ただキミを幸せにする為の物語 SSランクの幸運スキルを持つ俺は、パーティーを追放されたのでSSランクの不幸少女と最強のパーティーを組みます

山外大河

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三章 人間という生き物の本質

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「グレンさん、誰か来てないですか?」

「来てるなぁ……誰であろうと碌でもねえ事だろうけど」

 今までの和やかな雰囲気から打って変わり、その呼び鈴は場の空気を重苦しい物へと変えた。
 だってそうだ。どう考えてもそれをやったのは村の人間で、だとすればそこに居るのは顔を合わせたくない人間なのだから。

「どうするっすか?」

「無視する訳にもいかねえし……ちょっと出てくる」

「グレン」

 一応心配だったのでグレンに釘を刺しておく。

「あんまり……手荒な事とか止めろよな」

「分かってる。それするならさっき集まりに出た所で同調した奴片っ端から殴り飛ばしてたわ」

 言いながらグレンは立ち上がる。

「それにもうお前らがこの村から出て行くにあたって、それを少しでも穏便にする為には此処で俺が爆発する訳にはいかねえだろ。話つけるのも、お前ら王都に送り届けるのも俺なんだから……まあ行ってくるよ」

 そう言ってグレンは玄関に向けて歩き出す。

「大丈夫ですかね?」

「まあ、大丈夫だろ。と思いたいけど」

「まあ殴っちゃっても私的にはもう何の文句も無いっすけどね。寧ろ私が殴りたいっす」

「あーそうですね。なんか私も同感です」

「……お前らにそんな事を言わせちまったのは、俺が悪く無かったとしてもなんか申し訳ねえって思うよ」

 いや、ね。
 言わせたくねえじゃん。そんな事は。

 と、それから。グレンや村の連中の怒号が聞こえてくる事もなく、30秒程の時間が経過した。
 一体どんな話をしているのだろうか。そんな事を考えていると、グレンが比較的穏やかな表情でリビングに戻って来た。

「一体何だったんだ?」

「あーえーっと、そうだな。とりあえずクルージ。怪我してるとこ無理に動かして悪いが、ちょっと来てもらってもいいか?」

「え? いや、まあいいけど」

 言われて立ち上がる。
 何だ? なんで俺呼ばれたんだ?

 と、俺が立ち上がるのを見て二人が言う。

「良く分かんないんですけど、それクルージさんが行っても大丈夫な奴なんですよね?」

「じゃなきゃ呼ばねえよ」

「とりあえず私達も付いていくっす」

「ま、それも別にいいだろ。とにかく来てくれ。あまり時間はないかもしれない」

「わ、分かった」

 一体何故呼ばれたのか。
 玄関に誰がいるのか。
 そんな予想が全く付かないまま、俺達はグレンに付いていく。
 そして玄関までやって来て。そこに居た人物を見て。思わず言葉を失った。

 色々と。本当に色々と酷い事があって、それどころでは無くて。いつのまにか頭から抜け落ちていた存在。混同してはいけないのに一括りにして混同してしまっていた存在。
 この村に来て。嫌悪感だらけの視線を向けられ続けて。
 その中でただ一人、俺がそこにいる事に驚いていた女の子が。

 俺のスキルが……いや、存在が問題視されてからまともに口を聞いてなかったけど、唯一俺に嫌悪感を向けないでいてくれた女の子が。

 ユウがそこに居た。
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