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今後の見通しが立ちそうですが
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「泣くなよ……」
とつぜん目の間で号泣し始めた私に、男は戸惑いがちに声をかけた。
その声が妙に近いなと感じた途端、私は彼に手をひかれ、立ち上がらされた。
そしてそのまま力の入らない体を、彼の体に押し付けるようにひきこまれ、抱きしめられる。
彼の肩に、顔があたる。
私の頭を、彼の手がなだめるようになでた。
これは、彼のクセなんだろうか。
こんなふうに彼に頭を撫でられたのは、もう何回目になるだろう。
私はぼろぼろ泣きながら、彼の胸にすがった。
彼は無言で私の頭と背中を撫でてくれる。
お互いが着ているコートの厚みに阻まれているとはいえ、彼の温もりをほんのりと感じる。
決して小柄ではない私の体をすっぽりと覆うほど大きな彼の体に包み込まれて、その大きな手で頭を撫でられていると、私の心はぐずぐずに溶かされるようだった。
誰かに、絶対的に守られているような安心感。
恋人なんていたためしがないから、こんな心地よさはほんの小さな子どものころ、両親に抱きしめてもらって以来かもしれない。
彼は私の両親ではなく、恋人でもないのに、この腕の中にいれば安心だなんて、考えてしまいそうになる。
(今だけ、だから)
なにしろ非日常なのだ。緊急事態なのだ。
大人の建前とか恥じらいとかには適宜お休みしてもらう必要がある。
すべてはこの事態を乗り切るためなんだから。
自分に言い訳しつつ、私は彼の腕の中で思いっきり泣いた。
しばらくすると、私はまた平静を取り戻した。
「……ごめんなさい。動揺してしまって」
「いいさ。ほんとに異世界から来たんなら、動揺するのが当たり前だ」
彼は言いながら、ため息をついた。
「…すまない。正直にいうと、まだお前が異世界から来たってのも、ピンとこねぇ。お前の言葉を疑うわけじゃねぇけど、どうもな」
「いえ。それが普通だと思います」
私だって、元の世界で見知らぬ人にとつぜん「異世界から来たんです」とか言われたら、その人の正気をうたがうと思う。
それが当然の反応だと思うんだけど、彼はそんな私に罪悪感を持っているらしい。
「でよー。俺はそういうの詳しくねぇし、ぜんぜんわからねぇんだけど。知り合いで、魔術とかの研究してるやつがいてよ。そいつなら、何か知ってるかもしれねぇ。だからよ。お前さえよければ、いちど会ってみるか?」
私を泣かせた罪滅ぼしとでもいうのか、彼はおそるおそるそんなふうに尋ねる。
なんですと!?
帰れるかはわからないとはいえ、魔術に詳しい人がいるなら、ぜひ話を聞きたい。
異世界から来た他の人の情報とかあるかもしれないし、この世界の魔術がどういうものなのかとかも聞けるもの。
というか、この流れ、この人ってば私のことをそれまで保護してくれる気でしょうか。
なんと人がいい。
ほんとこの人の身が心配だよ。
とはいえ、ある意味、計画どおりです。
逃がしませんよー。
私は彼の胸にすがりついたまま、こくんとうなずいた。
すると彼の肩から安堵したように力が抜ける。
「よかった。…まぁ、そいつが本当に異世界のことまで知っているか保障はできないんだけどよー」
「いまは、手がかりがあるかもっていうだけで十分です。私ひとりじゃ、途方に暮れているだけだったもの」
とつぜん目の間で号泣し始めた私に、男は戸惑いがちに声をかけた。
その声が妙に近いなと感じた途端、私は彼に手をひかれ、立ち上がらされた。
そしてそのまま力の入らない体を、彼の体に押し付けるようにひきこまれ、抱きしめられる。
彼の肩に、顔があたる。
私の頭を、彼の手がなだめるようになでた。
これは、彼のクセなんだろうか。
こんなふうに彼に頭を撫でられたのは、もう何回目になるだろう。
私はぼろぼろ泣きながら、彼の胸にすがった。
彼は無言で私の頭と背中を撫でてくれる。
お互いが着ているコートの厚みに阻まれているとはいえ、彼の温もりをほんのりと感じる。
決して小柄ではない私の体をすっぽりと覆うほど大きな彼の体に包み込まれて、その大きな手で頭を撫でられていると、私の心はぐずぐずに溶かされるようだった。
誰かに、絶対的に守られているような安心感。
恋人なんていたためしがないから、こんな心地よさはほんの小さな子どものころ、両親に抱きしめてもらって以来かもしれない。
彼は私の両親ではなく、恋人でもないのに、この腕の中にいれば安心だなんて、考えてしまいそうになる。
(今だけ、だから)
なにしろ非日常なのだ。緊急事態なのだ。
大人の建前とか恥じらいとかには適宜お休みしてもらう必要がある。
すべてはこの事態を乗り切るためなんだから。
自分に言い訳しつつ、私は彼の腕の中で思いっきり泣いた。
しばらくすると、私はまた平静を取り戻した。
「……ごめんなさい。動揺してしまって」
「いいさ。ほんとに異世界から来たんなら、動揺するのが当たり前だ」
彼は言いながら、ため息をついた。
「…すまない。正直にいうと、まだお前が異世界から来たってのも、ピンとこねぇ。お前の言葉を疑うわけじゃねぇけど、どうもな」
「いえ。それが普通だと思います」
私だって、元の世界で見知らぬ人にとつぜん「異世界から来たんです」とか言われたら、その人の正気をうたがうと思う。
それが当然の反応だと思うんだけど、彼はそんな私に罪悪感を持っているらしい。
「でよー。俺はそういうの詳しくねぇし、ぜんぜんわからねぇんだけど。知り合いで、魔術とかの研究してるやつがいてよ。そいつなら、何か知ってるかもしれねぇ。だからよ。お前さえよければ、いちど会ってみるか?」
私を泣かせた罪滅ぼしとでもいうのか、彼はおそるおそるそんなふうに尋ねる。
なんですと!?
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異世界から来た他の人の情報とかあるかもしれないし、この世界の魔術がどういうものなのかとかも聞けるもの。
というか、この流れ、この人ってば私のことをそれまで保護してくれる気でしょうか。
なんと人がいい。
ほんとこの人の身が心配だよ。
とはいえ、ある意味、計画どおりです。
逃がしませんよー。
私は彼の胸にすがりついたまま、こくんとうなずいた。
すると彼の肩から安堵したように力が抜ける。
「よかった。…まぁ、そいつが本当に異世界のことまで知っているか保障はできないんだけどよー」
「いまは、手がかりがあるかもっていうだけで十分です。私ひとりじゃ、途方に暮れているだけだったもの」
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