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三章 人間という生き物の本質
83 帯びるがそれでも見えなかった物
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グレンが必死になって何度も攻撃を打ち込んだであろう事は分かっている。
俺も全力で刀の鞘を振り払った。グレンの強烈な蹴りも決まった。
だけどそもそもグレンの拳で倒れていなかった時点で、多くのダメージを蓄積できたとしてもまだ倒せていない可能性は十分にある。
そして予想通り仮面の男は再び立ち上がった。
ダメージは効いている。足元がおぼつかない。目の焦点だってあってるかどうかも定かではない。
それでも立ち上がって来た。
そう来ると思っていた。
だから俺達はグレンが蹴り飛ばした次の瞬間には動いていた。
「クルージ!」
「おう!」
走りながらジャンプした俺に合わせるように、グレンは右手に魔術を展開。そして手の平に足を乗せた俺を腕力と魔術で加速させ、起き上がったばかりの敵に急接近し、そのまま体当たりをかまして仮面の男共々地面を転がる。
そこからあまり自由の利かない体をなんとか動かして立ち上がった時には、既に相手も立ち上がっていて。刀の鞘を拾い上げ振りかかるが鞘は空を切り、代わりに男の拳が腹部に叩き付けられる。
「が……ッ」
空気が漏れた。気を失いそうな程の激痛が走る。
だけどそれでも次の攻撃に移る前に。発動までの余裕を持たれて再び魔術攻撃に移行される前に。
グレンが遅れて到着し、俺に追撃を加えに掛かる男に対しドロップキックを叩き込む。
そこにもう魔術は掛かっていない。
おそらくもう、グレンの魔力は枯渇している。
やる事なす事全ての要だった。グレンに魔術を酷使させすぎた。
それでも再び立ち上がって来たもう相手はフラフラで。立っているのが不思議な位憔悴しているのは仮面が取れた表情から見て取れて。
「……っし、もうあんまり固くねえな。魔術が切れやがった」
グレンも勝機をみいだしているようで。
だとすれば再びその固くなっていたらしい魔術を使われる前に。魔術による攻撃を行われる前に。
二対一の泥仕合を始めよう。
……いや、三対一だ。
「先輩! グレンさん!」
後方からおそらく走っているであろう事が分かるリーナの声が聞こえて来て。
そして。
「グ……ッ!?」
「っしゃあ!」
男の背中を捉えるように地面から結界が生え、男の体が苦悶の声が上がる。
そしてグレンの正面に体を押し戻された男に対し、再びグレンが拳を握り、男の顔面に拳を叩き込む。
……勝てる。
そんな言葉が脳裏を過った。
このままなんとか三人で押しきる。押しきってアリサと合流して此処を出る。
そんな事が現実味を帯びて来た。
だけどきっと、そもそも俺達はあまり現実を見れていなかったのかもしれない。
だってそうだ。現実的に考えて。常識的に考えて。
何人もいる筈の敵がいつになっても増援に来ないなんて事はあり得ないだろう。
つまりはそういう事で。俺達は遅すぎたんだ。
「……ッ! 先輩!?」
気付いた時には俺のすぐ近くまで飛んできていた。
放物線を描いて、多分今まで戦ってきた男の物とは違う様な、何かの魔術に見える球体が。
リーナの言葉でそれに気付けて慌てて横に跳んで回避しようとする。
リーナのおかげで直撃は防げた……だけど。
「ぐあ……ッ!?」
着弾した魔術の球体が爆風として吹き荒れ、勢いよく弾き飛ばされ。
そこで意識が掻き消えた。
俺も全力で刀の鞘を振り払った。グレンの強烈な蹴りも決まった。
だけどそもそもグレンの拳で倒れていなかった時点で、多くのダメージを蓄積できたとしてもまだ倒せていない可能性は十分にある。
そして予想通り仮面の男は再び立ち上がった。
ダメージは効いている。足元がおぼつかない。目の焦点だってあってるかどうかも定かではない。
それでも立ち上がって来た。
そう来ると思っていた。
だから俺達はグレンが蹴り飛ばした次の瞬間には動いていた。
「クルージ!」
「おう!」
走りながらジャンプした俺に合わせるように、グレンは右手に魔術を展開。そして手の平に足を乗せた俺を腕力と魔術で加速させ、起き上がったばかりの敵に急接近し、そのまま体当たりをかまして仮面の男共々地面を転がる。
そこからあまり自由の利かない体をなんとか動かして立ち上がった時には、既に相手も立ち上がっていて。刀の鞘を拾い上げ振りかかるが鞘は空を切り、代わりに男の拳が腹部に叩き付けられる。
「が……ッ」
空気が漏れた。気を失いそうな程の激痛が走る。
だけどそれでも次の攻撃に移る前に。発動までの余裕を持たれて再び魔術攻撃に移行される前に。
グレンが遅れて到着し、俺に追撃を加えに掛かる男に対しドロップキックを叩き込む。
そこにもう魔術は掛かっていない。
おそらくもう、グレンの魔力は枯渇している。
やる事なす事全ての要だった。グレンに魔術を酷使させすぎた。
それでも再び立ち上がって来たもう相手はフラフラで。立っているのが不思議な位憔悴しているのは仮面が取れた表情から見て取れて。
「……っし、もうあんまり固くねえな。魔術が切れやがった」
グレンも勝機をみいだしているようで。
だとすれば再びその固くなっていたらしい魔術を使われる前に。魔術による攻撃を行われる前に。
二対一の泥仕合を始めよう。
……いや、三対一だ。
「先輩! グレンさん!」
後方からおそらく走っているであろう事が分かるリーナの声が聞こえて来て。
そして。
「グ……ッ!?」
「っしゃあ!」
男の背中を捉えるように地面から結界が生え、男の体が苦悶の声が上がる。
そしてグレンの正面に体を押し戻された男に対し、再びグレンが拳を握り、男の顔面に拳を叩き込む。
……勝てる。
そんな言葉が脳裏を過った。
このままなんとか三人で押しきる。押しきってアリサと合流して此処を出る。
そんな事が現実味を帯びて来た。
だけどきっと、そもそも俺達はあまり現実を見れていなかったのかもしれない。
だってそうだ。現実的に考えて。常識的に考えて。
何人もいる筈の敵がいつになっても増援に来ないなんて事はあり得ないだろう。
つまりはそういう事で。俺達は遅すぎたんだ。
「……ッ! 先輩!?」
気付いた時には俺のすぐ近くまで飛んできていた。
放物線を描いて、多分今まで戦ってきた男の物とは違う様な、何かの魔術に見える球体が。
リーナの言葉でそれに気付けて慌てて横に跳んで回避しようとする。
リーナのおかげで直撃は防げた……だけど。
「ぐあ……ッ!?」
着弾した魔術の球体が爆風として吹き荒れ、勢いよく弾き飛ばされ。
そこで意識が掻き消えた。
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