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第1部
14.
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昨日の夜、トレシュは約束を守れなかったことの謝罪をしに、部屋を訪れてくれた。
菜園でのことをブランドンから聞いたかどうかは分からなかったが、特にそこについて触れられることはなく、埋め合わせをさせて欲しいと言ってくれたのだ。
その為、今日は朝から身支度に追われた。
久しぶりに髪をまとめ上げ、着たことのない良質なウールのストラとパルラを着せられた。
一方トレシュもトガを身に纏い、余所向けの格好をして現れた。
「応接間に行こう。」
敷地内で過ごすのに、わざわざ着飾る必要があるのだろうか。そんな疑問を呑み込み、にこりと差し出された手を取った。
応接間には椅子が2脚用意されており、その片方に私が座り、隣のもう1つにトレシュが座った。その脇にブランドンが控える。
分かりやすく睨み付けてくるブランドンの視線は、ずっと無視している。
「何をするんですか?」
「買い物だよ。」
応接間で?
私が首を傾げると、トレシュはくすりと笑って、「順番に呼んでくれ。」と使用人に指示を出した。
驚くことに、トレシュは商人を呼んだのだ。
それこそ精一杯着飾った商人が、商品を持った奴隷たちと共に入室してきた。
目の前に豪華なアクセサリーを並べられ、絶句する。
「あ、あの、こんな高価な物…。」
「大丈夫だよ。今まであまりお金を使ってこなかったから、いい機会だよ。」
「でも。」
「以前買った物は盗られてしまっただろう?私に罪滅ぼしをさせてほしい。」
そう言ってトレシュは金の髪飾りを手に取り、私の髪に挿した。そして「うーん。」と首を捻る。
「シノアの髪が美しくて、金がかすんでしまうな。」
お世辞だ。そうに違いない。分かっているのに頬に熱が溜まり、私は唇をきゅっと結んだ。
「では旦那様、こちらはいかがでしょうか。」
宝石商が見せてきたのはシンプルなネックレスだった。細い銀のチェーンに、銀の金具のついた白い石が吊るされている。
これなら派手さも無く身につけやすそうだし、なにより金額が安く済みそうだ。
「真珠か。」
「その通りです、旦那様!しかもこのサイズ!傷が無いことはもちろんのこと、照りや巻も最上級レベルの非常に稀少価値の高い逸品でございます!」
こんなに質素に見えるのに、宝石という物は分からない。
宝石商が「どうぞお近くでご覧ください。」と目の前まで持ってくると、悪いことをしたわけでもないのにドキドキと妙に緊張した。
そんな高価な物、絶対に触れない。
そう思ったのに、トレシュはまじまじとそれを見つめると、さほど迷いもせずに「それを貰おう。」と頷いたので、ぎょっとして彼のトガを引っ張った。
「ト、トレシュ様、いくらなんでも身に余ります。」
「そんなことないよ。きっと似合う。」
すぐに着けてもいいかな、とトレシュが問えば、宝石商は満面の笑みで何度も首を縦に振った。
トレシュはネックレスを受け取ると、私に横を向かせた。
まず片手で持ち、空いた方の手で私を抱きしめるように囲い、それぞれの手でネックレスの端を持って、首の後ろに到着した。
トレシュの指が首に触れて、くすぐったい。
はい、という合図で彼の方へ向き直った。
「ど、どうですか?」
高価すぎてドキドキが治まらない私とは反対に、トレシュは一層穏やかに目を細めた。
「月の女神ようだ。」
一気に顔が高潮したと分かった。それくらい顔が熱くなったのだ。
「言い過ぎですよ。」
「そんなことないよ。」
ほら、と彼は私の首元に手を伸ばし、先程掛けたばかりのネックレスに触れた。
指先が鎖骨を掠め、ますます心臓が高鳴った。
「満月を首から下げているみたいだ。」
恥ずかしいセリフをよく次から次へと口に出せるものだ。
当の本人は涼しい顔をしている為、深い意味はないのだろうが、これでは女たらしではないか。
胸が痛い。鼓動が強すぎる。
なかなか下がらない熱を手で仰ぎながらでは、残りの宝石商の話は半分も耳に入らなかった。
宝石商が帰ると、次は反物屋、その次は靴屋、輸入品や古美術品等、入れ代わり立ち代わり様々な品を見せられた。
この応接間が大市にでもなったかのようだ。
そして、トレシュも物怖じなく次々と買うものだから、別の意味でこちらの心臓が持たない。
金銭感覚的に、安心して品物を見れたのは、小物雑貨だった。
櫛や文具等、色々な種類の雑貨の中で、精巧な金細工のフィビュラに興味を引かれた。梟がモチーフにされている。
真ん丸な目が印象的で、優しく細められるトレシュとは対照的だ。
「これが欲しいの?」
トレシュがそのフィビュラを手に取り、私の鎖骨の辺りに充てがう。
「似合うと思って。」
私はトレシュの手からするりとそれを抜き取り、彼の肩辺りに充てがった。
「トレシュ様に、です。」
トレシュは梟ほどでないにせよ目を丸くした。
「梟は知恵の女神の使い鳥で、知恵者の象徴だと、昔言ってましたよね。」
10年前のあの森で。
トレシュは怪我で身動き取れず、私は毎晩心配していた。
戦地となりあちこちに火がついた場所なので、獣達もあまり近寄らないだろうとは思っていたが、100パーセントではない。
私がいない間に、襲われていたらと。
しかし、その兵士の元へ行くたびに、彼は穏やかに迎えてくれた。
”夜の森で1人でいるの、怖くないの?”と訊いたことがあった。
彼は笑った。”天気が良ければ美しい星空を拝めるし、遠くで梟の鳴き声も聞こえる。案外快適だよ。”と。
梟の鳴き声など私にとっては日常だった。村にいても聞こえる。
”梟が好きなの?” と訊くと、今私が口にした内容を語ったのだ。
「覚えて…いたのか。」
トレシュのはにかみ顔はいつものことだが、珍しくその中に嬉々とした感情が見て取れた。
彼の弧を描く唇に、彼のごつごつとした指先が触れる。
「覚えていますよ。もし野犬や熊が出たらどうするのかと訊いたら、森のルールに従うよ、なんて言ってましたよね。」
変な人だと思ったんです、と言い終わる頃、彼の細められた目は一層優しい色を帯びていた。
一瞬、森の中にいるような錯覚をした。小さな洞穴で小難しい話を聞いて首を傾げていた時、トレシュはこんな目をしていたのを思い出した。
「あの時の話をあまりしないから、したくないのかと思っていた。」
「いえ…別に。」
ドキリとした。
今までは彼の動向を探る為に気を張っていた。過去のことなど気にしている余裕がなかったのだ。
トレシュは「ふふ。」と声を漏らした。
「強がっていたんだよ。」
「え?」
「快適だって言ったこと。」
「そうなんですか?」
「怪我の手当をしてくれて、内密に食糧まで用意して、そんな子に獣が怖いなんて言ったら、夜まで抜け出してきちゃいそうだろう?」
さすがに夜の森に入る選択肢はなかったが、あんなに余裕に見せておいて内心不安でいっぱいだったのかと思うと、なんだか可愛く感じて、沸々と笑いが込み上げてきた。
梟の鳴き声が聞こえるなんて涼しい顔で言いながら、その実、夜通し冷や汗を流し震えていたのだろうか。
手で口を押さえたものの、我慢できずに声が漏れだす。
ちらりとトレシュの顔を覗けば、彼は不快どころかさらに嬉しそうな表情を浮かべて私を見ていた。
「ふっ、くっ…怖、かったん、ですか?」
「もちろん怖かったさ。」
もう抑えることは不可能だった。満杯の水差しを落としてしまったかのように、笑い声が弾けてしまった。
50歳の大の男が怖かったなんて口に出すのだから仕方ない。いつも余裕な表情ばかり見ている為に意外性も相まって、笑うなと言う方が無理な話だった。
セスが聞いていたら笑い転げていたに違いない。
商人がニタニタと生暖かい目を向けてくるのも気にならないほど愉快で、表情筋が疲弊する。
「笑い過ぎだろう。」
そう言いながら、トレシュも整った歯並びを見せていた。
それが不思議ときらきら眩しく見えるのだ。この先トレシュの服に留まることになった金の梟よりも。
菜園でのことをブランドンから聞いたかどうかは分からなかったが、特にそこについて触れられることはなく、埋め合わせをさせて欲しいと言ってくれたのだ。
その為、今日は朝から身支度に追われた。
久しぶりに髪をまとめ上げ、着たことのない良質なウールのストラとパルラを着せられた。
一方トレシュもトガを身に纏い、余所向けの格好をして現れた。
「応接間に行こう。」
敷地内で過ごすのに、わざわざ着飾る必要があるのだろうか。そんな疑問を呑み込み、にこりと差し出された手を取った。
応接間には椅子が2脚用意されており、その片方に私が座り、隣のもう1つにトレシュが座った。その脇にブランドンが控える。
分かりやすく睨み付けてくるブランドンの視線は、ずっと無視している。
「何をするんですか?」
「買い物だよ。」
応接間で?
私が首を傾げると、トレシュはくすりと笑って、「順番に呼んでくれ。」と使用人に指示を出した。
驚くことに、トレシュは商人を呼んだのだ。
それこそ精一杯着飾った商人が、商品を持った奴隷たちと共に入室してきた。
目の前に豪華なアクセサリーを並べられ、絶句する。
「あ、あの、こんな高価な物…。」
「大丈夫だよ。今まであまりお金を使ってこなかったから、いい機会だよ。」
「でも。」
「以前買った物は盗られてしまっただろう?私に罪滅ぼしをさせてほしい。」
そう言ってトレシュは金の髪飾りを手に取り、私の髪に挿した。そして「うーん。」と首を捻る。
「シノアの髪が美しくて、金がかすんでしまうな。」
お世辞だ。そうに違いない。分かっているのに頬に熱が溜まり、私は唇をきゅっと結んだ。
「では旦那様、こちらはいかがでしょうか。」
宝石商が見せてきたのはシンプルなネックレスだった。細い銀のチェーンに、銀の金具のついた白い石が吊るされている。
これなら派手さも無く身につけやすそうだし、なにより金額が安く済みそうだ。
「真珠か。」
「その通りです、旦那様!しかもこのサイズ!傷が無いことはもちろんのこと、照りや巻も最上級レベルの非常に稀少価値の高い逸品でございます!」
こんなに質素に見えるのに、宝石という物は分からない。
宝石商が「どうぞお近くでご覧ください。」と目の前まで持ってくると、悪いことをしたわけでもないのにドキドキと妙に緊張した。
そんな高価な物、絶対に触れない。
そう思ったのに、トレシュはまじまじとそれを見つめると、さほど迷いもせずに「それを貰おう。」と頷いたので、ぎょっとして彼のトガを引っ張った。
「ト、トレシュ様、いくらなんでも身に余ります。」
「そんなことないよ。きっと似合う。」
すぐに着けてもいいかな、とトレシュが問えば、宝石商は満面の笑みで何度も首を縦に振った。
トレシュはネックレスを受け取ると、私に横を向かせた。
まず片手で持ち、空いた方の手で私を抱きしめるように囲い、それぞれの手でネックレスの端を持って、首の後ろに到着した。
トレシュの指が首に触れて、くすぐったい。
はい、という合図で彼の方へ向き直った。
「ど、どうですか?」
高価すぎてドキドキが治まらない私とは反対に、トレシュは一層穏やかに目を細めた。
「月の女神ようだ。」
一気に顔が高潮したと分かった。それくらい顔が熱くなったのだ。
「言い過ぎですよ。」
「そんなことないよ。」
ほら、と彼は私の首元に手を伸ばし、先程掛けたばかりのネックレスに触れた。
指先が鎖骨を掠め、ますます心臓が高鳴った。
「満月を首から下げているみたいだ。」
恥ずかしいセリフをよく次から次へと口に出せるものだ。
当の本人は涼しい顔をしている為、深い意味はないのだろうが、これでは女たらしではないか。
胸が痛い。鼓動が強すぎる。
なかなか下がらない熱を手で仰ぎながらでは、残りの宝石商の話は半分も耳に入らなかった。
宝石商が帰ると、次は反物屋、その次は靴屋、輸入品や古美術品等、入れ代わり立ち代わり様々な品を見せられた。
この応接間が大市にでもなったかのようだ。
そして、トレシュも物怖じなく次々と買うものだから、別の意味でこちらの心臓が持たない。
金銭感覚的に、安心して品物を見れたのは、小物雑貨だった。
櫛や文具等、色々な種類の雑貨の中で、精巧な金細工のフィビュラに興味を引かれた。梟がモチーフにされている。
真ん丸な目が印象的で、優しく細められるトレシュとは対照的だ。
「これが欲しいの?」
トレシュがそのフィビュラを手に取り、私の鎖骨の辺りに充てがう。
「似合うと思って。」
私はトレシュの手からするりとそれを抜き取り、彼の肩辺りに充てがった。
「トレシュ様に、です。」
トレシュは梟ほどでないにせよ目を丸くした。
「梟は知恵の女神の使い鳥で、知恵者の象徴だと、昔言ってましたよね。」
10年前のあの森で。
トレシュは怪我で身動き取れず、私は毎晩心配していた。
戦地となりあちこちに火がついた場所なので、獣達もあまり近寄らないだろうとは思っていたが、100パーセントではない。
私がいない間に、襲われていたらと。
しかし、その兵士の元へ行くたびに、彼は穏やかに迎えてくれた。
”夜の森で1人でいるの、怖くないの?”と訊いたことがあった。
彼は笑った。”天気が良ければ美しい星空を拝めるし、遠くで梟の鳴き声も聞こえる。案外快適だよ。”と。
梟の鳴き声など私にとっては日常だった。村にいても聞こえる。
”梟が好きなの?” と訊くと、今私が口にした内容を語ったのだ。
「覚えて…いたのか。」
トレシュのはにかみ顔はいつものことだが、珍しくその中に嬉々とした感情が見て取れた。
彼の弧を描く唇に、彼のごつごつとした指先が触れる。
「覚えていますよ。もし野犬や熊が出たらどうするのかと訊いたら、森のルールに従うよ、なんて言ってましたよね。」
変な人だと思ったんです、と言い終わる頃、彼の細められた目は一層優しい色を帯びていた。
一瞬、森の中にいるような錯覚をした。小さな洞穴で小難しい話を聞いて首を傾げていた時、トレシュはこんな目をしていたのを思い出した。
「あの時の話をあまりしないから、したくないのかと思っていた。」
「いえ…別に。」
ドキリとした。
今までは彼の動向を探る為に気を張っていた。過去のことなど気にしている余裕がなかったのだ。
トレシュは「ふふ。」と声を漏らした。
「強がっていたんだよ。」
「え?」
「快適だって言ったこと。」
「そうなんですか?」
「怪我の手当をしてくれて、内密に食糧まで用意して、そんな子に獣が怖いなんて言ったら、夜まで抜け出してきちゃいそうだろう?」
さすがに夜の森に入る選択肢はなかったが、あんなに余裕に見せておいて内心不安でいっぱいだったのかと思うと、なんだか可愛く感じて、沸々と笑いが込み上げてきた。
梟の鳴き声が聞こえるなんて涼しい顔で言いながら、その実、夜通し冷や汗を流し震えていたのだろうか。
手で口を押さえたものの、我慢できずに声が漏れだす。
ちらりとトレシュの顔を覗けば、彼は不快どころかさらに嬉しそうな表情を浮かべて私を見ていた。
「ふっ、くっ…怖、かったん、ですか?」
「もちろん怖かったさ。」
もう抑えることは不可能だった。満杯の水差しを落としてしまったかのように、笑い声が弾けてしまった。
50歳の大の男が怖かったなんて口に出すのだから仕方ない。いつも余裕な表情ばかり見ている為に意外性も相まって、笑うなと言う方が無理な話だった。
セスが聞いていたら笑い転げていたに違いない。
商人がニタニタと生暖かい目を向けてくるのも気にならないほど愉快で、表情筋が疲弊する。
「笑い過ぎだろう。」
そう言いながら、トレシュも整った歯並びを見せていた。
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