秘密の生徒会室 君とふたりきり

むらさ樹

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あ…ダメだ。
さっきからまた胸のドキドキがひどくなってきた。
桐生君の言葉は、わたしにたくさんのドキドキを与えてくれるんだもの。

「…うん、じゃあ次の試験週間はここで一緒に勉強しよ」

次は2学期の期末試験。これで良い成績さえ出せたら、ママもきっと理解してくれる。

本当はまだ辞めてない生徒会副会長の座。
恋愛は解禁されても、またこの生徒会室で桐生君と一緒にいたいんだもの。

成績はトップをキープする!
必ず進学する!
ママの望むように、絶対立派なドクターになる!

だからその為に、今は副会長でいさせてよね。


「…よし。
じゃあ、一緒に頑張ろうな。
もしかしたらオレ、また榊を抜いちゃうかもしれないぞ?」

「おあいにく様。
本気になったわたしには、誰も適わないのよ」

ツンと表情を変えて桐生君を横目で見た。


「あ、いつもの榊に戻ったな?」

そう言った桐生君は、わたしの向けた頬にキスをした。


「…ひゃっ」

「そうそう。
その素顔が一番かわいいから」

…もぉ、桐生君には適わないんだから…。



恋愛なんてしないって、思ってた。
だって恋愛なんて、勉強の妨げにしかならないものだと思っていたから。

わたしには親に敷かれたとは言え、人生の目標がある。今はとにかく勉強だけしてればいいのよ。

だから、嘘の自分を演じて目標に向かっていた。


__だけど桐生君に出会ってから、わたしは変わった。

わたしがこんな事言うなんて信じられないけど、でも本当の事。

…大好きよ、桐生君。

誰も見つけられなかった本当のわたしに気付いて、そんなわたしを全て認め受け入れてくれた。

わたしには、桐生君が必要なの。
ずっと、わたしの側にいてほしい。


とりあえずこの1年は、生徒会室、

この、ヒミツの生徒会室でね。












***************











「行ってきます、ママ。






…はぁぁぁぁぁ……」



__朝

いつもの時間の登校中。同じくいつもの時間になると、盛大なため息をついて家を出てくる女子生徒がいたんだ。

同じ高校で同じ学年の奴なんだが、学校でもそんなため息なんてつく奴じゃなかった。いつも冷静で、はっちゃけた部分は欠片も見せない上品な女子生徒だ。

名前は、榊 千歳。

オレもたいがい成績には自信があったが、いつも学年トップにいるのは榊千歳だった。

クラスは違うけど、何となく教室の前を通っては様子を見たりした。

特別、友達もいない。
学校では勉強してる所しか見ていない。

朝のあのため息をつく時の顔とは全く違う顔でいる榊千歳が、やがてオレは気になって仕方がなかった。



「そんなにガン見するなんて、オレに1票入れてくれるの?」

「1票って…」

「見てたろ?
オレの選挙ポスター」



そしてもっと知りたいという気持ちに変わり、やがてそれが好きだという気持ちに変わっていったんだ─────。













"秘密の生徒会室、君とふたりきり"

*おしまい*

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