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聖女の婚約破棄とその事情
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燃えるような赤毛の美女の悲鳴に顔をあげたホーリーは、彼女の惨状の説明をうながすようにヒジリを見た。
ヒジリは衛兵たちに次の指示を与え、サン・マリーの腕をさらにきつくとらえさせ、胸が床につくほど押さえつけさせた。
「サン・マリー。ホーリーの襲撃事件、裏から操っていたのは君だね?」
ヒジリはホーリーの傍から、衛兵に押さえつけられる旧知の令嬢に言った。
それは問いかけの形をとっていたものの、答えなど求めていない断言であった。
「し、知りませんわっ。なんのことですの?」
衛兵たちに押さえつけられているせいで、顔を床にこすりつけながら、それでもなお眦強くサン・マリーは叫んだ。
「ホーリーの襲撃事件?それなら知っていますわよ。そこの娘が下賤の者に汚された夢、この国の者ならほとんどの者が夢に見て知っているはずですもの。でもそれが、わたくしになにか関係があるとおっしゃいますの?ばかばかしい。彼女を襲ったのは、盗賊なのでしょう?そんな下々の者と、このわたくしが関係などあるはずないでしょう!!」
「すでに証拠はあがっているんだ。君の配下の者たちが、あの屋敷の抜け穴を元の持ち主を脅して吐かせていたこと。当日、君の知人の名を借りて送られたワインに軽い毒が仕込まれていたため、騎士たちが不調をきたしていたこと」
ヒジリは、暗い笑みを浮かべて続けた。
「……それにあの襲撃事件に参加していた男たちが、自白したよ。君は代理の依頼人をたてて、素性をごまかしていたね。男たちにも正体を明かさず依頼したつもりだっただろうけど、あちらはその世界のプロだ。いくつかの盗賊団では、真の依頼人が君だという証拠を握っていた。後で、君を脅迫するためにね。それに、君が魔術師を雇って、盗賊たちの手助けをしたということも、裏付けがとれている」
ヒジリは、サン・マリーの前に証拠の品々や、証言をまとめた書類を投げた。
サン・マリーは、それらをちらりと見ただけで、顔を青くした。
彼女は、自分が追い詰められることなど、すこしも考えていなかったのだ。
盗賊団が捕まり、あるいは自分がたてたスケープゴートとなるべき代理の依頼人が捕まる。
そこで、捜査が終わるだろうと、たかをくくっていた。
それでも、サン・マリーは、口だけはひるまなかった。
せつせつと、「知りません」「わたくしじゃ、ありません」と、自らの無罪を訴える。
けれどその訴えをヒジリが一顧だにしないと悟ると、涙ながらに訴えてきた。
「な、なにもかも、その女が悪いんですわ。わたくしのほうがその女よりも身分が高く、美しい。ヒジリ様の婚約者になるのはわたくしのはずでしたのに、その女が聖女に選ばれたせいで、なにもかも奪われてしまったのです!わたくしは悪くないですわ。すべてはその女が、先にわたくしからうばったのですもの!!」
「醜悪だな、サン・マリー。君はもとよりなにも手にしていない。神に愛され聖女に選ばれたのも、皆に望まれ俺の婚約者になったのも、俺が心から愛しているのも、すべてホーリーだ。ホーリーだけだ」
ヒジリは衛兵たちに次の指示を与え、サン・マリーの腕をさらにきつくとらえさせ、胸が床につくほど押さえつけさせた。
「サン・マリー。ホーリーの襲撃事件、裏から操っていたのは君だね?」
ヒジリはホーリーの傍から、衛兵に押さえつけられる旧知の令嬢に言った。
それは問いかけの形をとっていたものの、答えなど求めていない断言であった。
「し、知りませんわっ。なんのことですの?」
衛兵たちに押さえつけられているせいで、顔を床にこすりつけながら、それでもなお眦強くサン・マリーは叫んだ。
「ホーリーの襲撃事件?それなら知っていますわよ。そこの娘が下賤の者に汚された夢、この国の者ならほとんどの者が夢に見て知っているはずですもの。でもそれが、わたくしになにか関係があるとおっしゃいますの?ばかばかしい。彼女を襲ったのは、盗賊なのでしょう?そんな下々の者と、このわたくしが関係などあるはずないでしょう!!」
「すでに証拠はあがっているんだ。君の配下の者たちが、あの屋敷の抜け穴を元の持ち主を脅して吐かせていたこと。当日、君の知人の名を借りて送られたワインに軽い毒が仕込まれていたため、騎士たちが不調をきたしていたこと」
ヒジリは、暗い笑みを浮かべて続けた。
「……それにあの襲撃事件に参加していた男たちが、自白したよ。君は代理の依頼人をたてて、素性をごまかしていたね。男たちにも正体を明かさず依頼したつもりだっただろうけど、あちらはその世界のプロだ。いくつかの盗賊団では、真の依頼人が君だという証拠を握っていた。後で、君を脅迫するためにね。それに、君が魔術師を雇って、盗賊たちの手助けをしたということも、裏付けがとれている」
ヒジリは、サン・マリーの前に証拠の品々や、証言をまとめた書類を投げた。
サン・マリーは、それらをちらりと見ただけで、顔を青くした。
彼女は、自分が追い詰められることなど、すこしも考えていなかったのだ。
盗賊団が捕まり、あるいは自分がたてたスケープゴートとなるべき代理の依頼人が捕まる。
そこで、捜査が終わるだろうと、たかをくくっていた。
それでも、サン・マリーは、口だけはひるまなかった。
せつせつと、「知りません」「わたくしじゃ、ありません」と、自らの無罪を訴える。
けれどその訴えをヒジリが一顧だにしないと悟ると、涙ながらに訴えてきた。
「な、なにもかも、その女が悪いんですわ。わたくしのほうがその女よりも身分が高く、美しい。ヒジリ様の婚約者になるのはわたくしのはずでしたのに、その女が聖女に選ばれたせいで、なにもかも奪われてしまったのです!わたくしは悪くないですわ。すべてはその女が、先にわたくしからうばったのですもの!!」
「醜悪だな、サン・マリー。君はもとよりなにも手にしていない。神に愛され聖女に選ばれたのも、皆に望まれ俺の婚約者になったのも、俺が心から愛しているのも、すべてホーリーだ。ホーリーだけだ」
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