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一礼しただけで大事になっていますが
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お髭の門兵さんは、祝福モードだ。
あーこれ、私とレイの関係を絶対誤解してるよなぁ。
レイの恋人というか、家がらみみたいな発言しているってことは、婚約者とかそういう……。
レイはわざと誤解させているんだろうし、それって私をこの街に入れるための便宜的なお芝居だってわかってるけど、こういう接触になれていないので、ちょっと居心地悪い。
私が体をレイから遠ざけようとすると、レイは逆に私の肩に手をそえて、引き寄せた。
ちょちょちょっと…!さっきはうっかり抱き寄せられたりしたけどさ、こういう体勢をとってもいい関係になった覚えはないぞ。
しかも人前で肩を抱かれるとか、こっぱずかしいわ。
がちんと体をこわばらせた私をよそに、レイはお髭の門兵さんにお礼を言って、こう続けた。
「一応、彼女の名前だけは告げておこう。伊坂美咲だ。遠い異国の出身だから、ファミリーネームが伊坂、ファーストネームが美咲と名乗りの順序が異なる。上層部への連絡の際にはイサカと伝えてくれ」
「かしこまりました」
門兵さんたちは敬礼で答える。
その視線は私へ向けられていた。
緊張するけど、ここはご挨拶するべきだろう。
「伊坂美咲です。このたびはお手数をおかけいたしまして申し訳ございません。便宜を図っていただきありがとうございます」
できるだけ優雅に見えるよう意識しながら、丁寧に頭を下げる。
すると門兵さんたちは「顔をあげてください!」と叫んだ。
あ、しまった。
この反応、頭を下げるのがなにか重い意味を持つ文化なんだろうな。
謝罪とか。
日本人的についついご挨拶とお礼感覚で頭を下げた私はさっさと頭を上げ、慌てている門兵さんににっこりと笑う。
これぞ秘儀、笑ってごまかせだ。なーんてね。
ごめんなさいと、胸の中で門兵さんに謝罪する。
彼らが見知らぬ小娘に頭を下げられたくらいでこんなに恐縮しているのは、レイが私のことを「将来ブロッケンシュタイン家ゆかりの人間になる」って紹介したからだ。
これって、厳密にいうと嘘じゃない。
私はレイの家であるブロッケンシュタイン家でお世話になるのだし、広義では「ゆかりのもの」ってことになるだろう。
その関係はいいところ客人ってレベルだけど、ブロッケンシュタイン家とつながりがあるといえばある。
だけどレイの態度や口調は、まるで私がレイと結婚して「ゆかりのもの」になると言わんばかりだった。
その後の会話でも、レイは私の出身が「遠い異国」じゃなくて「異世界」だってこと以外嘘はついていない。
だけど門兵さんは、レイが私と結婚すると思ってるようだしね。
で、細かいことはわからないけど、レイはこの街の有力者なんだろう。
それも、彼の保証があれば誰でも無条件で街へ引き入れると門兵が即決できるレベルの。
あるいはこの世界の貴族っていうのは、それほど特権階級なのかもしれない。
絶対王政な社会みたいだしね。
そんなレイの婚約者(だと思っている)私が自分たちに頭を下げたのが、門兵さんたちには衝撃だったんだろうな。
けどなー、私にとって人に頭を下げることは礼儀のひとつで、それほど重い意味がある行動じゃない。
門兵さんたちが気にする必要なんてないんだけど、これどうやってフォローすればいいんだろ。
門兵さんたち、まだ思いっきり顔が引きつっているんだけど。
ていうかさ。お髭の門兵さんなんてレイにあんな軽口叩いてたのに、私が頭を下げたくらいでこんなに恐縮しないでほしい…!
フォローしようにもうっかりしたこと言ったら、常識のなさから異世界人ってバレそうで怖いわ。
あーこれ、私とレイの関係を絶対誤解してるよなぁ。
レイの恋人というか、家がらみみたいな発言しているってことは、婚約者とかそういう……。
レイはわざと誤解させているんだろうし、それって私をこの街に入れるための便宜的なお芝居だってわかってるけど、こういう接触になれていないので、ちょっと居心地悪い。
私が体をレイから遠ざけようとすると、レイは逆に私の肩に手をそえて、引き寄せた。
ちょちょちょっと…!さっきはうっかり抱き寄せられたりしたけどさ、こういう体勢をとってもいい関係になった覚えはないぞ。
しかも人前で肩を抱かれるとか、こっぱずかしいわ。
がちんと体をこわばらせた私をよそに、レイはお髭の門兵さんにお礼を言って、こう続けた。
「一応、彼女の名前だけは告げておこう。伊坂美咲だ。遠い異国の出身だから、ファミリーネームが伊坂、ファーストネームが美咲と名乗りの順序が異なる。上層部への連絡の際にはイサカと伝えてくれ」
「かしこまりました」
門兵さんたちは敬礼で答える。
その視線は私へ向けられていた。
緊張するけど、ここはご挨拶するべきだろう。
「伊坂美咲です。このたびはお手数をおかけいたしまして申し訳ございません。便宜を図っていただきありがとうございます」
できるだけ優雅に見えるよう意識しながら、丁寧に頭を下げる。
すると門兵さんたちは「顔をあげてください!」と叫んだ。
あ、しまった。
この反応、頭を下げるのがなにか重い意味を持つ文化なんだろうな。
謝罪とか。
日本人的についついご挨拶とお礼感覚で頭を下げた私はさっさと頭を上げ、慌てている門兵さんににっこりと笑う。
これぞ秘儀、笑ってごまかせだ。なーんてね。
ごめんなさいと、胸の中で門兵さんに謝罪する。
彼らが見知らぬ小娘に頭を下げられたくらいでこんなに恐縮しているのは、レイが私のことを「将来ブロッケンシュタイン家ゆかりの人間になる」って紹介したからだ。
これって、厳密にいうと嘘じゃない。
私はレイの家であるブロッケンシュタイン家でお世話になるのだし、広義では「ゆかりのもの」ってことになるだろう。
その関係はいいところ客人ってレベルだけど、ブロッケンシュタイン家とつながりがあるといえばある。
だけどレイの態度や口調は、まるで私がレイと結婚して「ゆかりのもの」になると言わんばかりだった。
その後の会話でも、レイは私の出身が「遠い異国」じゃなくて「異世界」だってこと以外嘘はついていない。
だけど門兵さんは、レイが私と結婚すると思ってるようだしね。
で、細かいことはわからないけど、レイはこの街の有力者なんだろう。
それも、彼の保証があれば誰でも無条件で街へ引き入れると門兵が即決できるレベルの。
あるいはこの世界の貴族っていうのは、それほど特権階級なのかもしれない。
絶対王政な社会みたいだしね。
そんなレイの婚約者(だと思っている)私が自分たちに頭を下げたのが、門兵さんたちには衝撃だったんだろうな。
けどなー、私にとって人に頭を下げることは礼儀のひとつで、それほど重い意味がある行動じゃない。
門兵さんたちが気にする必要なんてないんだけど、これどうやってフォローすればいいんだろ。
門兵さんたち、まだ思いっきり顔が引きつっているんだけど。
ていうかさ。お髭の門兵さんなんてレイにあんな軽口叩いてたのに、私が頭を下げたくらいでこんなに恐縮しないでほしい…!
フォローしようにもうっかりしたこと言ったら、常識のなさから異世界人ってバレそうで怖いわ。
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