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第四章
新たな銃弾 〜第二の事件〜
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その夜、俺たちは伊那市内のホテルで夜を明かした。刑事官は明日にでも達夫が引き取られた親戚の元を訪れようと考えた。そしてこれ以上新たな犠牲者が出ないことを祈りながらそのまま寝付いた。だが、翌日その願いはもろくもうち砕かれてしまう。翌朝、俺と刑事官は一回のレストランで朝食を食べている時だった。ふと目の前に朝刊が置いてあった。いつものようにスポーツ記事を読もうとするとその新聞の表紙には目を疑うような内容が書かれていた。
「天竜川中流付近で男性の水死体を発見」
本来ならばスポーツ欄まで飛ばす俺だったがその記事に目が留まり、詳しい内容まで読んだ。さらにそこに書かれていた名前に啞然とした。安藤博。例の嵐山興業の役員で、今まで行方が分からなかったがやはり殺されていた。俺は、その記事を刑事官にも見せ、実状を把握した刑事官は直ちにホテルを後にし、そのままタクシーに乗り込み飯田警察署へと向かった。その足でまず刑事課へ向かい課長の井上警部補に一連の事件の内容を報告した。
「やはり安藤は嵐山興業の仕組んだサクラだったのでしょうか。」
「可能性は十分あります。現に安藤は暴力団の九童と内通していたことも判明していますし、その情報を漏洩されることを恐れた嵐山興業と黒真連合会らの手により抹殺されたのだと考えられますね。」
「実は我々防犯カメラで三日前に安藤が飯田駅に降りる姿を目撃しているんです。でも、その日の内に今度は辰野方面へと向かっていったんです。」
「その二日の間に死体となったのか」
そして鑑識の宮園が安藤の解剖記録を見せてくれた。
死体発見場所は飯田駅から約二キロ離れた弁天橋付近の川瀬で発見。死亡推定時刻は一昨日の夜九時から十二時で死因は腹部と心臓への銃弾二発によるショック死。体内の水分量からみて殺害現場は弁天橋ではなく天竜川の上流付近の可能性が考えられる。
「体内の水分量と皮膚のふやけ具合から殺害場所は辰野町から箕輪町の間だと考えられます。」
「因みに安藤に撃ち込まれた弾丸は?」
「現在、県警の科捜研で鑑定中です。ただ、弾丸の大きさは約32口径です。でもなんでそんな事を。」
「いや、ちょっと心当たりがあってね。鑑定が終わったら銃弾のデータベースをお願いします。」
32口径。俺と樋口を撃った銃と同じだ。もしかすると安藤を殺したのも同一人物の可能性が高い。ただ、あくまでも現段階では可能性にしか過ぎないが。
昼過ぎ、飯田署に合同特別捜査本部が設置され、緊急会議が開かれた。無論、俺と刑事官も同席だ。署長の門倉は一連の事件で死亡した樋口、安藤の足取りと身辺調査を洗い出し、新たな犠牲者を防ぐためにもその関係者を全て調べ上げ、用心するよう命じられた。
そして、警視庁と県警本部からも応援を要請し嵐山興業の東京本部と信州支社の調査、そして黒真連合会とその傘下における現状を調査するようになった。だが、俺にはまだ確かめなければならない事が残っている。樋口のアパートを訪れていたあの女だ。彼女はいったい何の目的で彼の元を訪れていたのだろうか。婚約者か妹。あるいは嵐山興業の手先なのか。いずれにしろ事件は深まる一方へ進み続けている。
「天竜川中流付近で男性の水死体を発見」
本来ならばスポーツ欄まで飛ばす俺だったがその記事に目が留まり、詳しい内容まで読んだ。さらにそこに書かれていた名前に啞然とした。安藤博。例の嵐山興業の役員で、今まで行方が分からなかったがやはり殺されていた。俺は、その記事を刑事官にも見せ、実状を把握した刑事官は直ちにホテルを後にし、そのままタクシーに乗り込み飯田警察署へと向かった。その足でまず刑事課へ向かい課長の井上警部補に一連の事件の内容を報告した。
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「実は我々防犯カメラで三日前に安藤が飯田駅に降りる姿を目撃しているんです。でも、その日の内に今度は辰野方面へと向かっていったんです。」
「その二日の間に死体となったのか」
そして鑑識の宮園が安藤の解剖記録を見せてくれた。
死体発見場所は飯田駅から約二キロ離れた弁天橋付近の川瀬で発見。死亡推定時刻は一昨日の夜九時から十二時で死因は腹部と心臓への銃弾二発によるショック死。体内の水分量からみて殺害現場は弁天橋ではなく天竜川の上流付近の可能性が考えられる。
「体内の水分量と皮膚のふやけ具合から殺害場所は辰野町から箕輪町の間だと考えられます。」
「因みに安藤に撃ち込まれた弾丸は?」
「現在、県警の科捜研で鑑定中です。ただ、弾丸の大きさは約32口径です。でもなんでそんな事を。」
「いや、ちょっと心当たりがあってね。鑑定が終わったら銃弾のデータベースをお願いします。」
32口径。俺と樋口を撃った銃と同じだ。もしかすると安藤を殺したのも同一人物の可能性が高い。ただ、あくまでも現段階では可能性にしか過ぎないが。
昼過ぎ、飯田署に合同特別捜査本部が設置され、緊急会議が開かれた。無論、俺と刑事官も同席だ。署長の門倉は一連の事件で死亡した樋口、安藤の足取りと身辺調査を洗い出し、新たな犠牲者を防ぐためにもその関係者を全て調べ上げ、用心するよう命じられた。
そして、警視庁と県警本部からも応援を要請し嵐山興業の東京本部と信州支社の調査、そして黒真連合会とその傘下における現状を調査するようになった。だが、俺にはまだ確かめなければならない事が残っている。樋口のアパートを訪れていたあの女だ。彼女はいったい何の目的で彼の元を訪れていたのだろうか。婚約者か妹。あるいは嵐山興業の手先なのか。いずれにしろ事件は深まる一方へ進み続けている。
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