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side レイ
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「はぁ……」
シャワーを浴びた濡れた髪のまま、椅子に座る。
あがってきた報告書をパラパラ読んで、レイは溜息をついた。
報告書は、美咲について調べさせたものだった。
美咲。
違う世界からきたという、黒い髪に、黒い目の女。
強いかと思えば弱く、弱いかと思えば強い。
不思議な娘。
なぜか、惹かれてやまない。
こんなふうに、女性に惹かれるのは、レイにとって初めてのことだった。
さっき別れたばかりなのに、美咲のそばにいたいと、請うように願ってしまう。
相手は、今日であったばかりの、得体のしれない女だというのに。
美咲のことになると盲目的になるとはいえ、レイはブロッケンシュタイン家の前当主だった。
見ず知らずの人間を、なんの調査もなしに受け入れるほど無防備にはなれない。
美咲が自分は異世界から来たのだと言ったとき、レイは影にひそんでいた自分の隠密に指示し、調査を命じた。
いちばん重要な点は、美咲がなんらかの病にかかっていないか、だった。
もし本当に美咲が異世界から来たというのなら、未知の病をこの世界に持ち込むということも考えられる。
調査の結果は、否、だった。
街へ入る門のところで、行商人を装い、馬車に鑑別機を隠して待機していた隠密たちが調べたところ、美咲はなんの病にもかかっていなかった。
それどころか、本人は自分の世界にはいないと言っていた「癒し人」の能力がある、と鑑別機では評価されていた。
それなら、病になどかかっているはずがない。
美咲の「癒し人ではない」という発言が、美咲の無知からくるものなのか、あるいはこの世界に来た時に能力が開花したのかはわからない。
ただそのおかげで、美咲がこの世界に未知の病を持ち込むのではという懸念は消えた。
次に気をはらう必要があるのは、美咲がなんらかの目的があって、レイに近づいたか、だ。
レイには、利権などをめぐる敵が複数いる。
美咲がそのあたりから送り込まれた人間ではないか、という懸念もあった。
こちらも、ざっと調べたところでは、美咲はどこの誰ともつながりがなかった。
というよりも、本人の主張通り、レイに会う少し前にこの世界に忽然とあらわれたかのように、美咲の足跡は、この近隣の街や村などのどこにもなかった。
だからといって、異世界からきたのだと、信じたわけではないが。
幸い、この屋敷はむかしから仕える忠義の厚い使用人ばかりが暮らしている。
彼らは、そこそこの自衛もできるし、この屋敷のあちこちに対侵入者用の罠なども用意されている。
そうたやすく、敵の手にはかからないだろう。
美咲は見たところ、ほとんど戦闘能力がない。
だがレイ自身、美咲を身近において、監視するつもりだ。
だからこの使用人たちが危険な目にあう可能性は低い。
そんなふうに、最低限の守りはした。
けれど、美咲の部屋を自分の部屋の近くにと、レイが言ったのは、監視目的ではない。
ただ自分がそばにいたかっただけだ。
自分の気持ちに自覚が芽生えて、レイは何度目かの水を飲んだ。
もし美咲がレイの敵から送り込まれてきた人間だとしても、敵に感謝してしまいそうだ。
おかげで、美咲と出会えた、と。
シャワーを浴びた濡れた髪のまま、椅子に座る。
あがってきた報告書をパラパラ読んで、レイは溜息をついた。
報告書は、美咲について調べさせたものだった。
美咲。
違う世界からきたという、黒い髪に、黒い目の女。
強いかと思えば弱く、弱いかと思えば強い。
不思議な娘。
なぜか、惹かれてやまない。
こんなふうに、女性に惹かれるのは、レイにとって初めてのことだった。
さっき別れたばかりなのに、美咲のそばにいたいと、請うように願ってしまう。
相手は、今日であったばかりの、得体のしれない女だというのに。
美咲のことになると盲目的になるとはいえ、レイはブロッケンシュタイン家の前当主だった。
見ず知らずの人間を、なんの調査もなしに受け入れるほど無防備にはなれない。
美咲が自分は異世界から来たのだと言ったとき、レイは影にひそんでいた自分の隠密に指示し、調査を命じた。
いちばん重要な点は、美咲がなんらかの病にかかっていないか、だった。
もし本当に美咲が異世界から来たというのなら、未知の病をこの世界に持ち込むということも考えられる。
調査の結果は、否、だった。
街へ入る門のところで、行商人を装い、馬車に鑑別機を隠して待機していた隠密たちが調べたところ、美咲はなんの病にもかかっていなかった。
それどころか、本人は自分の世界にはいないと言っていた「癒し人」の能力がある、と鑑別機では評価されていた。
それなら、病になどかかっているはずがない。
美咲の「癒し人ではない」という発言が、美咲の無知からくるものなのか、あるいはこの世界に来た時に能力が開花したのかはわからない。
ただそのおかげで、美咲がこの世界に未知の病を持ち込むのではという懸念は消えた。
次に気をはらう必要があるのは、美咲がなんらかの目的があって、レイに近づいたか、だ。
レイには、利権などをめぐる敵が複数いる。
美咲がそのあたりから送り込まれた人間ではないか、という懸念もあった。
こちらも、ざっと調べたところでは、美咲はどこの誰ともつながりがなかった。
というよりも、本人の主張通り、レイに会う少し前にこの世界に忽然とあらわれたかのように、美咲の足跡は、この近隣の街や村などのどこにもなかった。
だからといって、異世界からきたのだと、信じたわけではないが。
幸い、この屋敷はむかしから仕える忠義の厚い使用人ばかりが暮らしている。
彼らは、そこそこの自衛もできるし、この屋敷のあちこちに対侵入者用の罠なども用意されている。
そうたやすく、敵の手にはかからないだろう。
美咲は見たところ、ほとんど戦闘能力がない。
だがレイ自身、美咲を身近において、監視するつもりだ。
だからこの使用人たちが危険な目にあう可能性は低い。
そんなふうに、最低限の守りはした。
けれど、美咲の部屋を自分の部屋の近くにと、レイが言ったのは、監視目的ではない。
ただ自分がそばにいたかっただけだ。
自分の気持ちに自覚が芽生えて、レイは何度目かの水を飲んだ。
もし美咲がレイの敵から送り込まれてきた人間だとしても、敵に感謝してしまいそうだ。
おかげで、美咲と出会えた、と。
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