紫に抱かれたくて

むらさ樹

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毎夜毎夜の事だけど、仕事が終わる度にシャワーにかかる。

それはいろんな男との汚い行為の余韻を早くしっかりと身体から落としたいから。

同僚にはそういうのをあんまり気にしないって子もいるんだけど、あたしは毎回念入りに頭からシャワーで流す。




シャワーからあがり控え室に戻ると、同じようにシャワーを終えた同僚が数人、タオルで髪を拭きながら帰る支度をしていた。


「お疲れさま」

「お疲れで~す」

みんな帰る頃になると、すっぴんなのも手伝って開店前のようなイキイキした表情はなくなっている。


「はいはい、みんなお疲れさん。
じゃあこれ今日の分ね」

控え室にオーナーが封筒と明細書を持って来た。


うちのオーナーは中年の女なんだけど、性格はサバサバしてる割にはこんなお店のオーナーだけあって見た目は派手。

こんな年だから仕事の方には顔は出さないんだけど、あたしらの稼ぎで食べていってるのかと思うと正直複雑な心境かもね。


「愛さぁん!」

オーナーから受け取ったお給料の明細書を見ていると、同じくお給料をもらった凛があたしに声をかけてきた。


「お疲れ。
今日もしんどかったね」

「うん。
でも今日アタシ頑張っちゃったから、多いんだぁ」


なんて言いながらあたしに明細書を見せてきた。

どれどれ…
…わ、本当だ。
今日1日で5人分とか。

内容にもよるけど、やっぱり効率よく稼ぐには人数をこなすのも1つの手段だ。


「うふふっ
アタシ明日は休みだから、久しぶりにホストクラブでガッツリ遊んじゃうぞーっ!」


お給料の袋を握りながら満面の笑みでガッツポーズを見せる凛。


…そっか。
凛はお給料をホストクラブに使ってるって言ってたっけ。


昨日行った“club-shion”

普通にお酒してホストたちとお話して、その日の領収は24000円。


居酒屋に比べたらもちろん高いんだけど、普通にホストクラブへ行ったのだとすれば安くついた方。


ガッツリ遊んじゃうなんて言ってる凛だけど、どんな使い方するんだろう。


「ねぇ、凛。
明日の事、また話してよ。
どんな注文したのかとか、どんな子がいたのかとか」

「あれ?
愛さん、ホストクラブに目覚めちゃった?」


あたしを見上げながら、嬉しそうに笑みを見せる凛。


「ん…まだちゃんとした楽しみ方を知らないから、話が聞きたいだけよ」


そう。
昨日は初めて行っただけだから、まだよくわからなかった。

ホストクラブの本当の楽しみ方、教えてもらったら改めてもう1回行ってみようと思ったのよ。

…そして次の時には、紫苑を指名して何か良いお酒を注文してあげよう。


もう一度、あの人の柔らかい笑顔が見たいから…。




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