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長い一日がようやく終わりそうですが
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「……はぁ」
異様な虚無感に襲われて、ベッドにぽすんと倒れこむ。
あれから、レイとは気まずいまま、別れた。
レイは「もう遅いから」と言って部屋を出て言ったけど、理由はそれだけじゃないってことは、はっきりしている。
「だって、帰れなくてもいいなんて、言えないよ」
たぶん、この状況の最適解は、私が「もう元の世界に戻らなくてもいい」ってレイに言うことだ。
だって、元の世界に帰れるかなんて、わからない。
ううん、ほんとは戻れないかもっていう想いのほうが強い。
いくらここが、魔獣という別の世界を行き来するいきものがいる世界でも、私はそのことわりから外れている。
魔獣は、月の色というわかりやすい合図で、世界線を行き来している。
私は、月の色が変わっても、まだこの世界にいる。
そしてそんな人間は、レイは知らないという。
レイは貴族で、これだけの街を有する領地の元領主だ。
それなりにこの世界の事情に精通しているはずだ。
そのレイが、聞いたこともないというのは……。
人知れずこの世界に来て、もとの世界に戻った人がいる、とも考えられる。
でも、私自身はそれなりの時間をこの世界ですごしているのに、元の世界に戻れていない。
つまり、私が彼らのことわりからも外れているか、彼らは誰かと接触する前に獣に食べられたりして死んだか、悪い人に捕まって殺されたり閉じ込められたりしているか、記憶を失っているか。
いずれにしても、気楽な考えではいられない。
戻れる可能性が低いのなら、この世界で生きることも考えるべきだ。
それに、好きな人と想いが通じ合うというのは、わりと奇跡みたいなものだと思う。
少なくても、私にとっては。
それなら、レイのことを大切に、この世界で生きることを考えてもいいんじゃない?
幸いにも、レイはいろんな意味で頼りになるし……。
なんてね。
わかっているし、計算はする。
それでも、割り切れない。
割り切れるはずない。
「お父さん……、お母さん……」
ロンドンに行くのさえ、危ないっていい顔しなかった二人を思い出す。
ほんと30歳にもなろうという娘に過保護すぎる二人。
小さいころから、大切に、大切に育ててもらった。
ちょっとウザいと思うことも多かったけど。
妹がふたりもいると、お姉ちゃんなんてないがしろにされる家も多いって聞く。
なのに、寂しいなんて思ったこともなかった。
いつでも、ふたりは私の味方だって、信じ切ってた。
妹たちのことも、思い出す。
しっかりものの、妹たち。
上の妹の優香は、もう結婚して子どももいる。
「お姉ちゃんもいいかげん結婚しなよ」って、よく言われた。
下の妹の瑠璃は、銀行でバリバリ働いている。
「お姉ちゃん、もうちょっと貯金しないとやばいよ」って、よく言われた。
ふたりとも出来過ぎてて、ちょっとウザく、生意気で。
でも、なんだかんだいって仲良くやってきたと思う。
ふたりとも実家のそばに住んでいて、親が年をとったら、3人で老後の面倒はみよう、なんて話していた。
友達の顔も、つぎつぎ頭にうかぶ。
どうしてもっと、会っておかなかったんだろう。
こんな急にお別れなんて、思ってもみなかった。
続きを楽しみにしていたマンガや、しょっちゅう食べていたお菓子、新作を楽しみにしていたカフェ。
なついてくれていた甥っ子、かわいがってくれた近所の人。
些細な幸せしかない、私の日常。
だけど、すごくすごく大切で。
自分から、そんなすぐに手放すなんてできないよ。
目をとじて、涙をこらえる。
すると強い眠気に襲われた。
もう、寝てしまえ。
考えていても、どうしようもないことばかり考えてしまうなら、寝たほうが健全だ。
明日の朝、考えたほうがいい答えもでそう。
あぁ、顔を洗って、メイクを落として、保湿しなくちゃ……。
ブラも外さないと窮屈で、いい睡眠がとれないのに。
頭ではそう考えたけど、体はもう限界だった。
私は、そのままぐっすりと眠りこけてしまった。
異様な虚無感に襲われて、ベッドにぽすんと倒れこむ。
あれから、レイとは気まずいまま、別れた。
レイは「もう遅いから」と言って部屋を出て言ったけど、理由はそれだけじゃないってことは、はっきりしている。
「だって、帰れなくてもいいなんて、言えないよ」
たぶん、この状況の最適解は、私が「もう元の世界に戻らなくてもいい」ってレイに言うことだ。
だって、元の世界に帰れるかなんて、わからない。
ううん、ほんとは戻れないかもっていう想いのほうが強い。
いくらここが、魔獣という別の世界を行き来するいきものがいる世界でも、私はそのことわりから外れている。
魔獣は、月の色というわかりやすい合図で、世界線を行き来している。
私は、月の色が変わっても、まだこの世界にいる。
そしてそんな人間は、レイは知らないという。
レイは貴族で、これだけの街を有する領地の元領主だ。
それなりにこの世界の事情に精通しているはずだ。
そのレイが、聞いたこともないというのは……。
人知れずこの世界に来て、もとの世界に戻った人がいる、とも考えられる。
でも、私自身はそれなりの時間をこの世界ですごしているのに、元の世界に戻れていない。
つまり、私が彼らのことわりからも外れているか、彼らは誰かと接触する前に獣に食べられたりして死んだか、悪い人に捕まって殺されたり閉じ込められたりしているか、記憶を失っているか。
いずれにしても、気楽な考えではいられない。
戻れる可能性が低いのなら、この世界で生きることも考えるべきだ。
それに、好きな人と想いが通じ合うというのは、わりと奇跡みたいなものだと思う。
少なくても、私にとっては。
それなら、レイのことを大切に、この世界で生きることを考えてもいいんじゃない?
幸いにも、レイはいろんな意味で頼りになるし……。
なんてね。
わかっているし、計算はする。
それでも、割り切れない。
割り切れるはずない。
「お父さん……、お母さん……」
ロンドンに行くのさえ、危ないっていい顔しなかった二人を思い出す。
ほんと30歳にもなろうという娘に過保護すぎる二人。
小さいころから、大切に、大切に育ててもらった。
ちょっとウザいと思うことも多かったけど。
妹がふたりもいると、お姉ちゃんなんてないがしろにされる家も多いって聞く。
なのに、寂しいなんて思ったこともなかった。
いつでも、ふたりは私の味方だって、信じ切ってた。
妹たちのことも、思い出す。
しっかりものの、妹たち。
上の妹の優香は、もう結婚して子どももいる。
「お姉ちゃんもいいかげん結婚しなよ」って、よく言われた。
下の妹の瑠璃は、銀行でバリバリ働いている。
「お姉ちゃん、もうちょっと貯金しないとやばいよ」って、よく言われた。
ふたりとも出来過ぎてて、ちょっとウザく、生意気で。
でも、なんだかんだいって仲良くやってきたと思う。
ふたりとも実家のそばに住んでいて、親が年をとったら、3人で老後の面倒はみよう、なんて話していた。
友達の顔も、つぎつぎ頭にうかぶ。
どうしてもっと、会っておかなかったんだろう。
こんな急にお別れなんて、思ってもみなかった。
続きを楽しみにしていたマンガや、しょっちゅう食べていたお菓子、新作を楽しみにしていたカフェ。
なついてくれていた甥っ子、かわいがってくれた近所の人。
些細な幸せしかない、私の日常。
だけど、すごくすごく大切で。
自分から、そんなすぐに手放すなんてできないよ。
目をとじて、涙をこらえる。
すると強い眠気に襲われた。
もう、寝てしまえ。
考えていても、どうしようもないことばかり考えてしまうなら、寝たほうが健全だ。
明日の朝、考えたほうがいい答えもでそう。
あぁ、顔を洗って、メイクを落として、保湿しなくちゃ……。
ブラも外さないと窮屈で、いい睡眠がとれないのに。
頭ではそう考えたけど、体はもう限界だった。
私は、そのままぐっすりと眠りこけてしまった。
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