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メイクはだだ崩れですが
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元の世界に戻る手がかりが得られるかもと思うと、声が弾む。
例え可能性でも嬉しいと告げれば、男もほっとしたようだった。
「そうか…?よかった。じゃぁよー、顔をあげてくれるか?」
彼は私の頭を撫でていた手を止め、そっと私の頬に触れる。
すこし冷たい指先が、涙で熱くなった私の頬をなでた。
そしてその指は少しずつ顔の下へと動き、私の顎をあげようとする。
ふぉおおおおお。危ない。
私は顔を横に振って、彼の指を振り払う。
そしてすがりついていた彼の胸から離れ、くるりと男に背を向けた。
それから、素早くバッグから取り出したハンカチタオルで顔を隠す。
「……不用意なこと言っちまったから、まだ怒ってるのか?」
そんな私の反応に、傷ついたように彼は言う。
ほんといい人だな。
助けた相手が「異世界から来たんですー」とか馬鹿なこと言ったあげく、こんな反応したら怒ってもいいと思う。
なのに私が泣いたからか、自分が悪いと思って、罪滅ぼししようとしてるとかな。
そんなお人よしでもやっていけるのか、この世界。
だったら案外この世界も悪くないのかもなぁ。
「怒ってなんて、いません」
現在進行形で恩人である彼を、無駄に落ち込ませるのは気が引ける。
その誤解は解かねばと思って、顔を隠したままきっぱり言う。
すると彼はますます焦ったらしく、切羽詰まったように尋ねてきた。
「じゃぁ、まだ傷ついているのか…」
「そんなんじゃないです。ただ、泣いてしまって、顔がぐちゃぐちゃだから、見られたくなくて…」
私はハンカチタオルの陰でこっそりマスカラをぬぐいながら、言う。
セリフだけ聞いていると可憐な乙女の恥じらいっぽけど、タオルにはがっつりマスカラがついている。
顔がぐちゃぐちゃていうのは、謙遜でも何でもない。悲しい。
この顔を人前にさらせる勇気はない。
タオル生地なんかでごしごし拭くと、目じりにしわができそうで怖いけど、この際しょうがない。
少しでもまともな顔にならなければ…!
もう一回お化粧直ししたいんだけど、それは難しそうだ。
せめて拭えるものは、拭ってしまいたい。
「なんだ、そんなことか」
必死でハンカチと格闘する私の焦りなど知らない男はほっとしたように言い、私の肩をトンと叩く。
「気にすることはないと思うけどよ、だったらお前の顔は見ねぇからよ。とりあえず、移動しねぇか?赤い月の時間は、そう長くない。暗くなるまでに、街まで戻りてぇんだ」
「ご一緒してもいいんですか?」
ぐっと胸の前で手を握りしめながら、私は顔を伏せたまま彼に尋ねた。
彼は、私の頭をまた撫でながら、言う。
「もちろんだぜ。うちは広いしよー、人も多いから、しばらく滞在していけよ。もちろん、お前が嫌じゃなかったらだけどよ」
うぉっしゃー!渡りに船!まさに計画通り!
というか、計画以上……!
やばいわー、私、マジで運がいいわー。
そんでこの人、本気でイイヒトすぎるわー。
ほんと出会いからこっち、この人には感謝しかない。
だけど利用させてください!
ご迷惑でしょうからなんて辞退したら、泊まるとこないしな!
世界の常識すらわからない異世界で、遠慮なんてできるほどの良識はない!
「嫌だなんて、まさか。……ご迷惑なのは重々承知していますが、頼れるのは貴方しかいないんです。よろしくお願いします」
例え可能性でも嬉しいと告げれば、男もほっとしたようだった。
「そうか…?よかった。じゃぁよー、顔をあげてくれるか?」
彼は私の頭を撫でていた手を止め、そっと私の頬に触れる。
すこし冷たい指先が、涙で熱くなった私の頬をなでた。
そしてその指は少しずつ顔の下へと動き、私の顎をあげようとする。
ふぉおおおおお。危ない。
私は顔を横に振って、彼の指を振り払う。
そしてすがりついていた彼の胸から離れ、くるりと男に背を向けた。
それから、素早くバッグから取り出したハンカチタオルで顔を隠す。
「……不用意なこと言っちまったから、まだ怒ってるのか?」
そんな私の反応に、傷ついたように彼は言う。
ほんといい人だな。
助けた相手が「異世界から来たんですー」とか馬鹿なこと言ったあげく、こんな反応したら怒ってもいいと思う。
なのに私が泣いたからか、自分が悪いと思って、罪滅ぼししようとしてるとかな。
そんなお人よしでもやっていけるのか、この世界。
だったら案外この世界も悪くないのかもなぁ。
「怒ってなんて、いません」
現在進行形で恩人である彼を、無駄に落ち込ませるのは気が引ける。
その誤解は解かねばと思って、顔を隠したままきっぱり言う。
すると彼はますます焦ったらしく、切羽詰まったように尋ねてきた。
「じゃぁ、まだ傷ついているのか…」
「そんなんじゃないです。ただ、泣いてしまって、顔がぐちゃぐちゃだから、見られたくなくて…」
私はハンカチタオルの陰でこっそりマスカラをぬぐいながら、言う。
セリフだけ聞いていると可憐な乙女の恥じらいっぽけど、タオルにはがっつりマスカラがついている。
顔がぐちゃぐちゃていうのは、謙遜でも何でもない。悲しい。
この顔を人前にさらせる勇気はない。
タオル生地なんかでごしごし拭くと、目じりにしわができそうで怖いけど、この際しょうがない。
少しでもまともな顔にならなければ…!
もう一回お化粧直ししたいんだけど、それは難しそうだ。
せめて拭えるものは、拭ってしまいたい。
「なんだ、そんなことか」
必死でハンカチと格闘する私の焦りなど知らない男はほっとしたように言い、私の肩をトンと叩く。
「気にすることはないと思うけどよ、だったらお前の顔は見ねぇからよ。とりあえず、移動しねぇか?赤い月の時間は、そう長くない。暗くなるまでに、街まで戻りてぇんだ」
「ご一緒してもいいんですか?」
ぐっと胸の前で手を握りしめながら、私は顔を伏せたまま彼に尋ねた。
彼は、私の頭をまた撫でながら、言う。
「もちろんだぜ。うちは広いしよー、人も多いから、しばらく滞在していけよ。もちろん、お前が嫌じゃなかったらだけどよ」
うぉっしゃー!渡りに船!まさに計画通り!
というか、計画以上……!
やばいわー、私、マジで運がいいわー。
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ほんと出会いからこっち、この人には感謝しかない。
だけど利用させてください!
ご迷惑でしょうからなんて辞退したら、泊まるとこないしな!
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「嫌だなんて、まさか。……ご迷惑なのは重々承知していますが、頼れるのは貴方しかいないんです。よろしくお願いします」
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