異世界で(口の悪い)騎士様に拾われたのですが

木村 真理

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執事さんに嫌われたくないのですが

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 うわ。
傍にいてやりたい、ですって。

 レイの言葉って、ちょいちょい破壊力ある。
はやく一人でごろごろしたいなーってのが本音だけど、好意を持っている相手にそんなこと言われたら嬉しくなっちゃうじゃないか。

 ちょっと頬が熱い。
いい歳して、乙女な反応してすみません!

 けど、レイは背中を向けているし、バドーさんからはレイが邪魔になって私の姿は見えないはず。
だから、いいよね。
 と自分に許可を出して、思う存分にときめきを味わう。

 こういうドキドキって貴重品ですからね。
味わえる時に味わっておかないと!

 バドーさんは、レイの強硬な態度にかすかに驚いたように見えた。
けど、そんな気配は一瞬で消し去り、重ねて断ろうとしているようだった。

「ですが、レイモンド様。ひなげしの間は」

「わかっている。ひなげしの間だと、俺の部屋に近すぎるっていうんだろう?しかしな、彼女の気持ちをおもんぱかってくれ」

 レイの厚意は嬉しいけど、バドーさんを困らせるのは本意じゃない。
彼はこの家の執事で、使用人たちのトップだ。
彼に嫌われたら、このお屋敷にいづらくなっちゃう。

 ただでさえ身元不明な女が転がり込んでくるなんて、このお屋敷で働いている人にとっては迷惑だろう。
仕事は増えるわ、主の貞操や評判が気になるわで、迷惑の塊といっても過言じゃない。

 主人であるレイが命じてくれれば、使用人さんも表面上は丁重に扱ってくれるだろう。
けど、そういう問題でもないしね。
 人様にご迷惑かけないで済むならご迷惑かけたくないし、嫌われずにすむなら嫌われたくない。
これが小市民的常識ですから。

「レイ。私はどこのお部屋でも構わないわ」

 慌てて口をはさむ。
けれど、レイは私をふりかえって、安心させるように微笑んだ。

「美咲。だいじょうぶだから」

 だいじょうぶじゃないから!
お屋敷の執事さんに疎まれた状態で、滞在させていただくとか嫌だから。

「でも……、バドーさんがそうおっしゃるのも、理由があるのではないですか?」

「さようでございます。レイ様。先だって、ダイアモンド様から伝令がまいりました。数日後、フィン様と共に、こちらのお屋敷に滞在なさるようです。ひなげしの間は、ダイアモンド様がいつも使用されるお部屋でしょう。先に送られてきたダイアモンド様のお荷物を、すでにいれています」

 バドーさんは、レイが口を挟む前に素早く口を挟んだ。
レイは、目を丸くして、オウム返しに言う。

「ダイアモンドが? こっちに来るのか?」

 バドーさんは、しっかりとうなずいて「はい」と答えた。
ゆったりとした言葉に、みょうに焦っているふうだったレイも、はぁ……っと息を吐いた。

「そうか。ダイアモンドが。……なら、ひなげしの間は使えねぇよな」

 お。落ち着いたみたいで、なにより。
ところで、ダイアモンド様?って、誰?
名前的に、女子だよね?


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