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「今日は僕の方がお詫びしたかったのに、かえって逆になっちゃったね」
「お詫びだなんて。
こうして会ってくれた事、スゴく嬉しいから十分だもの」
初めは、ただ会えるだけでいい。
話ができたらいい。
そう思っていても、だんだんと欲が出てしまうなんて事、人間なら、仕方ないわよね…?
そうしているうちに、注文した日替わりランチがテーブルに届いた。
オシャレなプレートに乗ったハンバーグステーキにサラダとスープ。
2つずつ並べられると、あたしと紫苑は一緒に手を合わせて戴いた。
「わ、おいしい」
「ねっ。
ここのレストランはお洒落なだけじゃなくて、味も割といいんだよ」
「うん。
何て言うか…凝った感じじゃなくて、懐かしい味?」
「そうそう」
なんて言いながら、あたしと紫苑はハンバーグステーキを口に運んでいった。
それにしても…こんな日替わりランチがたった1680円。
紫苑にデートしてもらってるんだから、デート代含めて食事代だってあたしが払うつもり。
何か紫苑が喜ぶようなメニューはないかしら。
「ねぇ、紫苑。
他に食べたいものとかない?
何でも奢ってあげるから、遠慮なく言ってよ」
だって、せっかく一緒にいるんだもん。
紫苑にも良い思い出になるようなデートにしたいじゃない?
「え?
何を言ってるんだい」
普通なら、こんな時は男が食事代を出すもの。
だけど、今日のデートは紫苑からすれば、あくまでもお仕事なのよね。
お昼のデートだって、一応出張だもの。
あたしたちは、決して恋人なわけじゃないんだから…。
「あたし、出張とか殆ど経験した事なくて、システムがよくわかってないの。
えっと、どうしたらいいのかな」
煌から聞いた話じゃあ、1回5千から1万みたいな事言ってたけど。
それって夜だけの金額?
て言うか、先払い?
それとも、掛けでお店に行った時にまとめて払うの?
「ふっ…あははっ
今そんな事を考えてたの?」
「え…だって、一応…」
そもそも、出張してもらう事自体がお得意様の特権のようなもの。
煌の時はともかく、紫苑とこうしてデートできたのは、あくまでもたまたまラッキーだっただけ。
でも確かに、食事中にこんな話になっちゃったのはタイミングがおかしかったかもしれないかな。
「…ねぇ?
そんな事を考えるのに時間費やすなんて、勿体無いよ」
「え…あぁ…」
優しく言ってくれたけど、やっぱりタイミングが悪かったみたい。
しまったなぁ。
プレゼントあげた所までは雰囲気良かったのに、こんな所で失敗しちゃうなんて…っ
「それにね、今日は僕が誘ったデートなんだ。
出張だとか、思わないで」
「え、あ…」
「と言うか、まだまだ煌の指導がなってなかったようだね。僕からよく言っておくよ。
そんな事で、大切なデート時間を費やさなくてすむように」
「………………っ」
大切な…デート時間…。
煌の失態のお詫びで、紫苑とデートしてもらってる筈の今日なんだけど。
そんなデートすらも、大切に扱ってくれてるんだ…!
それからあたしは、紫苑と楽しくお話をしながら食事をした。
紫苑の事、いろいろ訊いてみた。
「お休みの日とか、何してるの?」
「なかなか休みもないんだけどね。
そうだなぁ…家にいる時は、なるべく家族と過ごしたりしてるよ」
「紫苑ってば、親孝行なんだ」
「ん、と言うか…普段は忙しくて、顔も合わせなかったりするからね」
経営もやってる紫苑は、やっぱり休みもないくらい多忙な生活を送ってるみたい。
だけど、いつもお店にいるわけじゃない所を見ると…その殆どは昔からのお得意さんとの付き合いもあるのかなと思った。
「お詫びだなんて。
こうして会ってくれた事、スゴく嬉しいから十分だもの」
初めは、ただ会えるだけでいい。
話ができたらいい。
そう思っていても、だんだんと欲が出てしまうなんて事、人間なら、仕方ないわよね…?
そうしているうちに、注文した日替わりランチがテーブルに届いた。
オシャレなプレートに乗ったハンバーグステーキにサラダとスープ。
2つずつ並べられると、あたしと紫苑は一緒に手を合わせて戴いた。
「わ、おいしい」
「ねっ。
ここのレストランはお洒落なだけじゃなくて、味も割といいんだよ」
「うん。
何て言うか…凝った感じじゃなくて、懐かしい味?」
「そうそう」
なんて言いながら、あたしと紫苑はハンバーグステーキを口に運んでいった。
それにしても…こんな日替わりランチがたった1680円。
紫苑にデートしてもらってるんだから、デート代含めて食事代だってあたしが払うつもり。
何か紫苑が喜ぶようなメニューはないかしら。
「ねぇ、紫苑。
他に食べたいものとかない?
何でも奢ってあげるから、遠慮なく言ってよ」
だって、せっかく一緒にいるんだもん。
紫苑にも良い思い出になるようなデートにしたいじゃない?
「え?
何を言ってるんだい」
普通なら、こんな時は男が食事代を出すもの。
だけど、今日のデートは紫苑からすれば、あくまでもお仕事なのよね。
お昼のデートだって、一応出張だもの。
あたしたちは、決して恋人なわけじゃないんだから…。
「あたし、出張とか殆ど経験した事なくて、システムがよくわかってないの。
えっと、どうしたらいいのかな」
煌から聞いた話じゃあ、1回5千から1万みたいな事言ってたけど。
それって夜だけの金額?
て言うか、先払い?
それとも、掛けでお店に行った時にまとめて払うの?
「ふっ…あははっ
今そんな事を考えてたの?」
「え…だって、一応…」
そもそも、出張してもらう事自体がお得意様の特権のようなもの。
煌の時はともかく、紫苑とこうしてデートできたのは、あくまでもたまたまラッキーだっただけ。
でも確かに、食事中にこんな話になっちゃったのはタイミングがおかしかったかもしれないかな。
「…ねぇ?
そんな事を考えるのに時間費やすなんて、勿体無いよ」
「え…あぁ…」
優しく言ってくれたけど、やっぱりタイミングが悪かったみたい。
しまったなぁ。
プレゼントあげた所までは雰囲気良かったのに、こんな所で失敗しちゃうなんて…っ
「それにね、今日は僕が誘ったデートなんだ。
出張だとか、思わないで」
「え、あ…」
「と言うか、まだまだ煌の指導がなってなかったようだね。僕からよく言っておくよ。
そんな事で、大切なデート時間を費やさなくてすむように」
「………………っ」
大切な…デート時間…。
煌の失態のお詫びで、紫苑とデートしてもらってる筈の今日なんだけど。
そんなデートすらも、大切に扱ってくれてるんだ…!
それからあたしは、紫苑と楽しくお話をしながら食事をした。
紫苑の事、いろいろ訊いてみた。
「お休みの日とか、何してるの?」
「なかなか休みもないんだけどね。
そうだなぁ…家にいる時は、なるべく家族と過ごしたりしてるよ」
「紫苑ってば、親孝行なんだ」
「ん、と言うか…普段は忙しくて、顔も合わせなかったりするからね」
経営もやってる紫苑は、やっぱり休みもないくらい多忙な生活を送ってるみたい。
だけど、いつもお店にいるわけじゃない所を見ると…その殆どは昔からのお得意さんとの付き合いもあるのかなと思った。
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