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新学期だ!新入生だ!贈り物だ!
♥️おまけ
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「はぁ、健気だねぇ、殿下も。」
城と言われても驚かないほど壮麗な校舎の、廊下の壁自体が座れるようデザインされた、ちょっとした休憩スペースをいつもの5人で陣取り、私の話を聞いていたシャンテが、片ひじをついて感嘆か呆れか分からないため息を吐いた。
ラミエラとヘーゼなんかは手を取り合って、きゃ~愛だわ~、などと騒いでいる。
私の話を恋バナと受け取るな、と注意したこともあるけれど、この2人にはまるで効果が無いようだ。
それで、と切り出すのはニヤついたローズ。今日もくるくるとした天然の巻き髪が麗しい。
「お礼をするのでしょう?何にするかは決めたの?」
「うーん、刺繍にしようかな、と。」
「あら、良い物贈るのね!ジェニーの刺繍は天下一品だもの。」
「えぇ、ほんと!売り物にしたいくらいです!」
ずい、と身を乗り出し、目を光らせるヘーゼのおでこにデコピンを食らわす。
私の刺繍の腕はお妃教育で磨かれた。8歳の時から一流の教師の元で、しかも皇后陛下にお見せする前提で、チクチクチクチクチクチクチクチクやってきたのだ。ちっ。
学校でも刺繍の授業を取っていたが、おかげさまで自他共に認める得意分野である。
「へぇー、そんなに凄いんだ。」
刺繍は淑女の嗜みであり、シャンテは刺繍の授業は取っていない為、彼は私作の刺繍を見たことがなかった。
感心するように頷いていたかと思うと、ふーん、へー、と含みのある相槌を繰り返すシャンテに、なに?と聞くと、にやけ顔に拍車がかかった。
「いやー、そんな素敵な刺繍を貰ったら、さぞ嬉しいだろうなーと思ってね。」
「で?」
「自慢するよね。貰ったら、絶対。」
なるほど。なんとなくシャンテが言わんとしていることが分かってきた。
「学校中で、2人の仲睦まじいエピソードが語られるなんてさ、殿下の悲願じゃない?2人を見守ってきた身としては、涙ぐましいことこの上ないね。」
セリフと表情が結び付かないシャンテ。あなたの涙は、どうせ笑い過ぎの涙でしょう。
とはいえ、シャンテの言うことも一理ある。理想的な皇太子と皇太子妃カップルなんて祭り上げられたら、今までの努力が水の泡だ。
「それは、避けたいわ。」
「うーん、でも、そうなると刺繍は難しいんじゃない?ハンカチ、タイ、シャツ、何にしてもジェニーの刺繍なら一級品になるもの。」
ローズが指を折りながら頭を捻る。ラミエラもヘーゼも、うーんと唸り始めた。
「もうさ、変な模様にしたら?ハンカチにしろ何にしろ、変な刺繍なら恥ずかしくて自慢もできないでしょ。あ、殿下の似顔絵とか。」
シャンテが笑いながら言うと、皇太子殿下の似顔絵刺繍を想像したのか、ローズが吹き出した。
私はというと、そのセリフを聞いて、ふと幼い頃のある日を思い出していた。
私が4歳の頃の話だ。
私と当時6歳のお兄様が、1歳のキャルと一緒に遊んでいた。機嫌良く積み木を積み重ねていたキャルが、急にそわそわしだし、そして泣き始めた。
メイドが、あらあらどうしましたお坊っちゃま、と手慣れた様子で抱き上げ、おしめですね、と速やかに原因究明がされる。その様子を、私とお兄様はじっと見ていた。
キャルの汚れたオムツが外され、お尻を綺麗に拭かれた後、新しくあてがわれたオムツが金ぴかだった。
あまり細かくは覚えてないが、テロテロとした輝きを考えるに、外側はシルクだったのではないかと思う。
「ぴかぴかオムツ。」
私がそう呟くと、メイドが優しく教えてくれた。
「旦那様がカルーエルお坊っちゃまの為に、オーダーメイドで作ったオムツなんですよ。」
「父上の愛を感じるね。私だったら絶対履きたくないけど。」
確か、お兄様はそんなことを言っていた。私はまだ4歳で、ぴかぴか、という感想しか無かったが、お兄様がそう言うなら、あまり好まれないデザインなのだろうと思った。
ムカデだとか蜘蛛だとか、喜ばれない刺繍デザインをあれやこれや考えてくれる友4人。善意というより、6割は悪ふざけだと知っている。いや、7割かも。
「あるわ。どんなに一級品でも、自慢できないアイテム。」
そんな4人が、私の言葉にお喋りを止めた。続きを待って、ごくりと生唾を飲む。
「パンツ。」
パンツ?!と異国語の発音練習さながら、4人が私の後に同じ言葉を続けた後、しばしこの一角だけ静寂に包まれた。廊下を行き交う他の生徒の騒音が遠く感じる。
はて、私は時を止める異能力を持っていたのだったか。
ならば数えるとしよう。
時が動く5秒前、
4、
3、
2、
1、
「ぶわっはははははは!あっはっはっ…!」
息を切らすほど高い笑い声を上げたのは、言わずもがなシャンテだ。
「ととと殿方のししし下着に刺繍をするの?!!」
「ししし下着を殿方にプレゼントするの?!!」
非難するどころか、興味津々に身を乗り出してくるラミエラとヘーゼ。ローズは目くじらを立ててわなわなと震えている。
「あはははは!もちろんウツボカズラを刺繍するんだよね、袋を2つ!あっはっはっ!」
なるほど、と声に出さなかったのは、涙を流して笑うシャンテの言葉に、ローズの怒りが頂点に達したようだったからだ。
キッ、とローズの目がつり上がった。
「ちょっとシャンテ!あなた下品にも程があるわよ!ジェニーも公爵令嬢らしく、品位を保ちなさい!」
そんな、とばっちりだわ。
それに、シャンテの案は名案だと思う。だってそんな下着をプレゼントされたところで、恥ずかしくて誰にも言えないはずだもの。
つまり人知れず、殿下の心の内でのみ、私の評価を下落させることができるのだ。完璧ではないか。
後日、私は完成させたウツボカズラの刺繍を施した下着を、お礼という形で殿下に差し上げた。どんな反応をするのか、箱を開けた時の殿下の表情を想像すると、楽しくてしょうがなかった。
きっといつものように青ざめて、額から汗が流れるかも。もしかしたらお兄様にすら見せられないかもしれない。
ところが期待どおりにはいかないもので、殿下の中での私の評価は下がるどころか、顔を合わせる度に頬を赤く染めるようになってしまった。
なぜ?
ローズが目くじら立てるほど下品な物を贈ったというのに、一体全体何を思って心拍数が上がっているのか。
理解不能。
しかしその理由は、数日後に知ることとなる。
どうやら、私が殿下に人に見せられない下着を贈ったことが、学校内で話題になっていたようだ。
婚約者からプレゼントされた物は使いたい。だが、この下着を着るのは恥ずかしい。とはいえ、普通に生活していればそもそも人には見られない。なぜ婚約者はこんな贈り物をしたのか。
そう、浮気防止である。
そんな訳あるか!
尾ひれどころか海中のゴミを引っ付けた噂に、そう叫んでやりたかった。
つまり世間では、私が愛する婚約者に、浮気しないでね、と可愛らしい贈り物をしたことになっているのだ。
世間だけじゃない。殿下の様子から察するに、殿下自身もそう思っているに違いない。
普段のやり取りからして、なぜそういう受けとり方をできるのか。鋼のメンタルにはどんな仕打ちも、糠に釘、豆腐に鎹、石に灸。
打ちひしがれた私をよそに、校内どころか帝国中で、女が恋人や婚約者、または夫に、人に見せられないような恥ずかしい下着を贈るのがブームとなった。
城と言われても驚かないほど壮麗な校舎の、廊下の壁自体が座れるようデザインされた、ちょっとした休憩スペースをいつもの5人で陣取り、私の話を聞いていたシャンテが、片ひじをついて感嘆か呆れか分からないため息を吐いた。
ラミエラとヘーゼなんかは手を取り合って、きゃ~愛だわ~、などと騒いでいる。
私の話を恋バナと受け取るな、と注意したこともあるけれど、この2人にはまるで効果が無いようだ。
それで、と切り出すのはニヤついたローズ。今日もくるくるとした天然の巻き髪が麗しい。
「お礼をするのでしょう?何にするかは決めたの?」
「うーん、刺繍にしようかな、と。」
「あら、良い物贈るのね!ジェニーの刺繍は天下一品だもの。」
「えぇ、ほんと!売り物にしたいくらいです!」
ずい、と身を乗り出し、目を光らせるヘーゼのおでこにデコピンを食らわす。
私の刺繍の腕はお妃教育で磨かれた。8歳の時から一流の教師の元で、しかも皇后陛下にお見せする前提で、チクチクチクチクチクチクチクチクやってきたのだ。ちっ。
学校でも刺繍の授業を取っていたが、おかげさまで自他共に認める得意分野である。
「へぇー、そんなに凄いんだ。」
刺繍は淑女の嗜みであり、シャンテは刺繍の授業は取っていない為、彼は私作の刺繍を見たことがなかった。
感心するように頷いていたかと思うと、ふーん、へー、と含みのある相槌を繰り返すシャンテに、なに?と聞くと、にやけ顔に拍車がかかった。
「いやー、そんな素敵な刺繍を貰ったら、さぞ嬉しいだろうなーと思ってね。」
「で?」
「自慢するよね。貰ったら、絶対。」
なるほど。なんとなくシャンテが言わんとしていることが分かってきた。
「学校中で、2人の仲睦まじいエピソードが語られるなんてさ、殿下の悲願じゃない?2人を見守ってきた身としては、涙ぐましいことこの上ないね。」
セリフと表情が結び付かないシャンテ。あなたの涙は、どうせ笑い過ぎの涙でしょう。
とはいえ、シャンテの言うことも一理ある。理想的な皇太子と皇太子妃カップルなんて祭り上げられたら、今までの努力が水の泡だ。
「それは、避けたいわ。」
「うーん、でも、そうなると刺繍は難しいんじゃない?ハンカチ、タイ、シャツ、何にしてもジェニーの刺繍なら一級品になるもの。」
ローズが指を折りながら頭を捻る。ラミエラもヘーゼも、うーんと唸り始めた。
「もうさ、変な模様にしたら?ハンカチにしろ何にしろ、変な刺繍なら恥ずかしくて自慢もできないでしょ。あ、殿下の似顔絵とか。」
シャンテが笑いながら言うと、皇太子殿下の似顔絵刺繍を想像したのか、ローズが吹き出した。
私はというと、そのセリフを聞いて、ふと幼い頃のある日を思い出していた。
私が4歳の頃の話だ。
私と当時6歳のお兄様が、1歳のキャルと一緒に遊んでいた。機嫌良く積み木を積み重ねていたキャルが、急にそわそわしだし、そして泣き始めた。
メイドが、あらあらどうしましたお坊っちゃま、と手慣れた様子で抱き上げ、おしめですね、と速やかに原因究明がされる。その様子を、私とお兄様はじっと見ていた。
キャルの汚れたオムツが外され、お尻を綺麗に拭かれた後、新しくあてがわれたオムツが金ぴかだった。
あまり細かくは覚えてないが、テロテロとした輝きを考えるに、外側はシルクだったのではないかと思う。
「ぴかぴかオムツ。」
私がそう呟くと、メイドが優しく教えてくれた。
「旦那様がカルーエルお坊っちゃまの為に、オーダーメイドで作ったオムツなんですよ。」
「父上の愛を感じるね。私だったら絶対履きたくないけど。」
確か、お兄様はそんなことを言っていた。私はまだ4歳で、ぴかぴか、という感想しか無かったが、お兄様がそう言うなら、あまり好まれないデザインなのだろうと思った。
ムカデだとか蜘蛛だとか、喜ばれない刺繍デザインをあれやこれや考えてくれる友4人。善意というより、6割は悪ふざけだと知っている。いや、7割かも。
「あるわ。どんなに一級品でも、自慢できないアイテム。」
そんな4人が、私の言葉にお喋りを止めた。続きを待って、ごくりと生唾を飲む。
「パンツ。」
パンツ?!と異国語の発音練習さながら、4人が私の後に同じ言葉を続けた後、しばしこの一角だけ静寂に包まれた。廊下を行き交う他の生徒の騒音が遠く感じる。
はて、私は時を止める異能力を持っていたのだったか。
ならば数えるとしよう。
時が動く5秒前、
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「ぶわっはははははは!あっはっはっ…!」
息を切らすほど高い笑い声を上げたのは、言わずもがなシャンテだ。
「ととと殿方のししし下着に刺繍をするの?!!」
「ししし下着を殿方にプレゼントするの?!!」
非難するどころか、興味津々に身を乗り出してくるラミエラとヘーゼ。ローズは目くじらを立ててわなわなと震えている。
「あはははは!もちろんウツボカズラを刺繍するんだよね、袋を2つ!あっはっはっ!」
なるほど、と声に出さなかったのは、涙を流して笑うシャンテの言葉に、ローズの怒りが頂点に達したようだったからだ。
キッ、とローズの目がつり上がった。
「ちょっとシャンテ!あなた下品にも程があるわよ!ジェニーも公爵令嬢らしく、品位を保ちなさい!」
そんな、とばっちりだわ。
それに、シャンテの案は名案だと思う。だってそんな下着をプレゼントされたところで、恥ずかしくて誰にも言えないはずだもの。
つまり人知れず、殿下の心の内でのみ、私の評価を下落させることができるのだ。完璧ではないか。
後日、私は完成させたウツボカズラの刺繍を施した下着を、お礼という形で殿下に差し上げた。どんな反応をするのか、箱を開けた時の殿下の表情を想像すると、楽しくてしょうがなかった。
きっといつものように青ざめて、額から汗が流れるかも。もしかしたらお兄様にすら見せられないかもしれない。
ところが期待どおりにはいかないもので、殿下の中での私の評価は下がるどころか、顔を合わせる度に頬を赤く染めるようになってしまった。
なぜ?
ローズが目くじら立てるほど下品な物を贈ったというのに、一体全体何を思って心拍数が上がっているのか。
理解不能。
しかしその理由は、数日後に知ることとなる。
どうやら、私が殿下に人に見せられない下着を贈ったことが、学校内で話題になっていたようだ。
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そう、浮気防止である。
そんな訳あるか!
尾ひれどころか海中のゴミを引っ付けた噂に、そう叫んでやりたかった。
つまり世間では、私が愛する婚約者に、浮気しないでね、と可愛らしい贈り物をしたことになっているのだ。
世間だけじゃない。殿下の様子から察するに、殿下自身もそう思っているに違いない。
普段のやり取りからして、なぜそういう受けとり方をできるのか。鋼のメンタルにはどんな仕打ちも、糠に釘、豆腐に鎹、石に灸。
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