稼げたのではないかと思う。
「……お腹空きましたね」
「そうだな。まあ結構良い時間だろ……この辺で休憩入れて飯にするか」
そう言った俺は、馬車の荷台から体をのりだし運転中のグレンに言う。
「おいグレン。そろそろ飯にしねえ?」
「そだな。確かに腹減ったし」
そんなやり取りを交わした後、グレンが馬車を止めにかかる。
さて、これで今から晩御飯……な訳だが。
「……がしかし、ご飯食べるぞってなってここまで気が乗らないのも問題だよな」
「……携帯食料、本当に微妙な味しますもんね」
とりあえず出先で食べられる物として持ってきたのは携帯食料だった。
スティック状のクッキーの様な物で、腹持ちも良く栄養バランスも完璧。とりあえずこれだけでも生きていける様な、凄い食品ではある。
だけど味よりも機能性に重きを置いてあり、はっきり言っておいしくない。不味くはないけど美味しくもない。
いや、どちらかといえば不味い方に傾いてる感はある。
だからこそ、よっしゃ飯だとはならない。
ならないが故に出発準備の間に取ってきた昼食は普通にうまい物を食べてきた。
……うん、ほんと美味しくないよな、これ。
パサパサだし……うん。
まあ本来なら止まらなくても食べれるのだけれど、なんかもう……せめてコーヒー位欲しい。だから止まって食べる。
実質的にコーヒー休憩についでに携帯食料入れてる感じだ。
うん、色々考えたけど、おいしいご飯が食べたい。
と、そう思った時だった。
「ふっふっふ。二人とも。そんな物食べる必要なんてないっすよ」
リーナが不敵な笑みを浮かべる。
「必要ないって……でもリーナさん。おいしくなくてもお腹は好きますし……」
「そうっすね、お腹は好きます。何か食べないとってのは分かるっす。でも何もそんな美味しくないものに拘る必要ないんすよ」
「拘るも何もこれしか……ってちょっと待て」
一つ疑問に思っていた事があった。
なんかリーナの荷物が明らかに俺達よりも多かったんだ。結構がっつり持ってきてたんだ。
……もしかして。
「……お前、もしかして」
俺は一つの仮説に辿り着いた。
携帯食料に拘る必要はない。
そしてその荷物量。
……まさか。
「なければ作ればいいんすよ」
予想が当たっていた。
リーナの奴、この状況を見越して……食材と調理器具持ち込んでいやがった!
「さて、今日私あんまり活躍してないんで、いっちょここて存在感出しとくっすかね」
リーナ曰く料理はできるらしいが、実際どの程度の実力なのかは見たことないから分からない。
だけど今の俺にはリーナが神に……いや、女神に見えて仕方がなかった。
……いや、ね。そんだけ携帯食料不味いんだよ。
故に日が沈んだ頃には結構な距離を稼げたのではないかと思う。
「……お腹空きましたね」
「そうだな。まあ結構良い時間だろ……この辺で休憩入れて飯にするか」
そう言った俺は、馬車の荷台から体をのりだし運転中のグレンに言う。
「おいグレン。そろそろ飯にしねえ?」
「そだな。確かに腹減ったし」
そんなやり取りを交わした後、グレンが馬車を止めにかかる。
さて、これで今から晩御飯……な訳だが。
「……がしかし、ご飯食べるぞってなってここまで気が乗らないのも問題だよな」
「……携帯食料、本当に微妙な味しますもんね」
とりあえず出先で食べられる物として持ってきたのは携帯食料だった。
スティック状のクッキーの様な物で、腹持ちも良く栄養バランスも完璧。とりあえずこれだけでも生きていける様な、凄い食品ではある。
だけど味よりも機能性に重きを置いてあり、はっきり言っておいしくない。不味くはないけど美味しくもない。
いや、どちらかといえば不味い方に傾いてる感はある。
だからこそ、よっしゃ飯だとはならない。
ならないが故に出発準備の間に取ってきた昼食は普通にうまい物を食べてきた。
……うん、ほんと美味しくないよな、これ。
パサパサだし……うん。
まあ本来なら止まらなくても食べれるのだけれど、なんかもう……せめてコーヒー位欲しい。だから止まって食べる。
実質的にコーヒー休憩についでに携帯食料入れてる感じだ。
うん、色々考えたけど、おいしいご飯が食べたい。
と、そう思った時だった。
「ふっふっふ。二人とも。そんな物食べる必要なんてないっすよ」
リーナが不敵な笑みを浮かべる。
「必要ないって……でもリーナさん。おいしくなくてもお腹は好きますし……」
「そうっすね、お腹は好きます。何か食べないとってのは分かるっす。でも何もそんな美味しくないものに拘る必要ないんすよ」
「拘るも何もこれしか……ってちょっと待て」
一つ疑問に思っていた事があった。
なんかリーナの荷物が明らかに俺達よりも多かったんだ。結構がっつり持ってきてたんだ。
……もしかして。
「……お前、もしかして」
俺は一つの仮説に辿り着いた。
携帯食料に拘る必要はない。
そしてその荷物量。
……まさか。
「なければ作ればいいんすよ」
予想が当たっていた。
リーナの奴、この状況を見越して……食材と調理器具持ち込んでいやがった!
「さて、今日私あんまり活躍してないんで、いっちょここて存在感出しとくっすかね」
リーナ曰く料理はできるらしいが、実際どの程度の実力なのかは見たことないから分からない。
だけど今の俺にはリーナが神に……いや、女神に見えて仕方がなかった。
……いや、ね。そんだけ携帯食料不味いんだよ。
0
あなたにおすすめの小説
《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。
無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。
やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~
みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】
事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。
神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。
作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。
「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。
※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる