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三章 人間という生き物の本質
68 四人目
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「お前それ、マジで言ってんのか?」
「ああ、マジで言ってる」
驚くグレンに対して俺は言う。
「アリサは凄い強くてさ、リーナもまあ形はどうであれ此処から先も無茶苦茶な速度で強くなっていくと思う。俺だってそれに食らいついていくつもりだ。改めて考えても俺達のパーティーは結構いい感じなんだ……そこにお前が加わりゃもっとよくなる」
そしたら。
「そしたら結構報酬額が大きいような依頼も受けられるようになってさ、お前の開業資金だって今より早く溜められるかもしれない。少なくともこんな所に居続けるよりは良い選択だと思うんだ」
「……それ、アイツらには相談したのか?」
「いや、まだだ。だけど多分大丈夫だろうと思ってる。こういうのって強さもそうだけど人間関係も凄く大事だと思うし、俺達もどちらかといえばそういう事を重視してる。そういう意味じゃお前普通に馴染んでたし問題ねえだろ」
「だとしてもそれはお前の憶測だ。こんなもんお前だけで決めるような話じゃねえだろ。こういう大事な話を確定する前に決めんじゃねえよ」
グレンは軽くため息を付いてから、微かに笑みを浮かべて言う。
「期待させといて微妙な空気になったり流れたりしたら、こっちも結構しんどいんだならな」
「グレン……じゃあ」
「……もしもアイツらも普通に良いって言うんなら、俺にとってはありがてえ話だな」
「……よし」
思わず軽くガッツポーズする。
グレンが心配だったのも勿論あった。今この村で鍛冶師を続けるよりも金策として効率が良い案を提供したつもりでもあった。
だけど……まあ、親友と一緒に仕事ができるというのはその位には嬉しい事で。その位には自分本意に物事を考えていて。
結果自然とそんな事をしてしまったのだから、グレンを誘ってみて大正解だと思った。
「まあほんと、アイツら次第だからな。早とちりはすんなよ」
そう言ったグレンは一拍空けてから、少し表情を沈ませて言う。
「……正直な、結構キツい所、あったんだ」
「……」
「別にどんな視線を向けられようと、そんな事はそこまで気にしねえさ。だけどな……殆ど自分が碌でもないと思っている連中しかいないような空間にいるのはしんどい。今まではある程度目を瞑れたが、今日のような事があったんならちょっとな」
そうだろうなと思う。
俺とグレンでは立場がかなり違うから。この感覚をグレンにも当てはめていいのかは分からないけれど、それでも思うんだ。
例え自分が事の当事者ではなかったとしても、ああいう連中とは関わりたくはない。直接的に何もされなかったとしても、それそのものが不快感を蓄積させてきそうだと。
だから分かる。分かっているつもりだ、グレンの考えている事は。
「だから……まあ、ありがとな、クルージ」
「礼は要らねえよ。俺がその方が良いって思った訳なんだからさ。それに……お前が辛い原因を作ったのは俺な訳だし」
「お前じゃねえ。村の連中だろ」
「……そうだな」
「認めんだな」
少し笑いながら言うグレンの言葉に答える。
「お前がそう言ってくれていて、アイツらがああいう連中なら。お前の前で俺が悪い俺も悪いとか、言ってらんねえだろ。お前に失礼だ」
「……ほんと、吹っ切れたな。良かったよほんと」
そう言ったグレンは一息付いて、そしてこちらに拳を突き出して言う。
「じゃあ改めて……よろしく頼むぜ、ダチ公」
「おう」
そう言って拳を付き合わせた。
「ああ、マジで言ってる」
驚くグレンに対して俺は言う。
「アリサは凄い強くてさ、リーナもまあ形はどうであれ此処から先も無茶苦茶な速度で強くなっていくと思う。俺だってそれに食らいついていくつもりだ。改めて考えても俺達のパーティーは結構いい感じなんだ……そこにお前が加わりゃもっとよくなる」
そしたら。
「そしたら結構報酬額が大きいような依頼も受けられるようになってさ、お前の開業資金だって今より早く溜められるかもしれない。少なくともこんな所に居続けるよりは良い選択だと思うんだ」
「……それ、アイツらには相談したのか?」
「いや、まだだ。だけど多分大丈夫だろうと思ってる。こういうのって強さもそうだけど人間関係も凄く大事だと思うし、俺達もどちらかといえばそういう事を重視してる。そういう意味じゃお前普通に馴染んでたし問題ねえだろ」
「だとしてもそれはお前の憶測だ。こんなもんお前だけで決めるような話じゃねえだろ。こういう大事な話を確定する前に決めんじゃねえよ」
グレンは軽くため息を付いてから、微かに笑みを浮かべて言う。
「期待させといて微妙な空気になったり流れたりしたら、こっちも結構しんどいんだならな」
「グレン……じゃあ」
「……もしもアイツらも普通に良いって言うんなら、俺にとってはありがてえ話だな」
「……よし」
思わず軽くガッツポーズする。
グレンが心配だったのも勿論あった。今この村で鍛冶師を続けるよりも金策として効率が良い案を提供したつもりでもあった。
だけど……まあ、親友と一緒に仕事ができるというのはその位には嬉しい事で。その位には自分本意に物事を考えていて。
結果自然とそんな事をしてしまったのだから、グレンを誘ってみて大正解だと思った。
「まあほんと、アイツら次第だからな。早とちりはすんなよ」
そう言ったグレンは一拍空けてから、少し表情を沈ませて言う。
「……正直な、結構キツい所、あったんだ」
「……」
「別にどんな視線を向けられようと、そんな事はそこまで気にしねえさ。だけどな……殆ど自分が碌でもないと思っている連中しかいないような空間にいるのはしんどい。今まではある程度目を瞑れたが、今日のような事があったんならちょっとな」
そうだろうなと思う。
俺とグレンでは立場がかなり違うから。この感覚をグレンにも当てはめていいのかは分からないけれど、それでも思うんだ。
例え自分が事の当事者ではなかったとしても、ああいう連中とは関わりたくはない。直接的に何もされなかったとしても、それそのものが不快感を蓄積させてきそうだと。
だから分かる。分かっているつもりだ、グレンの考えている事は。
「だから……まあ、ありがとな、クルージ」
「礼は要らねえよ。俺がその方が良いって思った訳なんだからさ。それに……お前が辛い原因を作ったのは俺な訳だし」
「お前じゃねえ。村の連中だろ」
「……そうだな」
「認めんだな」
少し笑いながら言うグレンの言葉に答える。
「お前がそう言ってくれていて、アイツらがああいう連中なら。お前の前で俺が悪い俺も悪いとか、言ってらんねえだろ。お前に失礼だ」
「……ほんと、吹っ切れたな。良かったよほんと」
そう言ったグレンは一息付いて、そしてこちらに拳を突き出して言う。
「じゃあ改めて……よろしく頼むぜ、ダチ公」
「おう」
そう言って拳を付き合わせた。
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