ただキミを幸せにする為の物語 SSランクの幸運スキルを持つ俺は、パーティーを追放されたのでSSランクの不幸少女と最強のパーティーを組みます

山外大河

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三章 人間という生き物の本質

番外編 流石に少し失礼な話

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「ん……朝だ」

 グレン宅の客間にてアリサはゆっくりと体を起こした。
 昨日は本当に色々な事があって疲れていたのかもしれない。横になるとすぐに眠る事ができた。快眠だ。

「……よし、とりあえず部屋は無事だ」

 起きてから部屋の中を見渡してほっと胸を撫で下ろす。
 昨日グレンに寝ぼけて魔術ぶっぱなすような真似はするなよと冗談半分に言われた訳だが、正直少し不安だった。自分もそうだがあの時のリーナが盛大にフラグを立ててしまっている気がして、なんとなく嫌な予感がしていたのだ。とても失礼な事だけれど。

 だが終わってみれば部屋は何事もなく、本当にただの杞憂だった事が分かった。

「リーナさんは……完全に爆睡中か」

 リーナはまだ無茶苦茶気持ち良さそうに眠っていた。
 といっても起こす必要はなくて。

「まあまだ時間早いし寝かせとこ」

 時刻はまだ目覚まし時計にセットした時間よりも30分程早い。この状況でなんか寂しいから起こすなんて行為は外道でしかない。

(外の空気でも吸って来ようかな)

 窓の外を見る限り天気はいい。とりあえずそうする事にしよう。
 そう思って立ち上がろうとした時だった。

「ん……あ、アリサちゃん……駄目っすよそんな事しちゃ……」

 どうやらリーナの夢の中に自分が出ているらしい。
 その光景をどこか微笑ましく、そしてなんだか嬉しく思った訳だが……なんとなくうなされてるというか、まるで悪夢でも見てるようなのは気のせいだろうか?

「……お釜はご飯炊く為の物っすから……なんで殺虫剤焚いてるんすかぁ」

 大正解。悪夢だ。悪夢でしかない。

(というか流石の僕もそこまで酷くない! ……多分)

 自分の場合刃物の扱いが苦手なだけ……の筈だ。その筈だ。

「……う、うん大丈夫。流石にそれはない。大丈夫……大丈夫」

 全く自信は湧いてこなかった。
 殺虫剤は焚かないにしても、それクラスにヤバい何かをやっちゃうかもしれない。

「……聞かなかった事にしよ」

 とにかく考えても埒が明かないので、そもそも聞かなかった事にして歩き出した。

「いや、でも……いくらなんでも殺虫剤はない……よね」

 全く聞かなかった事にはできなかった。
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