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召喚された勇者が望むのは、婚約破棄された騎士令嬢
12: side勇者8
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小さい女の子の言葉は、俺から見ればくだらないの一言で片づけられる的を射ないものだった。
なにしろ、こんな美しいツガイのことを醜いとか言っちゃうんだ。
不快だけど、馬鹿馬鹿しい妬みだなと鼻で笑って終わり、だと思っていた。
けど、ツガイは傷ついたようだった。
これは、ダメだ。
もう相手が子どもであっても、見逃すわけにはいかない。
ツガイに悲しい想いをさせるなら、反省が必要だ。
あるいは、罰が。
俺が、女の子に制裁を下そうと決めた瞬間、女の子はなおも声をはりあげた。
「その女の性格が、わたくしよりいいですって? その女はねぇ、お金で婚約者をしばりつけているような女なんですよ? まぁその婚約も、つい先日、お相手にお金が手に入ったようで、破棄されたみたいですけど!」
え。
ツガイ、婚約者がいたのか。
それは、かなり、なんというか、ショックだ、けど……。
「俺って、ほんとにラッキーだな」
改めて、そう思う。
思えば、彼女がもう結婚していたり、今も婚約者がいたりする可能性だってあったわけだ。
そりゃ彼女が他の男と結婚を約束していたのはショックだけど、これだけの美女だ。
今まで何もなかったということはないだろう。
婚約破棄されたところだっていうなら、たぶんまだ結婚はしてないはず。
今、彼女に婚約者や夫がいないだけでも喜ぶべきだ。
とすれば、俺がすべきなのは。
「貴女の名を呼ぶ栄誉をいただけますか?」
もう一度、ツガイの前にひざまづく。
ごちゃごちゃわめく女の子を無視して言えば、ツガイは女の子の目を気にしながらも「ええ」とうなずいてくれた。
「では、カミーユ。美しい人。ご存じの通り、俺はこの星を一瞬で支配することができる能力を持っています。貴女が望むなら、この星のすべてを貴女に捧げましょう。もちろん、あの無礼な女を処刑するのもお好きなように」
「処刑!?」
女の子は、大声で叫ぶ。
まわりの人間たちも、ごちゃごちゃうるさい。
うーん。まだ、自分たちの立場がわかっていないのかな?
女の子の態度にはむかついていたので、パフォーマンスがわりに、その場にあった石像をひとつ、粒子鉾で砂に帰す。
逆らったり、うるさくしたりしたら、君たちもこうなるよ。
無言の俺の言葉を、エルクラード星人たちはちゃんと読み取ってくれたらしい。
エルクラード星人たちは、口々に悲鳴をあげながら、平伏する。
「そんな……、アンリエール姫を処刑だなんて。そんなことを、私は望みません!」
ツガイは叫ぶように言う。
叫びながら、俺を止めようとしているのか、ツガイの手は俺の手を握りしめている。
小さい手だ。
その温かさを感じると、ぶわっと体温があがった。
心臓が鼓動を大きくする。
胸の奥から、ふわふわするような駆けまわりたくなるような、甘酸っぱいなにかがあふれ出る。
ツガイだ。
これが、俺のツガイだ。
いま、改めて、俺はそれを悟った。
全身の細胞のひとつひとつが、目の前のツガイを求めている。
彼女に出会うために、俺は生まれてきたのだと。
ツガイは、そんな俺の激情に気づかない。
自分が俺の手を握っていたことに気づいて、おずおずとした笑みを浮かべながら手を離す。
「お話をしましょう。勇者様」
「話……?」
「私は、貴方のことを何も知りません。貴方もそうでしょう? でも、私はこの星を救ってくださった貴方に、心から感謝しています。貴方が私と生涯を共にすることを望んでくださるなら、喜んでそうしましょう。だから、お互いにもっと知り合えるようにたくさんお話をしてください」
頬を染めて語るツガイは、ほんとにヤバいほどかわいかった。
それこそ、世界を救えるレベルで。
「もちろんです、カミーユ」
だから俺には、もう選択権なんてなかった。
この星を滅ぼすほどの力があっても、この笑顔にはかなわない。
うっとりと俺が言うと、カミーユは照れたように頬を染めて笑った。
後で考えれば、俺はこの時すでにカミーユの尻にしかれていたのだと思う。
まぁ、カミーユの尻にしかれるのは、世界でいちばん幸せなことだと思うので、俺の生涯に悔いはなし!だ。
なにしろ、こんな美しいツガイのことを醜いとか言っちゃうんだ。
不快だけど、馬鹿馬鹿しい妬みだなと鼻で笑って終わり、だと思っていた。
けど、ツガイは傷ついたようだった。
これは、ダメだ。
もう相手が子どもであっても、見逃すわけにはいかない。
ツガイに悲しい想いをさせるなら、反省が必要だ。
あるいは、罰が。
俺が、女の子に制裁を下そうと決めた瞬間、女の子はなおも声をはりあげた。
「その女の性格が、わたくしよりいいですって? その女はねぇ、お金で婚約者をしばりつけているような女なんですよ? まぁその婚約も、つい先日、お相手にお金が手に入ったようで、破棄されたみたいですけど!」
え。
ツガイ、婚約者がいたのか。
それは、かなり、なんというか、ショックだ、けど……。
「俺って、ほんとにラッキーだな」
改めて、そう思う。
思えば、彼女がもう結婚していたり、今も婚約者がいたりする可能性だってあったわけだ。
そりゃ彼女が他の男と結婚を約束していたのはショックだけど、これだけの美女だ。
今まで何もなかったということはないだろう。
婚約破棄されたところだっていうなら、たぶんまだ結婚はしてないはず。
今、彼女に婚約者や夫がいないだけでも喜ぶべきだ。
とすれば、俺がすべきなのは。
「貴女の名を呼ぶ栄誉をいただけますか?」
もう一度、ツガイの前にひざまづく。
ごちゃごちゃわめく女の子を無視して言えば、ツガイは女の子の目を気にしながらも「ええ」とうなずいてくれた。
「では、カミーユ。美しい人。ご存じの通り、俺はこの星を一瞬で支配することができる能力を持っています。貴女が望むなら、この星のすべてを貴女に捧げましょう。もちろん、あの無礼な女を処刑するのもお好きなように」
「処刑!?」
女の子は、大声で叫ぶ。
まわりの人間たちも、ごちゃごちゃうるさい。
うーん。まだ、自分たちの立場がわかっていないのかな?
女の子の態度にはむかついていたので、パフォーマンスがわりに、その場にあった石像をひとつ、粒子鉾で砂に帰す。
逆らったり、うるさくしたりしたら、君たちもこうなるよ。
無言の俺の言葉を、エルクラード星人たちはちゃんと読み取ってくれたらしい。
エルクラード星人たちは、口々に悲鳴をあげながら、平伏する。
「そんな……、アンリエール姫を処刑だなんて。そんなことを、私は望みません!」
ツガイは叫ぶように言う。
叫びながら、俺を止めようとしているのか、ツガイの手は俺の手を握りしめている。
小さい手だ。
その温かさを感じると、ぶわっと体温があがった。
心臓が鼓動を大きくする。
胸の奥から、ふわふわするような駆けまわりたくなるような、甘酸っぱいなにかがあふれ出る。
ツガイだ。
これが、俺のツガイだ。
いま、改めて、俺はそれを悟った。
全身の細胞のひとつひとつが、目の前のツガイを求めている。
彼女に出会うために、俺は生まれてきたのだと。
ツガイは、そんな俺の激情に気づかない。
自分が俺の手を握っていたことに気づいて、おずおずとした笑みを浮かべながら手を離す。
「お話をしましょう。勇者様」
「話……?」
「私は、貴方のことを何も知りません。貴方もそうでしょう? でも、私はこの星を救ってくださった貴方に、心から感謝しています。貴方が私と生涯を共にすることを望んでくださるなら、喜んでそうしましょう。だから、お互いにもっと知り合えるようにたくさんお話をしてください」
頬を染めて語るツガイは、ほんとにヤバいほどかわいかった。
それこそ、世界を救えるレベルで。
「もちろんです、カミーユ」
だから俺には、もう選択権なんてなかった。
この星を滅ぼすほどの力があっても、この笑顔にはかなわない。
うっとりと俺が言うと、カミーユは照れたように頬を染めて笑った。
後で考えれば、俺はこの時すでにカミーユの尻にしかれていたのだと思う。
まぁ、カミーユの尻にしかれるのは、世界でいちばん幸せなことだと思うので、俺の生涯に悔いはなし!だ。
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