秘密の生徒会室 君とふたりきり

むらさ樹

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帰宅中、いつまでもわたしの半歩後ろをついて歩く桐生珪に、しびれを切らしたわたしは立ち止まった。


「あのねぇ!
いつまでついて来る気なのよっ」

「別について行ってるつもりはないよ。
オレの家もこっちなんだって」

「…じゃあ、もっと離れて歩けばいいじゃない」

「そんなのオレの勝手だろ。
それより、せっかく同じ道なんだ、何か話そうよ」

「アンタと話す事なんか、これっぽっちもないわよ!」

フンと鼻を鳴らすと、わたしは桐生珪を置いて早歩きで歩いた。

それに対して桐生珪も早歩きでついて来る。



「なぁ、少しは元気出たみたいだな。
良かったよ」

別に良くはないわよ。
現状は何も変わらない。
…なんて言おうと思ったけど、とりあえず無視をした。


「結構ツラそうだったけど、それで勉強に影響出たのか?」

「っ!」

コイツもわたしの成績の事は気付いていたんだ。
そりゃそうよね。いつも自分の上にいた奴が、グッと下に落ちたんだもの。

「………………」

カンに障る事をズバり訊いてくる。
普通の人間ならもっと気を遣って、敢えて触れないでくれるってものなのにっ


「良かったわよね!
お陰でアンタは一番になれたんだもの。
さぞいい気分でしょっ、生徒会長さま!」

こうなったらイヤミたっぷり込めて言ってやった。
そんなにわたしを苛めて楽しいのかしら。こういうタイプにはいちいち動じないで、ツンとした態度で接するのが一番よ。


「そんな事言うなよ。
そうだ。もし良かったら、テスト週間になったら生徒会室で一緒に勉強とかしないか?」

「はぁ?
何でアンタと一緒に勉強なんか…」

「榊と生徒会室に居る時間、すげー楽しいんだよ」

「………………!」


楽しいって…っ
何を言い出すのよコイツはっ


「そ、そんな事より、あの手紙ちゃんと読んであげたわけ?」

楽しいなんて言われて、また変な意識をしてしまう。どうせわたしをからかって、その反応を楽しんでいるに違いないわ。

話を変える為に、わたしはわざと思い出したように手紙の話をした。


「…気になる?」

「なっ…!
別に、わたしは…っ
叶さんに頼まれた事だったから、一応心配してただけよっ」

何でわたしが気にする必要があるのよ。
なのに、お決まりの意地悪な笑みでわたしを見てくる桐生珪。
だからその顔がムカつくってのよ!


「ふっ
心配しなくても、明日にはちゃんと返事をするつもりだよ」


明日には…。
明日というのは総会で可決されるだろう、校外での恋愛の自由化が決まる日だ。

桐生珪は…叶さんと付き合うのかな…。






__翌日

午前中の通常授業を挟んだ午後より、生徒総会は行われた。

体育館に全校生徒を集めるのは生徒会選挙の演説会以来。だけど舞台の上に立つのは、今度は生徒会執行部の5人だけだった。


先ずは簡単に執行部5人の自己紹介をする。
それから午前中のうちに生徒全員に配布しておいた広報誌に沿っての学校行事の説明などなど。

そして最後に、いよいよ新しい校則についての発表だ。

舞台に上がり、台に設置されたマイクに立つ桐生珪。


「では最後に、この度の新しい校則について提案を発表します」

本当なら校外校内関係なく恋愛が自由になる筈だった。

だけど、わたし1人の反対意見のせいで、それは校外限定になるんだ…。

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