異世界で(口の悪い)騎士様に拾われたのですが

木村 真理

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お部屋が決まらないようですが

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 バドーさんは、執事への夢を裏切らない素敵な紳士だった。
髪も服も隙なく整えられていて、穏やかでいて厳格な雰囲気。

 私が見惚れてしまったのも、仕方ないと思うんだ。

 レイはそんな私を不審そうに一瞥し、さりげなく私の視界からバドーさんをかばおうとする。

 心配しなくても、おたくの大切な執事さんに飛びかかったりしませんよー。
バドーさんは、50歳くらいかな。
私は、年上ってあんまり興味なくて、上はプラス5歳くらいまでが限度。
バドーさんは、私の恋愛対象ではない。

 でも、観賞はしちゃう。
だってリアル執事で、夢を壊さない外見なんだよ。
はぁはぁなんて言わないから、観賞くらいさせてくれ。

 と思うのに、レイは私とバドーさんの間に割って入って動かない。
正面に視線をやると、レイの背中しか見えなくなってしまった。
 なので、私は二人の会話を神妙に聞いているふりをしながら、そっとお屋敷の中に目を向けた。

「詳しい話は、ハキさんと一緒に聞いてもらおう。だが、その前に。美咲の部屋を用意してくれないか?疲れているだろうから、彼女を先に休ませたいんだ」

「かしこまりました。お部屋は若草の間でよろしいでしょうか」

 わぁい。
お部屋を貸してもらえるんだー。

 しかも客室っぽい。
ほんと私ラッキーだわ。

 頼る人もなにもない異世界で、お人よしのイケメンの手助けをがっつり得られるなんてね。
外見も中身も優れているなんて、レイってほんといい男だわ。

 このお屋敷も、外も素敵だったけど、中も素敵。
玄関ホールでいちばんに目が行くのは、正面奥に見える大階段。
ホールは2階までが吹き抜けになっていて、2階の正面の廊下がテラスのように張り出していて、そこから左右に階段が半円を描くように降りている。
天井は黄金で飾られ、そこからは煌めくシャンデリアがさがっている。
そしてホールには、月の化身のような主と、有能そうな執事がいる。

 はぅう。
ここが私のドリームを具現化した場所ですって言われても驚かないかも。
ついついあちこちに視線を飛ばしそうになるのをこらえつつ、レイたちの話を聞いているふりを続行する。

「いや、彼女の部屋は、俺の部屋の近くに用意してくれ。そうだな。ひなげしの間でいいだろう」

「恐れ入りますが、レイモンド様。ひなげしの間は」

 どうやら、私の部屋をどこにするかで揉めているようだ。
若草の間とかひなげしの間とか言われても、それがどんなお部屋なのかわからない。
だけど、一人部屋の客室をお借りできるっぽい雰囲気で、すごくうれしい。

 贅沢なんだろうけどさ、今日はすっごい疲れたもん。
一人部屋で、ベッドに横たわって、体と心を休めたい。

 部屋にはそんなにこだわりなんてないから、さっさと決めてほしい。
なんて私が思っていると、レイはバドーさんの話しているのを遮って言う。

「バドー。彼女は遠方から来ているだ。不安も大きいだろう。傍にいてやりたい」
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