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1-2 治癒魔術と旧医学
7 他者の悩みへの関わり方について
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今にして思えば、マチスはこの事を知っていて思うところがあったのかもしれない。
それを察せられる会話が、自分が眠っていたあの時に有ったのかもしれない。
だからこそ、そんな話を軽々とあの場で出来なかったのだろうし、そして自分達も全員が察したからこそ、それ以上アヤの実家の話をする事は無かった。
世の中触れない方がいい事もある。
人様の家庭の話なら尚更だ。
「よし、じゃあ事前に住所聞いて場所は把握してるんで。とりあえず荷物置いて来るっすよ」
そう言ってアヤが先導して歩き始める。
そしてそんな背中を見ながら、レインはリカとアスカに小声で伝える。
「二人共、何か有ったらフォロー頼むな。できるだけ色々と配慮しながら」
その言葉に二人は頷く。
配慮も何も、何も知らない自分達がうまくやれるかは分からないが。
(……そうだ、そういや何も知らねえんだな俺は)
考えてみれば自分はアヤの事を何も知らない。
自分と出会ってからこれまでの事しか知らない。
アヤが自分から話す事も無かったし、こちらからも何も聞く機会は無かったから。
……一体何が有ったのだろうか。
アヤの性格上、特別な事が何も無くて自然に関係がこじれて良くない形になっている、なんて事は無いように思える。
だとすれば一体何が。
……当然、そうした話を振らなければ答えなど見えてくる筈も無く。
何も分からないまま、宿にチェックインしたのだった。
☆★☆
アヤやシエスタがこの村の良いところとして温泉を上げていた通り、基本この村に足を運ぶ観光客は温泉を目当てにやってくるらしい。
そんな訳で取って貰った宿も温泉宿だ。
「うん、良い感じの部屋だ」
荷物を置いてから軽く部屋の中を見渡す。
今回、当然と言えば当然なのだが、アヤ達とは部屋が別だ。
レインが一人部屋で、三人は広めの同じ部屋に宿泊といった感じ。
「……改めて考えると、マジで馬鹿な買い物したよな俺」
今日この部屋で、なんと形容すればいいのかも良く分からない謎の置物と二人きりである。
見付けた時はアスカにつられて良い感じだと思ったが、こうしてみると不気味に一歩足を踏み入れている。
診療所には置かないし置きたくない。
というかリカに置くなと言われた。
コイツは王都に戻り次第リサイクルショップ行きかもしれない。
手放さないと呪われそう……いや、この場合手放したら呪われるのだろうか。
「つーか進めるだけ進めてアスカが何も買ってないのおかしくねぇ?」
最初から最後まで梯子を外され続けている。
それはさておき。
とにかくこの事はさておき。
荷物を置いて少し休んだら入り口付近のお土産売り場前で集合との事だ。
『先に着いても変な物買わないように』
事前にリカにそう釘を刺されている。
買うつもりは当然ない。
アスカに勧められなければアレも買っていない。
『そうですよレインさん』
そしてアスカにはマジで言われたくない。
『…………え、ああ駄目っすよ変なの買っちゃ。その前に皆で査定してからっす』
アヤは……やはり少し元気が無かった。
「……いいのか? これで」
此処に至るまで、あまり踏み込まないほうが良いと考えていた。
触れない方が良いと、そう思っていた。
だけど……それはこちら側が触れにくいが故の逃げではないだろうか?
知る事でやってやれる事もあるかもしれないから。
今すぐではなくとも、シエスタ関連の事に一段落が付いてからでも、話を聞くだけ聞いてみた方が良いのではないだろうか?
「……とはいえなぁ」
人間、本当に触れてほしくない悩みだってある。
他人に土足で踏み込まれるのを拒み、自分の中でそうしたいという意思が固まってから初めて、他人を関わらせる悩みは確かにある。
踏み込まない事を逃げだと一瞬思ったが、その辺の配慮を怠って踏み込む事も、それはきっとこちら側の何とかしたいという都合を押し付けるだけのエゴでしかない。
どちらの考えも自分にはある。
ダブルスタンダード……というよりただ自分が物事を決められない優柔不断な奴というだけかもしれないが。
『それレインさんがヘタレなだけですよ』
以前のアスカの言葉を借りるなら、そういう事でもあるのかもしれないが。
そんな事を考えながら、集合場所へと向かう。
「一番乗りか」
お土産売り場前にはまだ三人の姿は無く、しばらくお土産を見て過ごす事になりそうだ。
今度こそ買う予定も無ければ、そんな気分でも無いけれど。
シエスタの事。
そしてアヤの事……考えるべき事が多い。
そうやって自分は旗から見てかなり難しい表情をしていたのかもしれない。
人から見て心配される位には。そういう意味では。
「おいおい、疲れを取るための温泉宿に来てまで難しい顔してどうした兄ちゃん。部屋でも気に入らなかったか?」
話しかけてきたのが初対面の他人だった事は良かったのかもしれないと、三十代前後程に見える男の姿を見てそう思った
それを察せられる会話が、自分が眠っていたあの時に有ったのかもしれない。
だからこそ、そんな話を軽々とあの場で出来なかったのだろうし、そして自分達も全員が察したからこそ、それ以上アヤの実家の話をする事は無かった。
世の中触れない方がいい事もある。
人様の家庭の話なら尚更だ。
「よし、じゃあ事前に住所聞いて場所は把握してるんで。とりあえず荷物置いて来るっすよ」
そう言ってアヤが先導して歩き始める。
そしてそんな背中を見ながら、レインはリカとアスカに小声で伝える。
「二人共、何か有ったらフォロー頼むな。できるだけ色々と配慮しながら」
その言葉に二人は頷く。
配慮も何も、何も知らない自分達がうまくやれるかは分からないが。
(……そうだ、そういや何も知らねえんだな俺は)
考えてみれば自分はアヤの事を何も知らない。
自分と出会ってからこれまでの事しか知らない。
アヤが自分から話す事も無かったし、こちらからも何も聞く機会は無かったから。
……一体何が有ったのだろうか。
アヤの性格上、特別な事が何も無くて自然に関係がこじれて良くない形になっている、なんて事は無いように思える。
だとすれば一体何が。
……当然、そうした話を振らなければ答えなど見えてくる筈も無く。
何も分からないまま、宿にチェックインしたのだった。
☆★☆
アヤやシエスタがこの村の良いところとして温泉を上げていた通り、基本この村に足を運ぶ観光客は温泉を目当てにやってくるらしい。
そんな訳で取って貰った宿も温泉宿だ。
「うん、良い感じの部屋だ」
荷物を置いてから軽く部屋の中を見渡す。
今回、当然と言えば当然なのだが、アヤ達とは部屋が別だ。
レインが一人部屋で、三人は広めの同じ部屋に宿泊といった感じ。
「……改めて考えると、マジで馬鹿な買い物したよな俺」
今日この部屋で、なんと形容すればいいのかも良く分からない謎の置物と二人きりである。
見付けた時はアスカにつられて良い感じだと思ったが、こうしてみると不気味に一歩足を踏み入れている。
診療所には置かないし置きたくない。
というかリカに置くなと言われた。
コイツは王都に戻り次第リサイクルショップ行きかもしれない。
手放さないと呪われそう……いや、この場合手放したら呪われるのだろうか。
「つーか進めるだけ進めてアスカが何も買ってないのおかしくねぇ?」
最初から最後まで梯子を外され続けている。
それはさておき。
とにかくこの事はさておき。
荷物を置いて少し休んだら入り口付近のお土産売り場前で集合との事だ。
『先に着いても変な物買わないように』
事前にリカにそう釘を刺されている。
買うつもりは当然ない。
アスカに勧められなければアレも買っていない。
『そうですよレインさん』
そしてアスカにはマジで言われたくない。
『…………え、ああ駄目っすよ変なの買っちゃ。その前に皆で査定してからっす』
アヤは……やはり少し元気が無かった。
「……いいのか? これで」
此処に至るまで、あまり踏み込まないほうが良いと考えていた。
触れない方が良いと、そう思っていた。
だけど……それはこちら側が触れにくいが故の逃げではないだろうか?
知る事でやってやれる事もあるかもしれないから。
今すぐではなくとも、シエスタ関連の事に一段落が付いてからでも、話を聞くだけ聞いてみた方が良いのではないだろうか?
「……とはいえなぁ」
人間、本当に触れてほしくない悩みだってある。
他人に土足で踏み込まれるのを拒み、自分の中でそうしたいという意思が固まってから初めて、他人を関わらせる悩みは確かにある。
踏み込まない事を逃げだと一瞬思ったが、その辺の配慮を怠って踏み込む事も、それはきっとこちら側の何とかしたいという都合を押し付けるだけのエゴでしかない。
どちらの考えも自分にはある。
ダブルスタンダード……というよりただ自分が物事を決められない優柔不断な奴というだけかもしれないが。
『それレインさんがヘタレなだけですよ』
以前のアスカの言葉を借りるなら、そういう事でもあるのかもしれないが。
そんな事を考えながら、集合場所へと向かう。
「一番乗りか」
お土産売り場前にはまだ三人の姿は無く、しばらくお土産を見て過ごす事になりそうだ。
今度こそ買う予定も無ければ、そんな気分でも無いけれど。
シエスタの事。
そしてアヤの事……考えるべき事が多い。
そうやって自分は旗から見てかなり難しい表情をしていたのかもしれない。
人から見て心配される位には。そういう意味では。
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