医魔のアスクレピオス ~不遇職【薬剤師】はS級パーティを追放されても薬の力で成り上がります~

山外大河

文字の大きさ
40 / 51
1-2 治癒魔術と旧医学

11 本来の目的

しおりを挟む
 あの後ラグナと別れたレイン達は、本来の目的を果たすためにシエスタの実家へと向かって歩き始めた。
 色々と有って見失いそうにはなるが、此処から先の事が本来の目的だ。

 もっとも今現在アヤが抱えている事も主目的に負けず劣らず大切な事ではある訳で、どちらが上とか下とかは無いのだろうが。

(……いや、どちらかで言えばアヤの方が上か)

 道中レインはそう考える。
 それは別にシエスタを軽んじている訳ではなく、ただ単純に今生きている人間の事の方が大切なのは当然だろうという事だ。

 当然、あくまで比較すればという話。
 軽んじていたとすれば態々遠出してきていない。

「あ、そっちの角を曲がった先っすね。もうすぐそこっす」

 そして当初とは違い先導はしないものの、レインの後ろに付いて案内してくれるアヤの言う通りに進んでいるうちに、どうやら目的地に到着しかかっているようだ。
 ……そしてそれは、今あまり近寄らない方が良い場所に近づいているという意味でもあるが。

「とりあえず誰も居なさそうだね」

「ただ念の為俺達の影に隠れる感じで行こう」

「そうした方が良さそうですね」

「……申し訳ないけどお願いするっす」

 今のアヤはあまり実家と関わりたくないような感じな訳だが、それでもその実家の隣が今回の目的地であるわけで……どうしたってそのすぐ近くを経由せざるを得ない。
 その過程で家族とばったり会うことが無いか、その点はかなり注意しなければならない。

 ……何かを隠している事を認めてくれたおかげで、この位の事は堂々とやってやれる。

(……とはいえ、時間の問題か)

 今日一日は滞在して出発は明日の予定な訳だが、その間で問題が起きない気がしなくなってきた。
 というのも道中……ラグナの言う通りほぼ全員が顔見知りである村の住民達が、アヤと顔を合わせているからだ。

 皆が触れにくい事に慎重に触れるように、帰ってきても大丈夫かと。
 一応同行者であるレイン達が事情を把握しているかどうかが分からないが故か、表情から色々と感じ取ったのか、詳細には触れずにそんな事を聞いてきた。

 当然そこからは色々な配慮が感じ取れて、そうした配慮をしてくれているようにアヤの存在がこの村で受け入れられている事はよく分かった。

 分かったが、田舎は情報の伝達が早いと聞く。
 それ故にアヤが帰ってきた事が、かなり早い段階でアヤの家族に伝わる可能性がある。
 当然悪意ではなく、善意のすれ違いのような経緯で。

 ……だがとにかく、今この瞬間にアヤと家族が顔を合わせるような事は無く。
 レイン達はシエスタの実家に辿り着いた。

 呼び鈴を鳴らし、家主が出てくるのを待つ。
 そして数秒待って、扉が開き。

「はい……もしかしてあなたが」

「お手紙を頂きました、レイン・クロウリーです」

 シエスタの母親と思わしき女性と顔を合わせた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!

雪奈 水無月
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。 ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。 観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中… ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。 それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。 帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく… さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした

新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。 「ヨシュア……てめえはクビだ」 ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。 「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。 危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。 一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。 彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました

KABU.
ファンタジー
「記録係なんてお荷物はいらない」 勇者パーティを支えてきた青年・ライトは、ダンジョンの最深部に置き去りにされる。 彼のスキル《記録》は、一度通った道を覚えるだけの地味スキル。 戦闘では役立たず、勇者たちからは“足手まとい”扱いだった。 だが死の淵で、スキルは進化する。 《超記録》――受けた魔法や技を記録し、自分も使える力。 そして努力の果てに得たスキル《成長》《進化》が、 《記録》を究極の力《アカシックレコード》へと昇華させる。 仲間を守り、街を救い、ドラゴンと共に飛翔する。 努力の記録が奇跡を生み、やがて―― 勇者も、魔王も凌駕する“最強”へ。

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

処理中です...