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榊 千歳 ~Chitose Sakaki
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「車に気を付けて行くのよ」
「はい、行ってきます。
ママ…」
玄関の扉を閉め、学校に向かう。
毎日変わらない、おんなじ朝。
志望していた高校は、全国でも有名な進学校。
わたしはドクターをやってるパパの後を継ぐ為に生まれた一人娘。
いつでも成績は常にトップ。
内申も良く、容姿だって引けを取らない。
運動だけは…まあまあだけどね。
でも両親…むしろママの理想とする娘になるよう、わたしはずっと目一杯の努力をしてきた。
昔から一緒に遊んでくれる友だちはいない。
ううん、誰かと遊ぶ暇なんて、なかったかな。
変な友だちと変な所に遊びに行ってはいけないって、ママにきつく言われていたからね。
…でもそんな生活、息がつまりそうだった。
わたしの生き方を全部決められているんだもの。
だから…そんな生活、全てブチ壊してみたかった。
なんて、できるわけないんだけど。
───春
ママの敷いたわたしの人生の設計図通りに歩んで、志望高校に入学した。
嬉しいとか、そんな感情なんてあるわけもない。
また友だちも作らず、勉強と次の受験の事だけを考えた毎日が始まっただけなんだから。
そしてわたしは、当然ここでもトップの成績を叩き出した。
…ハズなんだけども!
「……………!」
学年ごとに成績や順位が張り出された中間試験。
これまで毎回わたしの名前を始め以下他の生徒で綴られていた事しかなかったのだが、1教科だけわたしの上に名前が書かれた生徒がいた。
桐生 珪
他はどれもわたしが一番だったのだけども、数学だけ彼の名前がわたしの上に書かれていたのだ。
…それは即ち、わたしよりも成績が良かった事を意味するわけなのだけども…!
「桐生…珪…」
そもそも全体的にも成績が良い生徒のようだけど、なんたって友だちもロクに作らない勉強マシーンのわたしだ。
同じ学年でも、せいぜい覚えられるのはクラスメイトぐらい。
彼は他のクラスの生徒だ。
まさかわたしを抜く人物がいるなんて思わなかったから、すっかり油断していた。
桐生珪が、どんな奴なのか見てやらなくちゃ!!
ママの言いつけで得た成績にこのステータス。
決して満足していたわけじゃないけど、こうなったら自分より成績の良い人物が現れるとやっぱりちょっと悔しいじゃない?
…分厚いメガネでもかけた、がり勉野郎なのかしら。
興味…ってわけじゃないけど、一度でもわたしの上を行ったそいつが、ちょっと気になったのだけど…。
1学年に3クラスある中から桐生珪のクラスと人物を見つける方法をわたしは知らなかった。
誰かに聞けばいいだけなんだろうけど、気軽に話せる友だちもいないわたしには、それすらも出来ない。
それから、顔も知らない桐生珪の事ばかり気にしながらも毎日が過ぎていった。
きっとわたしよりもブサイクで、わたしよりも陰気な男なのよ。
勝手に桐生珪のイメージを作ったわたしは、わざと優越感に浸りながら1学期最後の期末試験に臨んだ。
すると、
「な……………っ」
今回も他の教科はわたしがトップなのだが、数学だけはまた彼にトップを持って行かれていた。
「ウソよ…。
なんで、わたしが2回も…っ」
張り出された成績表を呆然と見ていたわたしの後ろで、女子生徒の黄色い声が聞こえてきた。
「桐生クン、またトップになってる~!」
「きゃー!すごーい!」
振り返ると、わたしの知らない女子生徒が成績表を指差しながらキャーキャー騒いでいる。
何がすごいのよ。
いつも2番止まりの奴が数学だけたまたまもう1回トップになった事がそんなにすごいわけ?
だったら、いつもトップを飾っているわたしの方がよっぽどすごいじゃない!
「桐生クンって頭良いしかっこいいし、しかもスポーツまで出来ちゃうんだからホントすごいよねぇ!」
「うんうん!
あたし一度でいいから桐生クンの彼女になってみたぁい」
「ホントよね。
うちの学校、恋愛禁止じゃなかったら絶対桐生クンに告白するのにーっ」
頭良くてかっこよくてスポーツも出来る…?
なんだか…わたしがイメージしていたのとだいぶ違うっぽいかも。
考えれば考えるほど気になってしまう。
一体どんな奴なのよ、桐生珪…!
「はい、行ってきます。
ママ…」
玄関の扉を閉め、学校に向かう。
毎日変わらない、おんなじ朝。
志望していた高校は、全国でも有名な進学校。
わたしはドクターをやってるパパの後を継ぐ為に生まれた一人娘。
いつでも成績は常にトップ。
内申も良く、容姿だって引けを取らない。
運動だけは…まあまあだけどね。
でも両親…むしろママの理想とする娘になるよう、わたしはずっと目一杯の努力をしてきた。
昔から一緒に遊んでくれる友だちはいない。
ううん、誰かと遊ぶ暇なんて、なかったかな。
変な友だちと変な所に遊びに行ってはいけないって、ママにきつく言われていたからね。
…でもそんな生活、息がつまりそうだった。
わたしの生き方を全部決められているんだもの。
だから…そんな生活、全てブチ壊してみたかった。
なんて、できるわけないんだけど。
───春
ママの敷いたわたしの人生の設計図通りに歩んで、志望高校に入学した。
嬉しいとか、そんな感情なんてあるわけもない。
また友だちも作らず、勉強と次の受験の事だけを考えた毎日が始まっただけなんだから。
そしてわたしは、当然ここでもトップの成績を叩き出した。
…ハズなんだけども!
「……………!」
学年ごとに成績や順位が張り出された中間試験。
これまで毎回わたしの名前を始め以下他の生徒で綴られていた事しかなかったのだが、1教科だけわたしの上に名前が書かれた生徒がいた。
桐生 珪
他はどれもわたしが一番だったのだけども、数学だけ彼の名前がわたしの上に書かれていたのだ。
…それは即ち、わたしよりも成績が良かった事を意味するわけなのだけども…!
「桐生…珪…」
そもそも全体的にも成績が良い生徒のようだけど、なんたって友だちもロクに作らない勉強マシーンのわたしだ。
同じ学年でも、せいぜい覚えられるのはクラスメイトぐらい。
彼は他のクラスの生徒だ。
まさかわたしを抜く人物がいるなんて思わなかったから、すっかり油断していた。
桐生珪が、どんな奴なのか見てやらなくちゃ!!
ママの言いつけで得た成績にこのステータス。
決して満足していたわけじゃないけど、こうなったら自分より成績の良い人物が現れるとやっぱりちょっと悔しいじゃない?
…分厚いメガネでもかけた、がり勉野郎なのかしら。
興味…ってわけじゃないけど、一度でもわたしの上を行ったそいつが、ちょっと気になったのだけど…。
1学年に3クラスある中から桐生珪のクラスと人物を見つける方法をわたしは知らなかった。
誰かに聞けばいいだけなんだろうけど、気軽に話せる友だちもいないわたしには、それすらも出来ない。
それから、顔も知らない桐生珪の事ばかり気にしながらも毎日が過ぎていった。
きっとわたしよりもブサイクで、わたしよりも陰気な男なのよ。
勝手に桐生珪のイメージを作ったわたしは、わざと優越感に浸りながら1学期最後の期末試験に臨んだ。
すると、
「な……………っ」
今回も他の教科はわたしがトップなのだが、数学だけはまた彼にトップを持って行かれていた。
「ウソよ…。
なんで、わたしが2回も…っ」
張り出された成績表を呆然と見ていたわたしの後ろで、女子生徒の黄色い声が聞こえてきた。
「桐生クン、またトップになってる~!」
「きゃー!すごーい!」
振り返ると、わたしの知らない女子生徒が成績表を指差しながらキャーキャー騒いでいる。
何がすごいのよ。
いつも2番止まりの奴が数学だけたまたまもう1回トップになった事がそんなにすごいわけ?
だったら、いつもトップを飾っているわたしの方がよっぽどすごいじゃない!
「桐生クンって頭良いしかっこいいし、しかもスポーツまで出来ちゃうんだからホントすごいよねぇ!」
「うんうん!
あたし一度でいいから桐生クンの彼女になってみたぁい」
「ホントよね。
うちの学校、恋愛禁止じゃなかったら絶対桐生クンに告白するのにーっ」
頭良くてかっこよくてスポーツも出来る…?
なんだか…わたしがイメージしていたのとだいぶ違うっぽいかも。
考えれば考えるほど気になってしまう。
一体どんな奴なのよ、桐生珪…!
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