6 / 8
ッレ
しおりを挟む
─────────
──────────
────────
───────
─────
「ただいま」
玄関から聞こえてきた愛しい人の声に、あたしはお鍋の火を止めて出迎えた。
今夜はシチュー。
にんじんをハート型にカットしたのは、あたし特有のバレンタイン仕様。
「お帰りなさい。お仕事お疲れさま。
はい、荷物預か…………あら?」
あたしは旦那さまの仕事鞄と脱いだ上着を預かると、その上着ポケットに何か入っている事に気が付いた。
今日はバレンタインだし、もしかしなくてもチョコレートだろうな。
でも職場からの義理チョコは、全部断ってるって言ってたのになぁ。
「────────っ」
「…あぁ、ごめん!
それはちょっと…っ」
何だか慌てた様子の旦那さまだったけど、でもあたしはポケットから取り出して見たその包みに、違う意味で手が止まってしまっていた。
「や、違うんだ! それは会社の同僚からとかじゃないよ。
帰り際に身投げしようとしていた学生の女の子がいて、助けたらそのお礼にって……いや、身投げじゃなかったんだけどっ」
必死にあたしの顔色を伺いながら弁明してくれる旦那さまだけど、残念ながらその言葉はほとんどあたしの耳には入らなかった。
ポケットから取り出した不器用なラッピングのチョコレートを、ただただ信じられないと言わんばかりの目で見ていたの。
だって、これはあたしが────
「だから、本当にごめん!
何て言うか、その女の子もバレンタインにチョコレートを渡せなかったみたいで、仕方なくついでにもらったって言うか……っ」
「これ、あの大きな河の橋の上でもらったんでしょう!?」
「え あ……あー、そうだけど。
え、どうしてそれを……?」
あぁ、やっぱり!
自分の作ったものなんだから、見間違えるなんてハズないんだもんね。
──────────
────────
───────
─────
「ただいま」
玄関から聞こえてきた愛しい人の声に、あたしはお鍋の火を止めて出迎えた。
今夜はシチュー。
にんじんをハート型にカットしたのは、あたし特有のバレンタイン仕様。
「お帰りなさい。お仕事お疲れさま。
はい、荷物預か…………あら?」
あたしは旦那さまの仕事鞄と脱いだ上着を預かると、その上着ポケットに何か入っている事に気が付いた。
今日はバレンタインだし、もしかしなくてもチョコレートだろうな。
でも職場からの義理チョコは、全部断ってるって言ってたのになぁ。
「────────っ」
「…あぁ、ごめん!
それはちょっと…っ」
何だか慌てた様子の旦那さまだったけど、でもあたしはポケットから取り出して見たその包みに、違う意味で手が止まってしまっていた。
「や、違うんだ! それは会社の同僚からとかじゃないよ。
帰り際に身投げしようとしていた学生の女の子がいて、助けたらそのお礼にって……いや、身投げじゃなかったんだけどっ」
必死にあたしの顔色を伺いながら弁明してくれる旦那さまだけど、残念ながらその言葉はほとんどあたしの耳には入らなかった。
ポケットから取り出した不器用なラッピングのチョコレートを、ただただ信じられないと言わんばかりの目で見ていたの。
だって、これはあたしが────
「だから、本当にごめん!
何て言うか、その女の子もバレンタインにチョコレートを渡せなかったみたいで、仕方なくついでにもらったって言うか……っ」
「これ、あの大きな河の橋の上でもらったんでしょう!?」
「え あ……あー、そうだけど。
え、どうしてそれを……?」
あぁ、やっぱり!
自分の作ったものなんだから、見間違えるなんてハズないんだもんね。
0
あなたにおすすめの小説
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
予言姫は最後に微笑む
あんど もあ
ファンタジー
ラズロ伯爵家の娘リリアは、幼い頃に伯爵家の危機を次々と予言し『ラズロの予言姫』と呼ばれているが、実は一度殺されて死に戻りをしていた。
二度目の人生では無事に家の危機を避けて、リリアも16歳。今宵はデビュタントなのだが、そこには……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる