20 / 181
第20話 敵前逃亡
しおりを挟む
灰色の霧が立ち込める森の縁に、仮設の野営陣が築かれていた。
辺境伯爵ギルベルトの部隊は既に展開しており、斥候や戦術魔導師、怪我人を収容する野営テントも整然と配置されている。
そこへ、エリオット率いる五十名の騎士団が到着した。
「我が名は、アルテイル男爵嫡男エリオット・アルテイル。命を受け、参陣した!」
堂々と名乗るエリオットに、領軍の兵たちは一瞬視線を向けたが、すぐに無言で作業に戻った。
彼の横で馬を引いていた副官格の騎士が小声で耳打ちする。
「……反応が薄いですね。まるで我々を客将ではなく、足手まといとでも思っているような……」
「馬鹿なことを言うな。彼らは無骨なだけだ」
エリオットは鼻を鳴らし、虚勢を張った笑みを浮かべた。
そこへ、領軍の指揮官の一人と思しき初老の騎士が近づく。
「お迎えに上がりました。閣下は、既に前線の斥候網を指揮されております。代わりに状況説明を──」
「いや、そんなことより辺境伯爵のもとに案内しろ。私は命を受けて来ている。まずは主たる者と直接話をするのが礼儀だ」
初老の騎士は一瞬だけ沈黙した。だが、すぐに静かに答えた。
「……それでよろしいのですな? 承知いたしました。では、前線までお連れします」
その言葉に含まれた意味にエリオットは気付かない。かろうじて副官が首を傾げた。何か感じ取ったのかもしれないが、彼もまた何も言わない。
森の奥、僅かな陽光さえ遮る古木の下に、ギルベルト辺境伯爵の姿があった。
黒い外套を羽織り、部隊長格の者や、既に到着していた他の寄子貴族たちと地図を囲んで何事か協議していたが、エリオットの来訪に気付くと、彼を一瞥した。
「エリオット。来たか」
その声は冷静で、挨拶の礼もない。
「お招きに預かり光栄に存じます、辺境伯爵閣下。〈聖騎士〉として、ぜひこの地の浄化に貢献でき──」
「余計な演説はいらん。ここはお前の大好きな、貴族たちの茶会ではない。戦場だ」
エリオットの言葉を切るように、ギルベルトは冷たく言い放った。
そのまま地図の一点を指差す。
「状況説明は受けただろうな? お前の部隊は、東側斜面に潜む魔物の集団を叩く。地形はぬかるみ、視界も悪い。斥候の報告では、獣型の魔物、〈グラン・ザウル〉が群れている」
「……〈グラン・ザウル〉……?」
実戦経験に乏しいエリオットは、その魔物の名前を聞いたことも、実際に見たこともない。だが──
「知っておるな? 身の丈三メートル。鎧をも喰い破る顎を持つ。騎士たちに戦い方は教え込んであるはずだろう? これより命令を出し、明朝には行軍を開始せよ」
「……は、はっ」
こちらに有無を言わせぬ命令。エリオットは咄嗟に返事をしたが、正直状況が把握できていない。最初に状況説明を断った報いが既に影響していた。だがそのことに気付かないほど〈剣聖〉の威風に完全に呑まれ、背筋には冷たい汗が流れていた。
その後、指示された受け持ちの場所に向かうも、何をすればいいのかわからない。適当に陣を張り明日の行軍に備えるだけだった。そして、その様子は逐一ギルベルトに報告されている。
「放っておけ」
報告を受けたギルベルトが放ったのはその一言だけだった。既に彼は、エリオットを戦力として見ていない。他の戦力で対応できるよう備えていた。
◆
「前方、敵影確認! 数十体、こちらへ向かってきます!」
斥候の叫びと同時に、森の奥から地響きのような唸り声が響き渡った。
枝を弾き飛ばし、赤黒い巨体が現れる。
「く、来たか……っ!」
エリオットは馬上で剣を抜こうとした。だが鞘から引き抜いたその瞬間、剣を握る手が震えて止まらなかった。
(な、何だあれは……!?)
〈グラン・ザウル〉
咆哮とともに現れたその魔物は、想像より遥かに巨大で、血に濡れた毛皮がねっとりと光り、牙はまるで剣のように鋭く、眼光は怨嗟に満ちていた。
──こいつは、人を狩る目だ。
そう直感した瞬間、背筋に氷のようなものが走った。喉がひゅっと狭まり、手から力が抜けそうになる。
「隊列を保て! 突撃の号令はまだだ!」
必死に声を張るが、その声はかすれていた。
(近い……速い……っ!)
森の奥から湧き出るように、次々と現れる魔物たち。獣型、蛇型、甲殻を持つ異形の影──そのどれもが異様で、悪夢の産物のようだった。
見ているだけで呼吸が浅くなっていく。息がうまく吸えない。
(これは……無理だ。戦えない。あんなの、スキルで何とかなる相手じゃ……!)
「……く、来るな……!」
まるで願うように呟いた瞬間、先頭の〈グラン・ザウル〉が咆哮とともにこちらに突撃を始めた。
大地が揺れる。重騎が駆けるような衝撃波が、身体を直接揺さぶってきた。
「エリオット様、ご命令を!」
誰かの叫びに、エリオットは反射的に振り返る──が、その目は恐怖に見開かれ、焦点を結んでいなかった。
「ひ、引けっ! 後退だ!」
「なっ……!?」
最悪の号令だった。たちまち隊は混乱し、陣形は瞬時に崩壊。
命令を待っていた騎士たちが、逃げ惑う馬と魔物に押し潰される。
「ひっ……どけっ、どけぇ!」
馬を振るって誰よりも先に逃げ出すエリオット。その顔は蒼白で、理性など既に飛んでいた。
手綱を握る指先は硬直し、剣は鞘に納めることすら忘れて足元に落としたまま。
「エリオット様、お待ちください! ここで退か──ぐあっ──」
後方で叫ぶ騎士が、突進してきた魔物に跳ね飛ばされる。
その姿を、エリオットは一瞬だけ振り返った。だが、何も言えず、ただそのまま逃げた。
(死ぬ……このままでは俺が死ぬ……!)
それだけが、彼の脳内を埋め尽くしていた。
配下を置き去りにしたまま、彼は誰よりも早く、恐怖とともに陣営を後にしていた。
戦の翌朝、辺境伯爵ギルベルトは沈黙のまま、男爵家の死傷者の報告に目を通していた。
戦死三十二、重傷者十名、軽傷者八名。
エリオット・アルテイル──所在不明。だが、生き延びて自領に逃げ帰ったとの情報が、部隊の一人からもたらされていた。
ライアスが進み出て問う。
「閣下、アルテイル男爵家への処置は?」
ギルベルトは顔を上げることなく、ただ短く言った。
「使者を出せ。説明、いや、詫びに来るようにとな」
それだけだった。声に怒気はない。
むしろその静けさこそ、激しい失望と軽蔑の証であった。
辺境伯爵ギルベルトの部隊は既に展開しており、斥候や戦術魔導師、怪我人を収容する野営テントも整然と配置されている。
そこへ、エリオット率いる五十名の騎士団が到着した。
「我が名は、アルテイル男爵嫡男エリオット・アルテイル。命を受け、参陣した!」
堂々と名乗るエリオットに、領軍の兵たちは一瞬視線を向けたが、すぐに無言で作業に戻った。
彼の横で馬を引いていた副官格の騎士が小声で耳打ちする。
「……反応が薄いですね。まるで我々を客将ではなく、足手まといとでも思っているような……」
「馬鹿なことを言うな。彼らは無骨なだけだ」
エリオットは鼻を鳴らし、虚勢を張った笑みを浮かべた。
そこへ、領軍の指揮官の一人と思しき初老の騎士が近づく。
「お迎えに上がりました。閣下は、既に前線の斥候網を指揮されております。代わりに状況説明を──」
「いや、そんなことより辺境伯爵のもとに案内しろ。私は命を受けて来ている。まずは主たる者と直接話をするのが礼儀だ」
初老の騎士は一瞬だけ沈黙した。だが、すぐに静かに答えた。
「……それでよろしいのですな? 承知いたしました。では、前線までお連れします」
その言葉に含まれた意味にエリオットは気付かない。かろうじて副官が首を傾げた。何か感じ取ったのかもしれないが、彼もまた何も言わない。
森の奥、僅かな陽光さえ遮る古木の下に、ギルベルト辺境伯爵の姿があった。
黒い外套を羽織り、部隊長格の者や、既に到着していた他の寄子貴族たちと地図を囲んで何事か協議していたが、エリオットの来訪に気付くと、彼を一瞥した。
「エリオット。来たか」
その声は冷静で、挨拶の礼もない。
「お招きに預かり光栄に存じます、辺境伯爵閣下。〈聖騎士〉として、ぜひこの地の浄化に貢献でき──」
「余計な演説はいらん。ここはお前の大好きな、貴族たちの茶会ではない。戦場だ」
エリオットの言葉を切るように、ギルベルトは冷たく言い放った。
そのまま地図の一点を指差す。
「状況説明は受けただろうな? お前の部隊は、東側斜面に潜む魔物の集団を叩く。地形はぬかるみ、視界も悪い。斥候の報告では、獣型の魔物、〈グラン・ザウル〉が群れている」
「……〈グラン・ザウル〉……?」
実戦経験に乏しいエリオットは、その魔物の名前を聞いたことも、実際に見たこともない。だが──
「知っておるな? 身の丈三メートル。鎧をも喰い破る顎を持つ。騎士たちに戦い方は教え込んであるはずだろう? これより命令を出し、明朝には行軍を開始せよ」
「……は、はっ」
こちらに有無を言わせぬ命令。エリオットは咄嗟に返事をしたが、正直状況が把握できていない。最初に状況説明を断った報いが既に影響していた。だがそのことに気付かないほど〈剣聖〉の威風に完全に呑まれ、背筋には冷たい汗が流れていた。
その後、指示された受け持ちの場所に向かうも、何をすればいいのかわからない。適当に陣を張り明日の行軍に備えるだけだった。そして、その様子は逐一ギルベルトに報告されている。
「放っておけ」
報告を受けたギルベルトが放ったのはその一言だけだった。既に彼は、エリオットを戦力として見ていない。他の戦力で対応できるよう備えていた。
◆
「前方、敵影確認! 数十体、こちらへ向かってきます!」
斥候の叫びと同時に、森の奥から地響きのような唸り声が響き渡った。
枝を弾き飛ばし、赤黒い巨体が現れる。
「く、来たか……っ!」
エリオットは馬上で剣を抜こうとした。だが鞘から引き抜いたその瞬間、剣を握る手が震えて止まらなかった。
(な、何だあれは……!?)
〈グラン・ザウル〉
咆哮とともに現れたその魔物は、想像より遥かに巨大で、血に濡れた毛皮がねっとりと光り、牙はまるで剣のように鋭く、眼光は怨嗟に満ちていた。
──こいつは、人を狩る目だ。
そう直感した瞬間、背筋に氷のようなものが走った。喉がひゅっと狭まり、手から力が抜けそうになる。
「隊列を保て! 突撃の号令はまだだ!」
必死に声を張るが、その声はかすれていた。
(近い……速い……っ!)
森の奥から湧き出るように、次々と現れる魔物たち。獣型、蛇型、甲殻を持つ異形の影──そのどれもが異様で、悪夢の産物のようだった。
見ているだけで呼吸が浅くなっていく。息がうまく吸えない。
(これは……無理だ。戦えない。あんなの、スキルで何とかなる相手じゃ……!)
「……く、来るな……!」
まるで願うように呟いた瞬間、先頭の〈グラン・ザウル〉が咆哮とともにこちらに突撃を始めた。
大地が揺れる。重騎が駆けるような衝撃波が、身体を直接揺さぶってきた。
「エリオット様、ご命令を!」
誰かの叫びに、エリオットは反射的に振り返る──が、その目は恐怖に見開かれ、焦点を結んでいなかった。
「ひ、引けっ! 後退だ!」
「なっ……!?」
最悪の号令だった。たちまち隊は混乱し、陣形は瞬時に崩壊。
命令を待っていた騎士たちが、逃げ惑う馬と魔物に押し潰される。
「ひっ……どけっ、どけぇ!」
馬を振るって誰よりも先に逃げ出すエリオット。その顔は蒼白で、理性など既に飛んでいた。
手綱を握る指先は硬直し、剣は鞘に納めることすら忘れて足元に落としたまま。
「エリオット様、お待ちください! ここで退か──ぐあっ──」
後方で叫ぶ騎士が、突進してきた魔物に跳ね飛ばされる。
その姿を、エリオットは一瞬だけ振り返った。だが、何も言えず、ただそのまま逃げた。
(死ぬ……このままでは俺が死ぬ……!)
それだけが、彼の脳内を埋め尽くしていた。
配下を置き去りにしたまま、彼は誰よりも早く、恐怖とともに陣営を後にしていた。
戦の翌朝、辺境伯爵ギルベルトは沈黙のまま、男爵家の死傷者の報告に目を通していた。
戦死三十二、重傷者十名、軽傷者八名。
エリオット・アルテイル──所在不明。だが、生き延びて自領に逃げ帰ったとの情報が、部隊の一人からもたらされていた。
ライアスが進み出て問う。
「閣下、アルテイル男爵家への処置は?」
ギルベルトは顔を上げることなく、ただ短く言った。
「使者を出せ。説明、いや、詫びに来るようにとな」
それだけだった。声に怒気はない。
むしろその静けさこそ、激しい失望と軽蔑の証であった。
10
あなたにおすすめの小説
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
最強の職業は付与魔術師かもしれない
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。
召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。
しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる――
※今月は毎日10時に投稿します。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる